この所、良い感じで演奏会が続き、いつもの調子が出てきました。
左の写真は熱海未来音楽祭プレイベントにて安田先生、町田康さん、巻上公一さんと、漱石の夢十夜の第一夜と第三夜をごちゃ混ぜに朗読しながら繰り広げられた即興セッション。面白かったですね。この日はこのセッションの前にダンサーYASUCHIKAさんとのセッションもあり、こちらもいい感じでした。これらのセッションは後日配信でご覧になれるようです。そして右は池袋あうるすぽっとにて、浪曲師 玉川奈々福さんとの2ショット(photo 飯野高拓)。こちらも多分に即興性を含んだセッションで、なかなかスリリングでした。
熱海でのセッションは、やりたい事を好きなようにやるという感じだったのですが、粗削りではあるのものの、何が起こるか判らないというワクワク感があって面白かったです。こういう実験的なライブは70年代辺りにはそこら中にあったそうです。今は本当に少ないですね。先日の舞踏家虫丸さんとのライブといい、本当に面白いセッションが続いていて楽しいです。最近は確かにジャズでもアマチュアの皆さんも皆、演奏技術は高くなり上手になっているのですが、かつての時代を疾走するような熱いエネルギーは感じないですね。時代やセンスの変化とという事でしょうか。手作り品と既製品の違いとでも言いましょうか・・・。きちんとしたお上手なライブ程つまらないものはないのですよ。
私は琵琶を始めた最初から、色んなジャンルの方々とセッションをしていて、ミュージシャンや各ジャンルのダンサー、役者、パフォーマーと常に一緒に居たので、こういうセッションしている状態がニュートラルなんですが、弾き語りみのの方にとってはちょっと異質な世界なんでしょうね。私は今でもダンス系の方とはよくやっていますし、尺八や笛の方、ヴァイオリンやフルートの方をゲストにして演奏会をやっていますので、ソロよりアンサンブルが基本です。弾き語りや独奏曲は、大体演奏会に1曲程度ですね。声を伴う作品は声の専門家と組むことが多いです。
ASaxのSOON・Kimさん、映像のヒグマ春夫さんと
下右:福島安洞院にて、詩人の和合亮一さんと
ウズベキスタンのイルホム劇場にて。アルチョム・キムさん指揮のオムニバスアンサンブルと、拙作「まろばし」をキムさんのアレンジで上演。リハーサル風景
私は琵琶を手にすることによって、多くの人と繋がることが出来ました。私が琵琶を手にすることは正に運命だったと今では思えてなりません。私は他の琵琶奏者と違い、最初から弾き語りはやっていなかったので、とにかくライブといえばアンサンブルでやっていましたので、それもあって本当に驚くほど多くの人と繋がったんだと思います。それまでギターを弾いて、家で譜面を書いていた頃のうっ憤を晴らすかのような感じで、数えきれない程のミュージシャンやダンサー、詩人、役者、学者等々、それまでの自分の人生では出逢うことの無かっただろう人達と出逢い、それは海外にも拡がり、豊かな活動をして来れたように思います。皆さんショウビジネスの人でないというのも私には合ていたような気がします。それぞれ独自のアートを持っている方は一緒に話をしていてもとにかく面白い。先日の熱海でも巻上さん、町田さん、安田先生と、楽屋での話が止まらず、灰野さんやスーンキムさんなど共通の知り合いも沢山居て、本当に充実した時間を過ごさせていただきました。この感じでこれからもセッションをどんどんを重ねて行こうと思っています。
来月は琵琶樂人倶楽部も15周年。琵琶樂人倶楽部でも本当に多くの方が出演してくれましたが、よくぞまあ、毎月毎月やって来れたと思います。今月は朗読家の櫛部妙有さんとの会を13日水曜日にやります。お題は皆川博子作「うろこの家」より「傀儡谷」をデュオでやります。
そして来月が15周年という訳で、今月から年明け1月までは、色んな人に声をかけています。来月は25年来の相方 笛の大浦典子さん、12月はおなじみ愛子姐さんに加え、チェロの翠川さんと共によくライブをやったフルートの吉田一夫君、そして年明け1月は、私の琵琶を作ってくれている、琵琶職人の石田克佳さん、そして一緒に最初の頃琵琶樂人倶楽部を立ち上げた、古澤月心さんも駆けつけてくれるそうです。なかなかのラインナップです。面白くなりそうです!。
今秋も沢山のお仕事を頂いています。昨年の秋もそうでしたが、コロナ禍という事態の中で、琵琶樂人倶楽部はずっと続けて出来ているし、これだけ沢山のお仕事を頂けるというのは、本当にありがたい事。今こうして琵琶弾きとして生きているという事に対し、年齢を重ねる程に感謝の気持ちが増しています。ここが私の一番の根幹ですね。この気持ちが無ければ琵琶弾きはやっていられません。常に真摯な気持ちで琵琶に接していきたいと思っています。
来週から大阪、静岡、新潟、京都、熊本、島根と飛び回って琵琶弾いて来ます。こういう人生をいつ迄続けられるのか判りませんが、その時々でペースを変えながら、ずっと琵琶を背負ってぐるぐる回っていたいものです。