10thアルバム「AYU NO KAZE」配信開始② 曲紹介

1月11日に配信が始まりました10thアルバム(未発表曲を集めたオムニバスを入れると12th)「AYU NO KAZE」の曲紹介です。今回は20年以上前にリリースした1stアルバム「Oriental Eyes」の頃に帰ったような私の原点に直結した作品を集めました。20年以上の時を経て改めて私の音楽が浮かび上がって来た気がしています。琵琶弾き語りは無く私自身は歌っていません。1曲のみメゾソプラノに歌ってもらっていますが、いわゆる歌とはまた違いヴォイスと表現した方が良いと思えるようなもので、全体がインストアルバムと言えます。器楽としての琵琶樂をずっと標榜してきた私の現時点での答えとも言える内容です。

「東風 AYU NO KAZE」
薩摩琵琶の独奏曲です。「風の宴」に続く曲として、何としても薩摩琵琶での独奏曲を創りたいとずっと思っていたのですが、ようやく出来上がりました。「風の宴」はいわゆる都節音階で出来でいるのですが、こちらは全体がマイナーペンタトニックで創られています。タイトルの「あゆのかぜ」とは万葉集の中で大伴家持が越中時代に読んだ歌「あゆのかぜ いたく吹くらし奈号の海人の 釣りする小舟こぎ隠る見ゆ」という歌から取りました。この歌では東風を「あゆのかぜ」と読ませていますが、これはこの地方(現在の富山県射水市辺り)の呼び方という事です。日本海側の風には日本の風土に渡る風だけでなく大陸からの異国の風も吹き来て、都とはまた違うものを感じさせる風だったことと思います。ここは部分的に転調を入れる事で違う種類の風を表現していて、そこがこの曲の一つのポイントになっています。万葉の頃は異国からの文化が入って来て来て、時代が静かにそしてダイナミックに変化して行く時代。それはそのまま現代にも通じるものを感じます。そんな雰囲気を形にしてみました。この曲は今後の私のスタンダードになると確信しています。

「凍れる月~第二章」
2006年の発表した「流沙の琵琶」というアルバムの中で「凍れる月」という龍笛と樂琵琶の作品を発表しました。その曲の雰囲気は私が琵琶も手にする以前から追いかけて来た一つのイメージを具体化したのですが、今一つ作曲が甘く、何度も舞台で演奏しているにも拘らず、思うような世界が立ちあがるのは本当に稀で、常に平均点を超えられなかったのです。そのイメージをもう少し確実に舞台で表すことが出来るように、あれこれと考えかなり長い間もやもやして、何度も譜面を書いては書き直しライブで試行錯誤を繰り返しようやく形になりました。またそのイメージはジャズの名曲「Blue in Green」にも通じる所があり、この想いをヴァイオリニストの田澤明子先生にぶつけてみた所、田澤先生の類い稀な感性と技術が見事に新たな世界を示してくれました。これらの試行錯誤の中から生まれたのがこの曲です。前作「凍れる月」の先に見えてたイメージがこのよう姿を見せてくれて、本当に嬉しいです。

「凍れる月~第三章」
第二章が出来上がった事で、今度は少し別の視点から同じモチーフを捉えようという想いが出てきて具体化した曲です。第三章ではモチーフは同じながらドラマ自体をがらりと変えて一本調子の篠笛と薩摩琵琶という組み合わせで創りました。第二章まではある色彩を念頭に全体の幻想性を前面に出して抽象的な雰囲気に仕上げているのですが、こちらは月が人格化し、月自体が内に秘めた狂気を吐き出して、ルナティックに動き出すようなドラマ構成にしました。ちょっとプログレっぽい感じです。かなり激しくなる部分もありますし、手法としてインテンポとルバートを同時に組み合わせてみたりして、ダイナミックに仕上がっています。途中オーネットへのオマージュも盛り込みました。これからのデュオの定番になりそうな曲です。

「凍れる月~第四章」
こちらは第二章の雰囲気を樂琵琶の独奏に置き換えて、静かな小品としてまとめてみました。こういう樂琵琶の独奏曲もぜひ欲しかったので、割とすらすらと曲が出来上がりました。これからはまた樂琵琶の演奏会もやって行きたいので、そんな時にはぴったりの曲です

「西風(ならい)」
9thアルバム「Voices from the ancient world」で、ヴァイオリンとのデュオで収録した曲です。
「ならい」とは東日本の太平洋側の漁師言葉で、冬に吹く風の事を言います。土地土地によって風の方向が変わるのですが、今でもこの「ならい」は使われています。琵琶は西方から伝わった楽器ですので、私は「西風」と書いて「ならい」と読むようにして、「東風」を「あゆのかぜ」と読む第1曲目との対になる曲として位置付けています。
元々笛や尺八など邦楽器とのデュオの為に創った曲ですので、今回は元々の形である篠笛とのデュオの形で再録してみました。マイナーペンタトニックによる民謡風のテーマメロディーが様々に変化して行く様を描いてみました。チューニングはDDADを使っています。以前はDDAEが定番で「まろばし」や「二つの月」等以前の作品ではこちらを使っていたのですが、ここ何年かの作品「Voices」「凍れる月~第三章」等ではこちらをよく使ってます。絃の張り、全体の鳴りだけでなく柱のポジションも大変使い易く、私の琵琶にはぴったりなチューニングだと感じています。

「遠い風」
樂琵琶と篠笛による静かな作品です。異国の風を感じるメロディーながらどこか懐かしい気持ちになる、そんな所がコンセプトです。このメロディーを聴いているのは日本に帰化した渡来人かな?。

「Voices」
ここ数年演奏している曲ですが、元々は福島応援隊という団体が主催するイベントの為に作曲したものです。初演は新横浜のスペースオルタ。画家 山内若菜さんが製作した福島をテーマにした巨大な作品の前で演奏しました。震災詩人 小島力さんの詩に私が曲を付けたのですが、そのけれんの無いリアルな言葉に音を付けるのは難航しました。一度はお断りもした程でしたが、再度の依頼を受け結果的に素敵な曲となりました。先ず言葉を分解して音声レベルにして音楽を付け、曲の進行と共に言葉がリアルな実態を持って立ち現れるような作りにしてみました。初演はメゾソプラノ・能管・琵琶でしたが、何度か試行を繰り返しまして、最終的にメゾソプラノ・ヴァイオリン・琵琶と
いう形になりました。このヴァージョンは昨年、保多由子メゾソプラノリサイタル(銀座王子ホール)にて演奏しました。

「Voices」初演時に山内若菜さんがスケッチしてくれたもの

以上が今回の内容です。これらの作品はいずれもこれからの私の重要なレパートリーになる作品ばかり。これ迄琵琶語りなどもそれなりにやって来ましたが、やはり私は器楽としての琵琶樂をずっと標榜してきましたし、これからも何を置いても琵琶の音色を届けたいのです。歌ではありません。

私は1st「Oriental Eyes」から、全て自分で作曲をして琵琶のインストをやって来ました。樂琵琶でも古典雅楽ではなく、あくまでオリジナルな世界を表現して来て、あくまで琵琶の音至上主義でやってきたのです。ただ15年~20年位前は薩摩琵琶の流派の常識である「弾き語りでなくては琵琶ではない」という価値観にまだどこかで囚われ、弾き語りでも絶対に負けられないという気持ちが強くありました。自分の中の囚われに振り回されていたという事なのでしょう。今となってはそれもまた経験の一つですが、そんな所も2018年リリースの8thアルバム「沙羅双樹Ⅲ」で「壇ノ浦の弾き語りを収録して、それできっぱり囚われから卒業して、9th「Voices from the Ancient World」ではヴァイオリンとのデュオインストアルバムを創りました。そして今回、何物にも囚われない私独自の世界を実現できたと自負しています。やはり私は琵琶の音色を聴かせるのが自分の使命だと思っています。

囚われは鎧であり、自ら呪いをかけているようなもの。囚われている間は自分の本来の姿が霞んで、時間はどんどん過ぎて、つまらない所に引っかかっていて行くべき道も見えなくなります。囚われの時期は今思えば確かにプラスの経験だったと思いますし、そこを乗り越えたからこそ、本来の道を再確認する事も出来ましたが、それは自分の道に戻って来れた人だけが感じる事で、囚われている内はそれを感じる事も、行くべき道に戻る事も出来ません。頑張っている人程、どうしても自分に呪いをかけるが如く、承認欲求や自己顕示欲という囚われの中でもがいている。若い時ならそれも一つのパワーともなりますが、いつまでもそこに留まっていたらどんどん萎んで行くだけです。そんな人もたまに見かけますが、是非鎧を下ろし本来の自分のあるべき姿を取り戻して、自分の行くべき道を進んで欲しいなと思います。

私は琵琶で活動を始めたのがもう30代半ばでした。それに加え、何をやっても人より時間がかる性質ですので、随分年を重ねてしまいましたが、年々少しづつでも自分の行く道がはっきりとして来て、今こうして私の音楽として姿を現してくれた事が本当に嬉しいですね。重たい鎧を全部脱ぎ捨て、パット・マルティーノが言うように自分が自分らしく在る事が一番の喜びだと実感しています。この「AYU NO KAZE」は私のマイルストーンとなって、これからの活動の主軸になると思います。これからの人生が益々楽しみになってきました。

10thアルバム「AYU NO KAZE」配信開始 ① メンバー紹介

T5m加工K&S7m

2025ー1ー8 琵琶樂人倶楽部にて 藤田晄聖(尺八)藤田祥子(筝)

年初の琵琶樂人倶楽は、今年も筝・尺八を迎え華やかにやらせていただきました。毎年こうして一年のスタートを切る事が出来るのは幸せな事。本当に嬉しく思っています。

ジャケットm

今月リリース予定の10thアルバム「AYU NO KAZE」は今月11日にリリース予定です。オリジナルアルバムとしては10th、未発表作品を集めたオムニバスアルバムを入れると12thとなる今作品は、iTunes 、アップルミュージック、Spotify、レコチョク、Youtube Music等々各配信会社でお聴きいただけます。私にとってはこのインストアルバムは原点回帰でもあり、1stアルバム「Oriental eyes」から22年経って、改めて自分の音楽を見つめ直すターニングポイントだと思っています。収録された楽曲は22年の熟成を経て改めて具現化した私の音楽であり、あらゆる点に於いて私のフラッグシップとなると感じています。

これから二回に分けてこのアルバムの解説をして行きます。最初はメンバー編
大浦典子1(Ohura Noriko)笛の大浦典子(松尾慧)さん。彼女とはもう30年近くに渡って一緒に演奏しています。私に樂琵琶を勧めてくれたのも、雅楽を教えてくれたのも大浦さんでして、日本各地の民謡も色々と紹介してくれました。本当に私の視野を広げてくれて、毎回私は学ぶ事ばかりです。今回も自分で創った曲ながら、一緒にリハーサルを重ねていて、彼女の演奏を聴きながら何度も手直しを繰り返し録音しました。曲に対してこれだけの熱意をもってアプローチしてくれる人はなかなか居ません。私の作品の笛はほぼ大浦さんですが、一番最初に創った私の代表曲「まろばし」をはじめとし、総ての曲が彼女の助力なしでは成立しなかったものばかりです。今回収録した「凍れる月~第三章」はこれから笛と琵琶の定番曲として「まろばし」と並んで演奏して行きたいと思っています。他「遠い風」ではとてもゆったりとしたノスタルジックな風景を描き出してくれて、「西風(ならい)ではこの風土に吹き渡る風を叙情的に歌い上げてくれました。

田澤1sそしてここ7,8年程御一緒させてもらっているヴァイオリンの田澤明子先生。8thアルバム「沙羅双樹Ⅲ」の時からお願いしているのですが、そのエモーショナルな演奏はとにかく素晴らしく、一緒に演奏しているとあちらの世界へと行ってしまうようなエネルギーを内に秘めた演奏家です。今回は「凍れる月~第二章」と「Voices」を演奏してもらいましたが、二曲とも田澤先生でないと実現できない曲となっています。「凍れる月~第二章」は私がずっと長い間温めていた曲想を具現化したのですが、とても抽象的なその世界観をしっかり汲み取ってくれて良い感じに仕上がりました。この曲も定番のレパートリーとなって行くと思います。「Voices」は、もともと初演時は笛の大浦さんに能管でお願いしていた作品ですが、何度か再演をして行く中で、ヴァイオリンに変えてみた所、曲の新境地が開けて来ましたので、今回はヴァイオリンでやってもらいました。

保多由子(Yasuda Yoshiko)最後はメゾソプラノの保多由子先生。保多先生には「Voices」を歌って頂きました。この曲は2年程前、福島の復興を応援する団体主催の演奏会で、震災詩人の小島力さんの「わが涙茫々」という詩に曲を付けて欲しいという依頼から出来上がった作品です。最初に詩を見せて頂いた時に、飾り気のないとてもリアルでストレートな内容に惹きつけられたのですが、同時に、これに曲を付ける事は出来ないと感じ、一度お断りをしました。しかし再度の依頼を受け、手法を変えて作曲し出来上がったのがこの「Voices」です。上記したように最初は第3パートを大浦さんの能管でやってみたのですが、その後フルートや尺八でもやってみて、昨年の保多先生のリサイタル(銀座 王子ホール)でヴァイオリンに替替えてやってみた所、保多・田澤両人の相性も良く、表現がとても豊かにマッチしましたので今回は保多・田澤・私のトリオでの演奏となりました。

とにかく3人とも大変高い音楽性と技術を持っているので、正に音楽を創り上げて行くという感じで進められたのがとても嬉しいです。有意義で且つ楽しい時間でした。日本の各地の音楽の話や、アジアヨーロッパの音楽の話など、それぞれが持つ専門の話も色々聞かせてもらって、リハーサルをやる度にどんどんと大きなものへと羽ばたいて行くのが実に面白かった。
私はどんな人とリハーサルをしても、ほとんどその中身は話をしていて、音を出すのはほんの1,2回です。私が譜面で描いた曲がどんな世界観を表現しようとしているのか、その背景にはどんな歴史があり、現代にどうつながっているのか、そんな事を先ずは説明するのですが、そこで話は終わらない。今度は共演者自体がイメージを膨らませて、どんな風景や色が見えるのか、そこからどんな世界を感じるのか、沢山沢山語りあって、それから音を出して行きます。

作品を創って行くには、そこにいかに命を吹き込むことが出来るかが問われるのです。かつての現代邦楽と言われる作品は音大でクラシックを勉強した作曲家が作っていたので、あくまでクラシックと同様、作曲家の作品として譜面は事細かく指定が書き込まれ、建築物のように作られている楽曲がとても多かった。当時はそれを忠実に再現出来る人が凄い凄いともてはやされていましたが、私はそれに大きな違和感しか持ちませんでしたし、特に邦楽器でオーケストラのようにアンサンブルするものは、交響曲モドキのようで、クラシックコンプレックスの塊にしか聴こえませんでした。なぜこんなに豊穣な文化と歴史のある日本の感性を捨てて、クラシックモドキをやって面白いのかは未だに理解が出来ません。少なくとも自然と調和共生して境界線を引かず、自由自在に物事の「あわい」を行き来するように生きて来た日本人の生き方ではないし、日本の音ではないと感じていました。ルールを決め、物事を仕切り構成し、世の中を人間中心主義で周りを加工して押し進めてしまう西欧的なやり方は、邦楽器の音色とは水と油だと思えてしょうがないのです。現代のポップス邦楽も同様に感じます。

加工し2m

2025ー1ー8 琵琶樂人倶楽部にて

私は音楽が作曲者のものではなく、演奏家のものであって欲しいと思っています。そしてリスナーのものであって欲しいと思っています。私にとって作曲とは、演奏家が命を吹き込む場所を創る事。作曲者を超えて音楽が立ち上がるには演奏家の大きな力が必要です。演奏家は再現者ではなく作曲家と同じ創造者です。作曲家と演奏家がその創造力を発揮して、初めて音楽となり得るのです。演奏者には譜面を再現する技術ではなく、演奏家自身が思い描く世界を表現するための技術が必要になってきます。正確に弾く技術ではなく、想いを具現化する力が必要なのです。そこを履違えているといつまで経っても、音楽に命は宿りません。
私は共演者の感性が自由に開き羽ばたく場を創り、出てきた音をまとめ上げるのが仕事です。だから譜面は演奏者のイメージを喚起させるものでなくてはならないのです。指定を細かく書き込んで自分の思い通りにやらせるのではなく、演奏者が自分なりのイメージを広げられるようなメロディーや音の重なりを書いて、そこから大きな世界に羽ばたいて行けるような譜面を書き、場を設定して行きます。

今回も総てそのようにして譜面を創りました。細かく指定すればするほど「私」という器の中に音楽が留まってしまいます。今回の3人は私の想像を超えるような自由で独自な世界を持っている。だからこそその何物にも囚われない野生的感性を自由に羽ばたかせることが出来るようにしたのです。現代の洋楽的な目で見ると、私は作曲家でありながらプロデューサーに近いですね。メンバーの持っている世界をどこまで引き出す事が出来るのか、その手腕を問われているのだといつも感じます。これはマイルス・デイビスをずっと聴いてきてその音楽の創り方を自分のスタイルとしてやってきた結果です。

今回はタイトル曲の「AYU NO KAZE」や「凍れる月~第四章」等、独奏でじっくり琵琶の音色を聴いて頂く曲も排していますが、全体としては作曲家としての作品個展的な内容が強いかと思います。これが私の音楽なのです。
是非お聴きくださいませ。

新年快楽2025

今年も宜しくお願い申し上げます。

もう年賀状を止めてしまいましたので、これが新年の挨拶となりますが、これも世の流れ、形式だけのものを卒業して行く過程だと思いますので、是非ご理解を。

今年は先ず何と言っても10thアルバム「AYU NO KAZE」のリリースです。22年前の1stアルバム「Oriental Eyes」が蘇ったような内容になりました。やはり自分の音楽はこれだと思える納得のいく内容となっています。1stを出した時も「琵琶らしい曲はあるのですか」という問い合わせがありましたが、「塩高らしい曲しかありません」としか答えようがなかったですね。私はこれまでの作品も全て自分で作曲したものをリリースしていますし、且つ新作をレコーディングしています。代表曲の「まろばし」のように相方を変えて何度か録音したものもありますが、手慣れたレパートリーを収録するようなことは一切しません。私が聴いて来たアーティストは皆そうして常に最先端を聞かせてくれましたし、手慣れたお見事なものを聴かせると言いうメンタルこそが、リスナーを遠ざける大きな要因だと思っていますので、これからもこの姿勢は変わらないと思います。

今回は3人のゲストを迎えました。

今年もそんな訳で私にとって新たな挑戦の一年となると思います。琵琶樂人倶楽部も昨年で18年目に突入し、開催も200回を超えました。今月は8日に筝の藤田祥子さ
ん、尺八の藤田晄聖君を迎え、重衡と千手の物語を筝・尺八・琵琶唄のトリオ編成で演奏します。詳しくは琵琶樂人倶楽部の方を御覧くださいませ。

私が音楽で届けたいのはお見事さでも技でもなく、その音楽の先に在る世界です。むしろ技は消えてしまう位でよいのです。私は色んなアーティストの創り出すその世界に憧れ、そこ惹かれて音楽家を志したのです。どんなに上手でも技を見せつけるだけで世界を感じられないようなものはただの旦那芸でしかないと思っています。聴いて頂くのは私の作り出した世界をこそ聴いて頂きたいのです。

今年もよろしくお願いいたします。

2024年 主な活動記録

2023年の活動記録をまとめておきます

1月10日~14日 東芝財団教育プログラム 与那国島
2月4日 命のかがやきコンサート 東久留米地域センターホール
3月1日 舞踊作家協会主催 「風姿花伝」ティアラこうとう
5月12日 保多由子メゾソプラノリサイタル「さやさやと風に葉末をゆらしながら」 銀座王子ホール
5月26日 カトレアの会さよなら公演「古から現在へ」神奈川 貞昌院
6月7日 「古から現代へ」鶴岡本鏡寺
6月20日 TheDance Gathering「祭りの刻」四谷区民ホール 
9月28日 第27回 「人形町楽琵会」
10月12日 東洋大学文学部特別講座「平家物語を知ろうⅡ」
10月17日 10thアルバム「AYU NO KAZE」レコーディング
11月2日 「ひらく古典のトビラ」松本市民芸術館
11月20日 ラジオゆめのたね「室町のコバコ」収録
11月24日 朗読の会 「貴香(アテカ)4」けやきの森の季楽堂
12月4日 10thアルバム「AYU NO KAZE」レコーディングⅡ

今年もプライベートな演奏会からホールでの公演まで様々な舞台をやらせて頂きました。ニュアルバムのレコーディングにも漕ぎつけましたし、数は少な目ではあるものの、どれもが素晴らしいの舞台となり、充実した一年となりました。また琵琶樂人倶楽部も開催200回を越え、18年目へと進むことが出来ました。2025年もよろしくお願い申し上げます。

今年もお世話になりました2024

2024年も終わろうとしています。今年も良い仕事をさせていただきました。充実した舞台をやらせて頂いて、本当に嬉しく思っています。

先ず年明けは何と言っても与那国島に行った事ですね。東芝国際交流財団の教育プログラムの仕事だったのですが、与那国島に行けたことがとにかく嬉しかったですね。

左はドクターコトーのドラマの舞台となった診療所、中は久部良小学校での子供達へのレクチャー、右は島の一角で放牧されている馬です。とにかく人より動物の方が多い所で、とても解放された気分になりました。素晴らしい体験でした。

2月は東久留米南部地域センターホールでの公演。新横浜のスペースオルタに続き今回も画家 山内若菜さんの大きな作品と共に演奏させていただいたのですが、拙作「Voices」を初演時の能管からVnに変えての初演でした。このトリオが年明けにリリースされる10thアルバム「AYU NO KAZE」につながりました。これ迄この曲は初演時が能管、その後フルート、尺八と色々変えてやって来ましたが、Vnで定着しそうです。

3月はティアラこうとうでの舞踊の会。花柳面先生、福原百之助さんとの共演でした。またこの時には尾上墨雪先生、藤陰静枝先生の作品も乗り、墨雪先生の芸術院選出のお祝いもあり大変華やかな会となりました。

5月は文藝サークルカトレアの会のさよなら公演を神奈川の貞昌院にて開催、そして銀座王子ホールで行われたMsの保多由子先生のリサイタルに客演しました。王子ホールでは拙作「経正」「Voices」を演奏。あの王子ホールに私の作品が鳴り響いた記念すべき演奏会でした。

6月は久しぶりに大谷けい子先生のダンスネオシノワーズの舞台を四谷区民ホールでやりしました。若手笛奏者の玉置ひかりさん、ダンスの工藤文皓君、同じく杉本音音さん、鈴木恵子さん、そして主催の大谷けい子先生と共演。上記の動画のような面白い舞台が出来上がりました。
山形の鶴岡にある本鏡寺での公演も記憶に残っています。Msの保多先生、フルートの久保順さんと共に演奏し、演奏後は羽黒山にも連れて行って頂き、すっかり整いました。山の中に居ると本当に落ち着きます。そろそろ山に入る時期なのかもしれませんな。

9月には人形町楽琵会が5年ぶりに復活。上記の「平家幻想」で共演した笛の玉置ひかりさん、そしてこの時知り合った日舞の西川箕乃三郎君と三人で、充実の会をやらせていただきました。このチームはこれから何か始まりそうな感じがしています。来年もどこかで公演が出来たら嬉しいですね。

10月は10thアルバム「AYU NO KAZE」のレコーディングに入り、毎年恒例の東洋大学文学部での特別講座を務めました。

11月は木ノ下歌舞伎主催の木ノ下裕一さんの企画で「ひらく古典のトビラ」に出演。松本市民芸術館にての上演でした。アナウンサーの加賀美幸子さん、俳優の成河さん、そして木ノ下さんと共に様々な古典を取り上げて上演。素晴らしい会となりました。

また東洋大学でずっとお世話になっていた原田香織先生がやっているインターネットラジオ夢の種の番組「室町のコバコ」にも出演させていただきました。能楽の番組ですので、私は門外漢なのですが、ちょっとばかりお話させていただきました。

そして今月はアルバムの残りのレコーディングとミックスダウンを終え、あとは年明けのリリースを待つばかり。

photo 新藤義久


こんな調子で今年も素晴らしい舞台を務め、良い仕事をさせてもらいました。私はコロナの間は何かと声がかかり忙しくしていたのですが、コロナが一段落すると、小さなレクチャーなどが無くなり、演奏会の数も減って来ました。しかし大分数は少なくなりましたが、その分充実の舞台となりました。また念願の10thアルバムも創る事が出来、今年も充実した一年となりました。

来年はリリースした作品をどんどん上演して行く事と、新たな琵琶の歌曲の作曲にも挑戦して行くつもりです。是非また舞台にお越しくださいませ。
今年もお世話になりました。

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