この所宣伝している「塩高和之作曲作品集3 Voices from the Ancient World」がいよいよ配信開始となりました。オリジナルアルバムとしては9th、未発表作品を集めたオムニバスアルバムを入れると11thとなる今作品は、iTunes やレコチョク、spotify等々約80社ほどの配信サービスに出ていますので、是非お聴きになってみてください。
この所ヴァイオリンの田澤明子先生とのコンビネーションがなかなかいい感じで、何とか残しておきたいという気持ちから、今迄笛や尺八とやっていた曲のヴァイオリンヴァージョンや新作等を録音しました。このアルバムは当初、ヴァイオリンを使った私の作品を集めたものというコンセプトでしたので、特にタイトルを付ける予定は無かったのですが、今回はヴァイオリンとのデュオの他、樂琵琶の独奏を入れたこともあって、その音源を配信元のFEIレコードに送ったら、やり取りの中で「良い感じの色彩感があるね」という話になって、コンセプトアルバムとしても出せそうな感じでしたので、副題として「Voices from the Ancient World」というタイトルを付ける事になりました。
作曲作品集はこれまで2枚出していて、それらはコンセプト的にCDに入らなかった曲や、お仕事の企画ものでの録音、或いは録音の仕事の空き時間に単発で録ったものなどをまとめたのでした。しかし今回のものは全て新録です。今迄ライブでも発表していなかった作品も入っています。
曲目は以下の通り
ヴァイオリニスト田澤明子先生 photo 新藤義久
塔里木旋回舞曲 樂琵琶&ヴァイオリン
西風(ならい) 薩摩琵琶&ヴァイオリン
花の行方 薩摩琵琶&ヴァイオリン
まろばし 薩摩琵琶&ヴァイオリン
風の唄 樂琵琶独奏
君の瞳 薩摩琵琶&ヴァイオリン
塔里木旋回舞曲
この曲は笛の大浦典子さんと最初に録音し、色んな舞台でさんざんやりました。その後、ブログでも書きましたが、ヴァイオリニストの中島ゆみ子さんととある舞台でやってみて、これはヴァイオリンでもいい感じで行けるという感触を持ったので、「沙羅双樹Ⅲ」で共演した田澤先生にお願いした所、とてもいい感じで仕上がりました。また時々紹介しているように、台湾の音楽家、ピパ奏者の劉芛華さんと二胡奏者の林正欣さんががこの曲を何度も舞台で取り上げてくれています。
西風(ならい)
これは「沙羅双樹Ⅲ」では独奏曲として出したのですが、元々フルート・尺八・琵琶のトリオ編成でアンコール用に書いた曲でした。その後デュオにしたり様々なアレンジをやりましたが、ヴァイオリンの歌いっぷりがピタリとはまりましたので今回録音しました。それぞれのヴァージョンでアレンジが変わっています。
花の行方
これは最初期の作品で、笛や尺八などでやっていました。都節音階を使った大変古典的なつくりをしているので、ヴァイオリンとはどうかと思いましたが、とあるライブでお願いしてから、何ともレトロな感じもあって、それ以来良く演奏しています。
まろばし
これはもう私の代表作ですので、様々な楽器と演奏してきました。邦楽の枠を超えて、現代曲という視点でヴァイオリンとも演奏しましたが、さすが音楽性が幅広く柔軟な田澤先生にかかると、こうなります。もう田澤先生のライブの時の定番曲となっています。
風の唄
「沙羅双樹Ⅲ」では笛の独奏曲として収録したのですが、元々樂琵琶の独奏曲でしたので、今回は樂琵琶独奏で入れてみました。語り切れない歴史を経て今に至る人類の歴史の中で、風だけがそれを見つめて来た、というイメージで作曲しました。シルクロードの国々へのツアーの後、ふと浮かんで来たメロディーをそのまま曲にしました。
君の瞳
フルートの神谷和泉さんとのコンビでのライブ用に作曲したもので、エジプト大好きな神谷さんをイメージして作曲した曲です。田澤先生とのライブで試しにヴァイオリンで弾いてもらった所、とても曲の雰囲気を捉えていて良い感じでしたので、今回はヴァイオリンでの録音となりました。
これ迄、笛や尺八、またはフルートなんかとやってきた曲もありますが、ヴァイオリンでやるとまた違った雰囲気になり、新たな作品という感じがします。アレンジも変えてあります。とにかくヴァイオリンの田澤明子先生の実力が半端なく、どれもほとんどワンテイク。これだけ録音するのにスタジオに入ってから、ものの3時間で全て録り終えてしまうという驚異の技術と音楽性です。2018年にリリースした「沙羅双樹Ⅲ」に入っている「二つの月」もほぼワンテイク。録音時間は打ち合わせを入れても1時間ほどでした。本当に頭が下がります。
田澤先生とは今月24日に横浜日ノ出町にある7arts cafeにてライブをやります。今回のアルバムの曲と琵琶の弾き語りも入れてのプログラムです。是非生のヴァイオリンと琵琶のアンサンブルを体感してください。
日曜日の午後3時開演です。お問い合わせは イベントカレンダー (7artscafe.co.jp)
を御覧ください。予約をしなくても大丈夫です。
7arts cafeは今、芸術家がどんどんと集まっている場所で、音楽・美術・ダンスなどのアーティストがジャンルを問わずパフォーマンスをしています。お店はJCPMという日本文化を世界に発信している団体が母体となっていて、オーナーのDr.ジョセフ・アマト氏はアートプロデューサーであり作曲家であり、また筝曲の名取でもあります。店内は明るい雰囲気で、気持ち良く音が響く所なので、是非お越しくださいませ。
今回の録音した曲の他にもまだ10曲程、録音予定の曲があります。以前初演したメゾソプラノ・龍笛・笙・樂琵琶による全6曲の組曲「四季を寿ぐ歌」、薩摩琵琶独奏による「東風(あゆのかぜ)」、他メゾソプラノ・能管・琵琶による「Voices」、メゾソプラノと樂琵琶による「遠い風」などもありますし、まだ完成していない曲などもあって、遺しておきたい作品が結構あるのです。現在50曲程の私の作曲作品が配信されていますが、これからもどんどん配信して行きたいと思います。こうして琵琶の曲を残して行く事が出来るのは本当に嬉しいですね。どんどんやりますよ。乞うご期待。