ソウルフード

先日、静岡市清水区ののお寺 鉄舟寺にて演奏してきました。

鉄舟寺1「森の音楽会」という地元の方々が主催する音楽家にゲストで呼ばれたのですが、嬉しい一日となりました。

実はこの鉄舟寺は、名前の通り山岡鉄舟が再建したお寺でして、私の故郷に静岡市葵区にも近いのです。私が若かりし頃、山岡鉄舟著の「剣禅話」(高野澄訳)、大森曹玄著「剣と禅」を読んで山岡鉄舟に興味を持ち、このお寺の事も知っていました。またこのお寺には義経の笛「薄墨の笛」が伝えられていて、静岡では有名なお寺さんなのです。随分前ですが、笛の赤尾三千子さんと琵琶の大先輩でもある半田淳子さんが演奏したのを母が聴きに行ったそうです。そんなこともあって、秘かにいつかここで演奏してみたいと思っていました。

山岡鉄舟2
山岡鉄舟像

そして何より大きいのは、この二冊の本で、剣術の極意「まろばし」というものを知ったことでしょう。私は中学から音楽に一直線でしたが、小学生の頃より剣道をやっていたので、武道は大人になっても常に興味の対象でした。いい年になってからまたあらためて古武術をゆっくり始めているのですが、20代後半に琵琶を手にした当初、この「まろばし」には大いに興味を掻き立てられ、何とか音楽でこの世界観を表現できないかと思い立ち、「まろばし~能管と琵琶の為の」を作曲し、それを私の第一号の琵琶の作品として1stアルバムの第一曲目に据えて発表しました。そして今でも私の代表曲として常に演奏しています。

イルホムまろばし10-s
ウズベキスタンのイルホム劇場にて、オムニバスアンサンブルの面々と「まろばし」演奏中
つまり私にとって薩摩琵琶=「まろばし」であり、そのまま「まろばし」は私のスタイルなのです。そのイメージと想いは今でも全く変わりません。勿論私は極意を得たとは思っていませんが、この曲は、今でも私の一番の代表曲であり、国内外で何度となく演奏してきました。ウズベキスタンでは、バックにミニオケを配した編曲で演奏してきました(指揮 アルチョム・キム オケはオムニバスアンサンブル 左写真)。共演者も今迄に、国内外の数えきれない程のプレイヤーと演奏してきました。放浪の武芸者よろしく、あらゆる相手と他流試合をやってきた感じですね。

そんな想いの蓄積を持って、今回鉄舟寺に向かったのです。ご住職にもその想いを伝え、色々とと話をしてきたのですが、そこからまた話は展開して行きました。
ご住職は若い頃ロッククライミングをやっていたそうで、シルクロードにも遠征していたそうです。特にタリム盆地辺りには思い入れがあったようで、我々が最初に「塔里木旋回舞曲」を演奏しだした時には、ビビっと来てしまったとの事。私にとってシルクロードは子供の頃からの憧れの地で、ある種シルクロードオタク状態でしたので、ご住職とは話も大いに弾みました。なんだか色々と縁を感じる演奏会でした。
1

演奏会は昼間でしたので、その足で我がソウルフード「しぞーかおでん」を食べに行きました。静岡では、おでんは子供の食べ物。駄菓子屋さんなどにあるのが正しい形です。今でも色んなおでん屋さんに、中高生が学校帰りに集まっています。静岡のおでんは全部串にささっていて、その串の本数で値段が決まるというシステムで、当時は一本5円でした。20円位を握りしめ、よく駄菓子屋に集まって食べてましたね。
今では飲み屋さんでもポピュラーになっていまして、ここ「青葉おでん街」が有名です。屋台村みたいな感じで、ここの風情も好きなんです。実はここで中学の同級生がお店をやっているので、今回は演奏会の後その店へ直行。想い出話と、おでんと焼酎の夜となりました。

鉄舟寺 まろばし タリム しぞーかおでん。私にとっては基本となるものが終結したような一日でした。

4たまにはこういう自分の魂を確認するような時間も良いものですね。東京に居ると、とかくぎすぎすとしてしまいがちです。穏やかに居ようと思いながらも、街は人で溢れ、ストレスも溢れかえっている。だからこそ鍛えられることも確かですし、そこからまたアートも生まれてくるのでしょう。しかしそればかりでは人間は疲れてしまいます。
カッカした頭を冷やして、また新たな作品に取り組んでいきたいと思います。私のスローガンでもある「器楽としての琵琶樂の確立」を実現するためにも、もっとソロ・デュオの作品を創って行きたいし、演奏のレベルも上げて行きたいのです。
2017-2DSC03950s
photo 新藤義久(白黒のみ)

a29s来月の日本橋富沢町楽琵会では、また今年も観世流シテ方の津村禮次郎先生をお迎えして、私とヴァイオリンの大ベテラン田澤明子先生で、拙作「二つの月」を演奏します。この曲もある意味自分の活動の原点となった作品です。9,11の時に作曲した作品で、ちょうど私が琵琶で演奏活動を始めてすぐの頃でしたので、非常に強い想いを持っていました。この曲も「まろばし~尺八と琵琶の為の」と同じく1stアルバムに収めてあります。その時はチェロと琵琶での演奏でしたが、昨年リリースした「沙羅双樹Ⅲ」ではヴァイオリンと琵琶に再アレンジして、田澤先生と録音しました。今回はこのァージョンで演奏します。ヴァイオリン・能・琵琶の競演を是非観てください。お待ちしております。また改めてお知らせいたします。

年齢を重ねて行くと、勢いだけでは体力が持ちません。時々原点に立ち返り、ソウルフードでリフレッシュ、リセットして、更なる精進したいと思います。

あわいを生きるⅡ

先日の琵琶樂人倶楽部、お陰様で無事13年目に進むことが出来ました。細々とした地味な会ではありますが、毎月毎月よくまあ続けてきたな~と我ながら思います。この12年間は、私も様々に充実した活動をさせてもらい、より一層器楽としての琵琶の音を響かせたいという想いが強くなってきました。「器楽として」琵琶の妙なる音を響かせてゆくのが、私の使命と感じております。まあ樂琵琶は元々器楽なのですから、先祖返りとも言えますね。

少し前には、池袋あうるすぽっとでの公演「能でよむ漱石と八雲」もとても良い感じで終えることが出来ました。能楽師の安田登先生を中心に、浪曲師の玉川奈々福さんと私が安田先生の語りに合わせて弾いたのですが、三味線と琵琶が絡み合って、正に「Theコラボレーション」が出来ました。やはりアドリブが効く方々は一緒にやっていて気持ち良いですね。安田先生も言っていましたが、一緒に舞台に立つには、楽器の音色やジャンルの特性など、色々と要素はあるけれど、やはり最終的には「人」であり、その人がどんな感性と視点を持っているかにかかっているんだなと改めて思いました。

演目は漱石の「夢十夜 第三夜」と「耳なし芳一」を上演したのですが、今回は「あわい」が一つのキーワードとなっていました。霊を呼び、現世の他に異界とも通じて、現世と異界の「あわい」に存在していた芳一。対して現世の限られたレイヤーの中だけに居て、異界を感じることが出来なかった和尚。安田先生はこの二人の在り様を中世的と近代的という言い方をしていましたが、異界を感じている感性と、目の前の現実しか感じなくなっている感性。そんな対比が浮かび上がってきました。

「Photo 山本未紗子(BrightEN) 

文明は物をもたらしましたが、異界の存在を消し去りました。現代に於いても、お盆や墓参りなどの習慣がどんどんとなくなり、目に見えない世界=異界を傍に感じることが極端に少なくなってきました。これはある意味、伝統的精神文化の変化(または崩壊)を意味しているといえるでしょう。
芳一が座っていた「縁側」も、内と外(現実と異界)の「あわい」であり、八雲の書いた時代も、明治という旧価値観と新たな感性が共存していた「あわい」にありました。

平安時代は琵琶も器楽として、その妙なる音が大きな魅力と力を持ち、秘曲など素晴らしい曲があったのに、鎌倉時代に入ると、琵琶の音は弾き語りのだたの合いの手になって行ってしまいました。それは樂の音の霊性が失われたと言えるかもしれません。声が和歌などを中心として「言の葉」「言霊」という霊性を持っていた時代から、お話を語る現世のツールになって、霊性を失って行った時代へと移り変わったことで、声の伴奏に使われて、樂の音の霊性が奪われたのかもしれません・・。
そして弾き語りが明確に出来上がった鎌倉時代自体も「あわい」にありました。権力が武家に移ったことで、あらゆるものの価値観が急激に変わって、世の在り様が大きく変化していった時代です。政治だけでなく、貴族の多夫多妻制から、武家の一夫一婦制へと常識が変わったのもこの時期ですし、お金を稼ぐという意識のない貴族の荘園制度から、武家の御恩奉公の実力主義に変わって行き、手柄を立てたものが多くの収入を得るという現代に通じる価値観に変化していったのもこの時期です。古い価値観と新たな価値観がぶつかり合っていたのが鎌倉時代でした。

日本橋富沢町楽琵会にて、津村禮次郎先生と

今年は「あわい」という事が、私の一つのキーワードになってきているようで、色んな場面でこの「あわい」を感じます。私の50代という年齢も、ある種の「あわい」に立っていると思いますし、自分を取り巻く環境も、旧価値観と新たな価値観の「あわい」に立っているような、そんな感じがするのです。
新しい時代の流れを感じずに、目を閉ざして生きるのは良くないですし、過去を知らないのも良くないです。と思います。上記の樂の音や言霊のような大切なものは、是非残したいと思う反面、時代に即さない旧い感性が、新たな才能をつぶしてしまうという面もあります。両方ともに感じるこその「あわい」なのでしょう。この「あわい」の中でこそ、いや「あわい」の中でしか、次の時代を創る天才達は生まれないのかもしれません。

永田錦心
永田錦心がSPレコードを通じて全国区になったのと同じく、現代ではネット配信で世界に瞬時に広がる時代です。しかし邦楽人・琵琶人の感覚はどうでしょう??。未だ大きな劇場でリサイタルをやり、賞を取って、知り合いを招待して御披露するのが、活動している事だと思っている人も多いですし、流派の曲をお見事にやるのが正統派だと思う人も多いでしょう。まさに現代は先端のテクノロジーによる新しい価値観と旧価値観のはざまにある「あわい」の時代なのです。
物事や情報が世界を駆け巡り、インタラクティブに動いている時代に、音楽家はどう動いたら、この妙なる音を世に響かせることが出来るのでしょうか・・。

ノヴェンバーステップス初演時の鶴田錦史

永田錦心も鶴田錦史もきっとそんな時代の移り変わりの中で、旧価値観と新たな価値観の「あわい」に存在していたことと思います。それは武満徹も黛敏郎も、ドビュッシーもラベルも、シェーンベルク、バルトーク、ピアソラ、マイルスも同様、皆「あわい」の中に在り、多くのレイヤーを行き来して、自分の周りに、ある種の異界を感じていたのかもしれません。そして皆同様に旧勢力からは理解されず、非難罵倒されてきました。武満は「音楽以前の問題」と当時の評論家(山根銀二)に酷評され、ラベルは、現在現代ピアノの音楽の元祖とも言われている「水の戯れ」をサン・サーンスによって酷評され、パコ・デ・ルシアは師匠でもあるサビーカスに「フラメンコを汚した」とまで言われ、土方巽も「まともに立っていられない、技術がない」と評され、ピアソラもジミヘンも皆旧勢力によって批判攻撃されてきたのです。旧価値観の物差しでしか見ない人には、新たな感性や技術、形は理解出来なかったのです。
なまじっか専門家になると、自分がやってきたものを土台にしてしまい自分とは違うものを素直に見れなくなるものです。しかし時代に生きる一般の人々はどの時代でも違います。つまらないプライドも無く、余計な知識も無い分、素直に新たな時代の新たな音楽・芸術を皆支持してきました。そして新しい価値観で、新しいフォームが出来上がり、それらを創り上げた人達、彼ら自身が次世代スタンダードになって次の時代の幕を開けて行ったのです。

近江楽堂にて、笛の大浦典子さんと

皆「あわい」の部分に居たからこそ、前の時代と次の時代を見渡すことが出来、そこから新たな世界を生み出せたのでしょう。それには柔軟な感性が何よりも大事です。古武術の甲野善紀先生は「頭で習って、なぞり、ある種の癖をつける」ということ、いわゆる「教わる」ということに警鐘を鳴らしています。習うことで「見取る」能力が落ちて、自分でも気が付かないうちに「こういうものだ」という刷り込みが出来上がって、そのものをよく理解せず、頭が凝り固まってしまうものです。自分で見取り、考えて行けば、色々な側面からの視野を持てるし、自分と違うものさえ、良いと思えば吸収して行けるのに、訳も分からず刷り込まれてしまって、ある程度実績も積み自信もついて来ると、自分自身で目を閉ざしてしまい、尚更その呪縛からは逃れられなくなってしまうものです。そういう状態では、違うレイヤーを感じることすらできないでしょう。

簡単に言えば、頭が固いという事は器が小さいという事ですが、新旧の価値観、様々なレイヤーを行き来出来る者だけが、次世代の形を示す。またそういう人を天才と呼ぶのでしょうね。
この「あわい」の中、私はどう生きて行くのか、自分でも楽しみです。

祝 琵琶樂人倶楽部13年目突入!!

秋になってまいりました。先日、櫛部妙有さんと「方丈記」をやってきたばかりなのですが、今は9月10月のとんでもない忙しさは過ぎて、せいぜい週に二回ほどの演奏しか入っていないので、気持ちも落ち着いています。何事も緩急があるのは良いことです。やはり余裕は必要ですね。

琵琶樂人倶楽部の看板絵 作:鈴田郷 

お陰様で琵琶樂人倶楽部は13年目に入りました。2007年11月に立ち上げたこの会も、あっという間に12年が過ぎ、また来年一年の予定もすでに決まって、早140回を超えて毎月開催出来ているというのは嬉しい限りです。
発足当時は琵琶樂の正しい歴史を知ってもらいたいという想いで始めたのですが、やっと薩摩琵琶をやみくもに「古典」だなどいと言う人も少なくなってきたように思います。まあ私も大学や色々な演奏会やレクチャーでその歴史を紹介してきたので、少しは琵琶樂のお役に立てたのかもしれません。
また2016年からタイプの違う定例会、日本橋富沢町楽琵会も発足して、定期的な琵琶会が、こうして順調に開催されていることに喜びを感じます。

琵琶樂人倶楽部発足当時 高野山常喜院演奏会にて 若い!!

しかしながら、琵琶樂全体は未だ世間から孤立していますね。Youtubeなどを見ても、まだまだ流派の曲を上手にやる事にとどまっているのが現状です。永田錦心が創り、目指したような創造的な芸術音楽にはとても至っていないと私は思います。私自身は作曲家でもありますので、もう50曲以上も琵琶の独奏曲やアンサンブル曲、歌曲、器楽曲を書いて演奏してきましたが、琵琶の世界全体を見渡すと、創造的活動をしている人は本当に少ないです。残念でなりません。むしろ流派の外側に居る方が、面白いことをやり始めてきた感じがしますね。

琵琶樂人倶楽部がそんな創造的人材を育むことに少しでも貢献出来ているのなら嬉しいです。ビジネスでもそうですが、旧来の組織や概念からは次世代のスタンダードは出てこない。それは明治期の永田錦心や、昭和期の鶴田錦史の例を見るまでもなく明らかです。彼らは本流の外側に居たからこそ新しいセンスを琵琶に持ち込むことが出来たのだと思います。
改めてこの二人の偉大さを感じます。そしてフラメンコのパコ・デ・ルシアや、タンゴのアストラ・ピアソラのように時代をリードするようなカリスマこそが、今、琵琶樂に必要だと思います。小さな世界で虚勢を張っているような小器では、もう後がありません。永田錦心が目指したように、世界を視野に入れて、新たな時代に新たな琵琶樂を高らかに鳴らし、響かせて頂きたいですね。

開催100回記念演奏会にて

今薩摩琵琶に求められているのは何なのか。私は新しい曲とセンスだと思っています。薩摩琵琶は流派というものが出来てまた100年余り。古典と言えるほどの歴史は無いので、とにかくこれから時代に沿った曲を創りだして、リスナーに支持していただけるようになったら、古典音楽に成って行くことでしょう。とにかく楽曲創り、その一点に未来がかかっていると思います。時代の感性が反映されなければ、誰も聞いてはくれません。やっている人だけが楽しいというジャンルは、ジャズの例を見るまでもなく、衰退して行きます。リスナーに興味も関係もない曲を大声で「お見事」に歌っても共感は生まれません。未だ男尊女卑的、軍国的な内容の曲をコブシ回しながらやっていること自体、私には理解できないですね・・・。
永田錦心が明治という新たな時代に新たなセンスで曲を作り演奏したからこそ、今があるのです。出来合いのものに胡坐をかいて、自慢し合っているようでは、明日は見えてきません。この妙なる音色を、何としても次世代に届けたいと思っています。
来年一年の予定は以下の通り


1月8日  春を寿ぐ歌 

              ゲスト 内藤眞代(筝) 長谷川美鈴(笛) 

2月2日  現代の琵琶樂  

       ゲスト藤田晄聖(尺八) 濱田協子(Vi) 

3月11   次代を担う奏者たち 

              ゲスト 須田隆久(薩摩)岡崎史紘(筑前) 

48日   樂琵琶の秘曲を聴く

              塩高和之(樂琵琶・レクチャー)

513日   筑前琵琶の世界

             ゲスト 平野多美恵(レクチャー・筑前) 

610日   薩摩琵琶で平家で平家を聴く

        塩高和之(薩摩) 他ゲスト未定

7月8日   樂琵琶と平安文化 

              塩高和之(樂琵琶・レクチャー)

8月16日(日)SPレコードコンサート(8月のみ第3日曜日開催 18時00分開演)
99       語り物の系譜13 

       塩高和之(樂琵琶)ゲスト 櫛部妙有(朗読)  

1014日   BIWA from Silk
Road
   

               塩高和之(樂琵琶・レクチャー)ゲスト未定

1111日     薩摩琵琶その歴史と変遷 

               塩高和之(薩摩琵琶・レクチャー)

12月9日   お楽しみ企画              


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琵琶樂人倶楽部を開催している会場 名曲喫茶ヴィオロンにて photo新藤義久
来週の琵琶樂人倶楽部は原点に返り、薩摩琵琶の歴史と変遷のお話、演奏をやります。

第143回琵琶樂人倶楽部
11月13日(水) 午後7時30分開演 ゲスト長谷川美鈴(篠笛)
レクチャー「薩摩琵琶、その歴史と変遷」演奏曲:「祇園精舎」「経正」「花の行方」「風の宴」

是非是非お越しくださいませ。

舞台音楽2019

先日、渋谷セルリアン能楽堂にて「小町花伝」を上演してきました。

これは、年老いた小野小町の事を描いた、能「卒塔婆小町」を題材にした現代劇だったのですが、先ずは第一部として謡曲「卒塔婆小町」を安田登(能楽師)、奥津健太郎(狂言師)、玉川奈々福(浪曲師)の各氏が朗読(?)。それに私が琵琶を付けて、聴いていただきました。それも安田・奥津の能チームは古語、奈々福さんは現代語という時空を超えたやり取りが面白かったです。
その後、劇団mizhenによる、「卒塔婆小町」を題材とした4部形式のオムニバスの「小町花伝」の上演に、私と明和電機でご活躍のヲノサトルさんが音楽を付け、アフタートークでは内田樹先生も登場して、作演出の藤原佳奈さん、安田先生と縦横無尽に語り合うという、なかなか豪華な会でした。能楽堂にシンセを持ち込んでカラオケまで歌うという斬新な演出で、役者の熱演も相まって、感性が自由に羽ばたく素晴らしい内容でした。劇中歌がまたとても素敵で、シンプルな歌詞とメロディーが実に良くこの作品を表していて、今でもふと頭の中で鳴っていることがあります。素晴らしい曲でした。この公演はメディアにも色々と取り上げられていたようで、評もネット上に多数出ているようですので、是非ご覧になってみてください。
   能楽師 津村禮次郎先生と
私は琵琶を始めた最初から、ダンスや演劇、語り・朗読といった方々に声をかけてもらって、もう20年もそんなコラボレーションをやっています。ダンス系が特に多く、日舞や能からクラシックバレエ・舞踏までジャンルも幅広く、良い経験をさせてもらっていますが、ダンスと音楽はパートナーシップが強いので、音楽によって、ダンスもかなり表情を変えます。中でも能と舞踏の方はアドリブが効くので、やっていて面白いですね。先日も安田登先生と俳優の佐藤蕗子さん(mizhen)と私で「耳なし芳一」をやったのですが、私が結構アドリブをかましたので、何度もやっているはずの作品も随分と感じが変わりました。佐藤さんは、安田先生と私のアドリブの応酬にびっくりしていましたが、それに答える彼女もなかなかのもの!。期待が持てます。Liveな感じは、私の真骨頂ですので、こういう共演は嬉しいですね。
日舞の花柳面先生と
逆に、演劇系の方は、音楽を従えるという感じになることが多いですね。どちらも面白いのですが、弾く姿勢は随分と変わります。演劇の方は、役作りやスタイルなど、創り上げて、練り上げて舞台にかける方が多く、また演出家が居ることがほとんどですので、役者本人の範囲では少し即興はするものの、こちらの即興に答 えて、舞台の上で音楽と呼応して行くという方はほとんど見たことがありません。これは良い悪いではなく、それぞれの特徴ですね。
この違いがどこから来るのか、前から思っているのですが、ここ10年で、それは言葉があるからだと、私は結論付けています。まあ弾く方としては、即興性も欲しいし、舞台上での完成度も欲しいし、音楽と、踊・語・演がブレンドして行くのが理想なんですが、言葉が入いると難しいですね。
どうしても言葉の持つ具体性が先行してしまって、音楽は従になってしまう。音楽の持っている抽象性と、自由に時間軸を行き来出来る性格が、言葉の時間軸と相容れないことが多いです。これが能のような古語だと、一気に抽象性が増して、一緒に時間を行き来することが出来るのですが、不思議なものですね。
現代語では、どうしても時間が先へ先へと進んでしまいます。詩のようなセリフでしたら、時間を超えてゆくこともできるのでしょうが、日常的な言葉では、なかなか時間軸は自由になりません。しかし古語だと、そういう前進性をあまり感じないのです。勿論内容も昔の出来事というのもあるのでしょうが、多分に古語の持つリズムがそうさせるのでしょうね。このリズムの違いはもう少し探究してみたいと思っています。そういう意味でも今回の「卒塔婆小町」の、古語と現代語が交互に現れる手法は、面白かったのです。
喫茶茶会記櫛部
来月、朗読の櫛部妙有さんと、「方丈記」をやります。櫛部さんは言葉に対する探究を怠らない人で、表面の語り口は淡々としているようで、内面は実に表情豊かな感性が漲っているというスタイル。そして音楽にも造詣が深く、、その時々での音楽の在り方にしっかりとしたイメージと意見を持っているので、とても素直に音が接することが出来ます。まあ音楽は確かに従になるのですが、言葉と音の両方一緒に全体像を明確に描いてくれているので、音を添えても無理がないのです。朗読の方は割と一人で完結している人が多く、自分一人でもできるけど、そこにちょっと色を添えて欲しいというタイプの方が多いのですが、これだと、琵琶のような強烈な個性のある楽器は、一瞬で流れや世界を変えてしまうので、実にやりにくい
櫛部さんのように、音楽の時間軸と、言葉の時間軸をよく理解して、琵琶の持っている個性を判ってくれている方だと、こちらも自由に音を出して行くことが出来ます。語る人で、ここまで音楽に対して明確な認識を持って挑む人は少ないですね。私は櫛部さんに対して、変化球でドライブして行くような展開にはしませんが、結構自由に弾かせてもらっています。

まあ私のこれまでの感想でしかないのですが、もう少し音楽に心を向ける舞台人が増えて欲しいと思います。踊りでも演劇でも語り物でも、音楽の扱いにがっかりすることが少なくありません。私もけっして演劇に精通している訳ではないのですが、よく御一緒させてもらう津村禮次郎先生などは、実によく音楽のこと知っていて、私の知らないことも色々と教えてもらってます。そういう方と御一緒すると、おのずと音楽も生き生きとして、舞台全体も凄いことになって行きますね。日舞の花柳面先生や津村先生との舞台では、今までに何度も強烈な、圧倒的な瞬間を味わったことがあります。得も言われぬ凄い体験でした。

ヴィスコンティの「ベニスに死す」のラストシーンで、マラーの5番アダージェットが流れるのは皆さんご存じだと思います。あの場面にこの曲を選んだという事をみても、ヴィスコンティ自身が音楽に対しての最大限の尊敬を持っていたとしか思えないですね。見識と知識も豊富だという事が判ります。こういう映画を観ると、映画は総合芸術だなと改めて思います。こういう映画をもっと観たいものです。

今考えていることが一つあるんです。それはいつか出来ることなら、役者と一対一で舞台を創ってみたいのです。舞台の上に私と役者の二人だけが居て、余計な演出も効果音も無く、ただ琵琶の音と役者だけが居るという、そんな映像が今頭に浮かんでいます。先日の「小町花伝」も、小野小町の若い頃から年老いてゆく様を一人の役者が演じるのもありかも、という意見がありましたが、音と身体と演技の濃密な関係を築けるような舞台を、いつか実現してみたいですね。

ハイレベルなコラボレーションをこれからもやっていきたいと思います。

Various facets 2019

またまた更新が滞ってしまいました。先月から続く怒涛の演奏会ラッシュで、どうにもブログまで手が回らず滞っておりますが、どうかご勘弁を。このところは日本橋富沢町楽琵会にて「四季を寿ぐ歌」の初演、神奈川県鶴見での笛の大浦典子さんとのレクチャーコンサート、セルリアン能楽堂にて「小町花伝」等々無事やってまいりました。

2s
「四季を寿ぐ歌」演奏中

中でも日本橋富沢町楽琵会での「四季を寿ぐ歌」は、とても良い感じで初演が出来、嬉しく思っています。私にとっては初めての歌曲での新作発表でしたので、リハーサルの時までは、どうなるか心配でしたが、本番は実に良い感じのアンサンブルになって良かったです。さすがに皆さんプロですな。これで全体が見えてきたし、この勢いで何度か再演出来ればと思っています。

私は薩摩琵琶による現代音楽から雅楽の古典迄、自分の中で沸き起こる想いさえあれば、どんどんやりますので、琵琶に特有のイメージ(例えば耳なし芳一など)を持っている方には、びっくりされるかもしれないですね。まあほとんどのリスナーは面白がってくれますので、毎回ありがたいことに好評を頂いていますが、どのスタイルも私の中から沸き上がったオリジナルのスタイル。生活に色々な場面があるように、音楽にもいろいろなスタイルが我が身の中に混在しています。私は琵琶を手にした最初から「汎アジア」という観点で琵琶を弾いていますので、アジアの歴史の多面性を考えても、スタイルにバリエーションがあるのは当然の事なのです。

kouya 4m
ちょうど10年前、高野山常喜院演奏会にて
逆に「これしかない」と演者の方が拘ってしまうと、それを維持しようとしてどんどんと無理やストレスが溜まっていくものです。また長年やっていると、そのカテゴリーの中で、自分は「かくかくしかじか」の存在であるという想いもだんだん出来てきてしまいます。そうなってしまうと常にそうであろうとして、自由な精神は影を潜め、そういう自分であろうとする姿になってしまいます。自ら檻を作っているようなものですね。邦楽全体の衰退が正にここにあるのかもしれません。
人間は必ず誰でも年を重ね老いて行き、世界はめまぐるしく変化します。そういった自分を取り巻くものにコミットしてこその芸術であり、音楽もまた時代と共に変化して行くのが素直な姿だと私は考えていますので、芸術家が一つの型に固執することは、芸術から実に遠い姿だと思っています。凝り固まった頭からはお稽古事以上のものは生まれません。
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日本橋富沢町楽琵会にて  Photo 新藤義久

私は自分でも気づかない内に様々なレイヤー(階層)を行き来しています。それが自分には自然であり、楽しくもあるのです。昔から日本人は集団の論理に流されやすいと言われていますが、その思考があるが故に、一つの型からはみ出してしまうと、途端に力を失ってしまう人が多いですね。負け組なんて言う言葉がそれをよく表していると思います。弾くのが上手い人は弾けばいい。歌うのが上手い人は歌えばよいのです。協会や流派に入らなくてはいけないなどという法律がある訳でなし、自由に思うようにやれば良いのです。しかし何となく所属集団の声や世間の言葉に惑わされ、これが上級、これは下級というくくりを自分でつけてしまうから苦しくなるのではないでしょうか。ステレオタイプの中に自分を閉じ込める必要はない!。特に音楽の精神は常に自由であることが何よりも第一です。集団の論理に振り回されてはいけません。

今、日本全体を見ていると、どうも一つの狭いレイヤーの中しか視点が及ばず、それ故に苦しんでいる人が多いように思います。日本では「普通」という言葉がやたらと使われていますが、こんなに不思議な言葉は他に無いと、私は常々思っています。周りの目を異常に気にする日本人は、何となく右へならへの感覚が「普通」なのでしょう。これが 現代日本の抱える問題の根本的原因のように思います。企業でもうつ病で出社出来ない方が増えているそうですが、何もサラリーマンでなければ人生全うできないという訳でないでしょう。これだけ世界と繋がっている時代に、そんな旧価値観で生きているのは、かえって危ない感じがします。
定収入は確かに必要な部分かもしれませんが、お金が先になっては、自分らしい生き方は出来ませんね。

2019-7-4-2
レイヤーを超える達人 安田登先生と広尾東光寺にて
多くの視点を持ち、常識や因習から解放されて、自分の姿を見つめるという事は、これからの世の中に生きる人間としてとても重要なことなのではないかと思っています。世界中と繋がっているという事は、あらゆる価値観があるという事です。「こうであるべき、こうでなくてはならぬ」という概念を持った時、人は苦しみだします。日本人の「普通」はもう日本の中でさえ通用しないのです。
またお金を一つの価値とする考え方もすでに崩壊しているようにも思えます。お金で物事を判断するようなのは既にバブル時代の遺物でしょう。

今は、人間が生き方そのものを変えてゆく時期に来ているように思います。地球環境はどんどんと変化していますし、世界中と自由に繋がることのできるこの時代に、小さな範囲にだけしか通用しない、ある特殊な感覚で生きようとしても、生きること自体が難しくなってしまう。レイヤーを超えて、別のレイヤーを行き来すればとても楽に生きられる。そのためにも囚われを無くし、いつも自分らしくプレーンな状態でなくてはとても行き来は出来ません。お金があるから幸せなんて、そんなものが幻想という事は誰でもわかっていながら、その幻想に囚われているのではないでしょうか・・・。

自由に、国境もレイヤーも飛び越えて生きて行きたいですね。

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