自由ということ

お陰様で10thアルバム「AYU NO KAZE」は大変好評を頂いております。自画自賛ではありますが、等身大の今の私の世界を表現出来たように思っています。iTunes、Apple music、レコチョク等々、配信各社でお聴きいただけます。Youtube musicでも聴けますが、Youtubeプレミアムに加入していないと途中で広告が唐突に入ってしまうようですのでご注意ください。

私は20代から自分の想う音楽を創りたいと思ってやって来ましたが、なかなか具現化しませんでした。そんな中でやっと自分の相方となる琵琶に出逢い、30代に入り少しづつ自分の音楽を世に出すことが出来るようになりました。私は何事に於いても人より随分と時間がかかってしまうのですが、自分が想う所をこの年迄、淡々と自分のペースでやって行く事が出来、こうしてまた自分の音楽を世に出すことが出来、本当に嬉しく思っています。
私は自分の世界を表現して行くのが音楽活動だと思っていますので、自分で作曲し、演奏会を企画して演奏し、アルバムを創り、お仕事も色々と頂きながらやってます。いわゆる流派などで琵琶を弾いている方とは随分違う感覚だと思いますし、またショウビジネスの音楽でもないので細々としたものですが、これが私のスタイルであり、音楽に対する姿勢です。

アルバムで共演しているVnの田澤明子さん、笛の大浦典子さんと  photo 新藤義久


こんな風に自由にやっている訳ですが、自由にやる事は同時に孤独でもあるという事です。孤独というと何だか寂しそうですが、そういう事ではなく「一人で創る」という事です。私は、琵琶仲間はあまり居ませんが、友人知人は山のように居ます。創るのは一人ですが活動に於いては、こうした方々のお陰でやって行けるのです。日本人はみんなで一緒にというのがとにかく好きなせいか、じっくり一人で思索したり、創り込んだりという音楽家は少ないですね。特に邦楽の世界は少ないように思います。私は元から人とつるむ性格でもないし、いつも同じ仲間とつるんで飲んで、なんていう事はないですね。親しい友人は居ますが、基本的には「媚びない・群れない・寄りかからない」ようにしていますので、琵琶談義をするのも毎月の琵琶樂人倶楽部の時位ですね。
きっと世阿弥も利休も芭蕉も武蔵も、その人生の中に孤独を持ち、その孤独の中で新たな世界を創り出していったのではないでしょうか。いつも書いている森有正の言葉「孤独は孤独であるが故に貴いのではなく、運命によってそれが与えられた時に貴いのだ」は身に沁みるのです。

photo 新藤義久
人間というものは歴史を見ても、宗教や政治体制から解放され自由になると、アイデンティティーなどと言いだし、自分の所属先を求め身分や肩書が欲しくなるものです。やはり寄ってかかる所がないと不安なのでしょうね。これが人間の性なのか、それとも文明がもたらした弊害なのか判りませんが、枠から解放され自由になったのに自ら枠を求め、身分をもらい、その枠のルールに沿って生きて、保証される事で安心する。これをフロムは「自由からの逃走」という名前を付け、権威主義への従属を人間は常に抱いているからだとしましたが、音楽の世界も同様で、何物にも囚われず自由への意思を貫いている時にはエネルギーに満ち勢いも半端ないけれど、いつしか自分の過去に寄りかかり、肩書という鎧を纏い、お得意なものを羅列し出すと途端にエネルギーが失われてしまいます。かつて自由にやっていた人も、ベテランだの先生だのと言われだす頃がその人の試金石ですね。自分を自分という牢獄の中に放り込んでしまうことのないように、いつも自由な精神のままでありたいものです。

琵琶を手にしてから一番感じたのは、人間とはつくづく弱い生き物だという事です。勿論私自身も弱い。自分で自制して軸を保ち、良い状態を常にキープできるように気にかけていないとどんどん崩れてしまいます。私は良くも悪くも枠からはすぐにはみ出してしまうので、いつも一人で居る事が多いのですが、小さな枠に囚われ、その中からものを見るような事のないように気を付けています。現代は私のような無名の音楽家の作品でも、ネット配信で世界の人が聴いてくれる時代です。何処にでも軽々飛んで行ける風の時代なんですから、重たい鎧は邪魔なだけ。「世界の中の私」という感覚でこれからも淡々と自由にやって行きますよ。

10thアルバム「AYU NO KAZE」配信開始② 曲紹介

1月11日に配信が始まりました10thアルバム(未発表曲を集めたオムニバスを入れると12th)「AYU NO KAZE」の曲紹介です。今回は20年以上前にリリースした1stアルバム「Oriental Eyes」の頃に帰ったような私の原点に直結した作品を集めました。20年以上の時を経て改めて私の音楽が浮かび上がって来た気がしています。琵琶弾き語りは無く私自身は歌っていません。1曲のみメゾソプラノに歌ってもらっていますが、いわゆる歌とはまた違いヴォイスと表現した方が良いと思えるようなもので、全体がインストアルバムと言えます。器楽としての琵琶樂をずっと標榜してきた私の現時点での答えとも言える内容です。

「東風 AYU NO KAZE」
薩摩琵琶の独奏曲です。「風の宴」に続く曲として、何としても薩摩琵琶での独奏曲を創りたいとずっと思っていたのですが、ようやく出来上がりました。「風の宴」はいわゆる都節音階で出来でいるのですが、こちらは全体がマイナーペンタトニックで創られています。タイトルの「あゆのかぜ」とは万葉集の中で大伴家持が越中時代に読んだ歌「あゆのかぜ いたく吹くらし奈号の海人の 釣りする小舟こぎ隠る見ゆ」という歌から取りました。この歌では東風を「あゆのかぜ」と読ませていますが、これはこの地方(現在の富山県射水市辺り)の呼び方という事です。日本海側の風には日本の風土に渡る風だけでなく大陸からの異国の風も吹き来て、都とはまた違うものを感じさせる風だったことと思います。ここは部分的に転調を入れる事で違う種類の風を表現していて、そこがこの曲の一つのポイントになっています。万葉の頃は異国からの文化が入って来て来て、時代が静かにそしてダイナミックに変化して行く時代。それはそのまま現代にも通じるものを感じます。そんな雰囲気を形にしてみました。この曲は今後の私のスタンダードになると確信しています。

「凍れる月~第二章」
2006年の発表した「流沙の琵琶」というアルバムの中で「凍れる月」という龍笛と樂琵琶の作品を発表しました。その曲の雰囲気は私が琵琶も手にする以前から追いかけて来た一つのイメージを具体化したのですが、今一つ作曲が甘く、何度も舞台で演奏しているにも拘らず、思うような世界が立ちあがるのは本当に稀で、常に平均点を超えられなかったのです。そのイメージをもう少し確実に舞台で表すことが出来るように、あれこれと考えかなり長い間もやもやして、何度も譜面を書いては書き直しライブで試行錯誤を繰り返しようやく形になりました。またそのイメージはジャズの名曲「Blue in Green」にも通じる所があり、この想いをヴァイオリニストの田澤明子先生にぶつけてみた所、田澤先生の類い稀な感性と技術が見事に新たな世界を示してくれました。これらの試行錯誤の中から生まれたのがこの曲です。前作「凍れる月」の先に見えてたイメージがこのよう姿を見せてくれて、本当に嬉しいです。

「凍れる月~第三章」
第二章が出来上がった事で、今度は少し別の視点から同じモチーフを捉えようという想いが出てきて具体化した曲です。第三章ではモチーフは同じながらドラマ自体をがらりと変えて一本調子の篠笛と薩摩琵琶という組み合わせで創りました。第二章まではある色彩を念頭に全体の幻想性を前面に出して抽象的な雰囲気に仕上げているのですが、こちらは月が人格化し、月自体が内に秘めた狂気を吐き出して、ルナティックに動き出すようなドラマ構成にしました。ちょっとプログレっぽい感じです。かなり激しくなる部分もありますし、手法としてインテンポとルバートを同時に組み合わせてみたりして、ダイナミックに仕上がっています。途中オーネットへのオマージュも盛り込みました。これからのデュオの定番になりそうな曲です。

「凍れる月~第四章」
こちらは第二章の雰囲気を樂琵琶の独奏に置き換えて、静かな小品としてまとめてみました。こういう樂琵琶の独奏曲もぜひ欲しかったので、割とすらすらと曲が出来上がりました。これからはまた樂琵琶の演奏会もやって行きたいので、そんな時にはぴったりの曲です

「西風(ならい)」
9thアルバム「Voices from the ancient world」で、ヴァイオリンとのデュオで収録した曲です。
「ならい」とは東日本の太平洋側の漁師言葉で、冬に吹く風の事を言います。土地土地によって風の方向が変わるのですが、今でもこの「ならい」は使われています。琵琶は西方から伝わった楽器ですので、私は「西風」と書いて「ならい」と読むようにして、「東風」を「あゆのかぜ」と読む第1曲目との対になる曲として位置付けています。
元々笛や尺八など邦楽器とのデュオの為に創った曲ですので、今回は元々の形である篠笛とのデュオの形で再録してみました。マイナーペンタトニックによる民謡風のテーマメロディーが様々に変化して行く様を描いてみました。チューニングはDDADを使っています。以前はDDAEが定番で「まろばし」や「二つの月」等以前の作品ではこちらを使っていたのですが、ここ何年かの作品「Voices」「凍れる月~第三章」等ではこちらをよく使ってます。絃の張り、全体の鳴りだけでなく柱のポジションも大変使い易く、私の琵琶にはぴったりなチューニングだと感じています。

「遠い風」
樂琵琶と篠笛による静かな作品です。異国の風を感じるメロディーながらどこか懐かしい気持ちになる、そんな所がコンセプトです。このメロディーを聴いているのは日本に帰化した渡来人かな?。

「Voices」
ここ数年演奏している曲ですが、元々は福島応援隊という団体が主催するイベントの為に作曲したものです。初演は新横浜のスペースオルタ。画家 山内若菜さんが製作した福島をテーマにした巨大な作品の前で演奏しました。震災詩人 小島力さんの詩に私が曲を付けたのですが、そのけれんの無いリアルな言葉に音を付けるのは難航しました。一度はお断りもした程でしたが、再度の依頼を受け結果的に素敵な曲となりました。先ず言葉を分解して音声レベルにして音楽を付け、曲の進行と共に言葉がリアルな実態を持って立ち現れるような作りにしてみました。初演はメゾソプラノ・能管・琵琶でしたが、何度か試行を繰り返しまして、最終的にメゾソプラノ・ヴァイオリン・琵琶と
いう形になりました。このヴァージョンは昨年、保多由子メゾソプラノリサイタル(銀座王子ホール)にて演奏しました。

「Voices」初演時に山内若菜さんがスケッチしてくれたもの

以上が今回の内容です。これらの作品はいずれもこれからの私の重要なレパートリーになる作品ばかり。これ迄琵琶語りなどもそれなりにやって来ましたが、やはり私は器楽としての琵琶樂をずっと標榜してきましたし、これからも何を置いても琵琶の音色を届けたいのです。歌ではありません。

私は1st「Oriental Eyes」から、全て自分で作曲をして琵琶のインストをやって来ました。樂琵琶でも古典雅楽ではなく、あくまでオリジナルな世界を表現して来て、あくまで琵琶の音至上主義でやってきたのです。ただ15年~20年位前は薩摩琵琶の流派の常識である「弾き語りでなくては琵琶ではない」という価値観にまだどこかで囚われ、弾き語りでも絶対に負けられないという気持ちが強くありました。自分の中の囚われに振り回されていたという事なのでしょう。今となってはそれもまた経験の一つですが、そんな所も2018年リリースの8thアルバム「沙羅双樹Ⅲ」で「壇ノ浦の弾き語りを収録して、それできっぱり囚われから卒業して、9th「Voices from the Ancient World」ではヴァイオリンとのデュオインストアルバムを創りました。そして今回、何物にも囚われない私独自の世界を実現できたと自負しています。やはり私は琵琶の音色を聴かせるのが自分の使命だと思っています。

囚われは鎧であり、自ら呪いをかけているようなもの。囚われている間は自分の本来の姿が霞んで、時間はどんどん過ぎて、つまらない所に引っかかっていて行くべき道も見えなくなります。囚われの時期は今思えば確かにプラスの経験だったと思いますし、そこを乗り越えたからこそ、本来の道を再確認する事も出来ましたが、それは自分の道に戻って来れた人だけが感じる事で、囚われている内はそれを感じる事も、行くべき道に戻る事も出来ません。頑張っている人程、どうしても自分に呪いをかけるが如く、承認欲求や自己顕示欲という囚われの中でもがいている。若い時ならそれも一つのパワーともなりますが、いつまでもそこに留まっていたらどんどん萎んで行くだけです。そんな人もたまに見かけますが、是非鎧を下ろし本来の自分のあるべき姿を取り戻して、自分の行くべき道を進んで欲しいなと思います。

私は琵琶で活動を始めたのがもう30代半ばでした。それに加え、何をやっても人より時間がかる性質ですので、随分年を重ねてしまいましたが、年々少しづつでも自分の行く道がはっきりとして来て、今こうして私の音楽として姿を現してくれた事が本当に嬉しいですね。重たい鎧を全部脱ぎ捨て、パット・マルティーノが言うように自分が自分らしく在る事が一番の喜びだと実感しています。この「AYU NO KAZE」は私のマイルストーンとなって、これからの活動の主軸になると思います。これからの人生が益々楽しみになってきました。

新年快楽2025

今年も宜しくお願い申し上げます。

もう年賀状を止めてしまいましたので、これが新年の挨拶となりますが、これも世の流れ、形式だけのものを卒業して行く過程だと思いますので、是非ご理解を。

今年は先ず何と言っても10thアルバム「AYU NO KAZE」のリリースです。22年前の1stアルバム「Oriental Eyes」が蘇ったような内容になりました。やはり自分の音楽はこれだと思える納得のいく内容となっています。1stを出した時も「琵琶らしい曲はあるのですか」という問い合わせがありましたが、「塩高らしい曲しかありません」としか答えようがなかったですね。私はこれまでの作品も全て自分で作曲したものをリリースしていますし、且つ新作をレコーディングしています。代表曲の「まろばし」のように相方を変えて何度か録音したものもありますが、手慣れたレパートリーを収録するようなことは一切しません。私が聴いて来たアーティストは皆そうして常に最先端を聞かせてくれましたし、手慣れたお見事なものを聴かせると言いうメンタルこそが、リスナーを遠ざける大きな要因だと思っていますので、これからもこの姿勢は変わらないと思います。

今回は3人のゲストを迎えました。

今年もそんな訳で私にとって新たな挑戦の一年となると思います。琵琶樂人倶楽部も昨年で18年目に突入し、開催も200回を超えました。今月は8日に筝の藤田祥子さ
ん、尺八の藤田晄聖君を迎え、重衡と千手の物語を筝・尺八・琵琶唄のトリオ編成で演奏します。詳しくは琵琶樂人倶楽部の方を御覧くださいませ。

私が音楽で届けたいのはお見事さでも技でもなく、その音楽の先に在る世界です。むしろ技は消えてしまう位でよいのです。私は色んなアーティストの創り出すその世界に憧れ、そこ惹かれて音楽家を志したのです。どんなに上手でも技を見せつけるだけで世界を感じられないようなものはただの旦那芸でしかないと思っています。聴いて頂くのは私の作り出した世界をこそ聴いて頂きたいのです。

今年もよろしくお願いいたします。

2024年 主な活動記録

2023年の活動記録をまとめておきます

1月10日~14日 東芝財団教育プログラム 与那国島
2月4日 命のかがやきコンサート 東久留米地域センターホール
3月1日 舞踊作家協会主催 「風姿花伝」ティアラこうとう
5月12日 保多由子メゾソプラノリサイタル「さやさやと風に葉末をゆらしながら」 銀座王子ホール
5月26日 カトレアの会さよなら公演「古から現在へ」神奈川 貞昌院
6月7日 「古から現代へ」鶴岡本鏡寺
6月20日 TheDance Gathering「祭りの刻」四谷区民ホール 
9月28日 第27回 「人形町楽琵会」
10月12日 東洋大学文学部特別講座「平家物語を知ろうⅡ」
10月17日 10thアルバム「AYU NO KAZE」レコーディング
11月2日 「ひらく古典のトビラ」松本市民芸術館
11月20日 ラジオゆめのたね「室町のコバコ」収録
11月24日 朗読の会 「貴香(アテカ)4」けやきの森の季楽堂
12月4日 10thアルバム「AYU NO KAZE」レコーディングⅡ

今年もプライベートな演奏会からホールでの公演まで様々な舞台をやらせて頂きました。ニュアルバムのレコーディングにも漕ぎつけましたし、数は少な目ではあるものの、どれもが素晴らしいの舞台となり、充実した一年となりました。また琵琶樂人倶楽部も開催200回を越え、18年目へと進むことが出来ました。2025年もよろしくお願い申し上げます。

今年もお世話になりました2024

2024年も終わろうとしています。今年も良い仕事をさせていただきました。充実した舞台をやらせて頂いて、本当に嬉しく思っています。

先ず年明けは何と言っても与那国島に行った事ですね。東芝国際交流財団の教育プログラムの仕事だったのですが、与那国島に行けたことがとにかく嬉しかったですね。

左はドクターコトーのドラマの舞台となった診療所、中は久部良小学校での子供達へのレクチャー、右は島の一角で放牧されている馬です。とにかく人より動物の方が多い所で、とても解放された気分になりました。素晴らしい体験でした。

2月は東久留米南部地域センターホールでの公演。新横浜のスペースオルタに続き今回も画家 山内若菜さんの大きな作品と共に演奏させていただいたのですが、拙作「Voices」を初演時の能管からVnに変えての初演でした。このトリオが年明けにリリースされる10thアルバム「AYU NO KAZE」につながりました。これ迄この曲は初演時が能管、その後フルート、尺八と色々変えてやって来ましたが、Vnで定着しそうです。

3月はティアラこうとうでの舞踊の会。花柳面先生、福原百之助さんとの共演でした。またこの時には尾上墨雪先生、藤陰静枝先生の作品も乗り、墨雪先生の芸術院選出のお祝いもあり大変華やかな会となりました。

5月は文藝サークルカトレアの会のさよなら公演を神奈川の貞昌院にて開催、そして銀座王子ホールで行われたMsの保多由子先生のリサイタルに客演しました。王子ホールでは拙作「経正」「Voices」を演奏。あの王子ホールに私の作品が鳴り響いた記念すべき演奏会でした。

6月は久しぶりに大谷けい子先生のダンスネオシノワーズの舞台を四谷区民ホールでやりしました。若手笛奏者の玉置ひかりさん、ダンスの工藤文皓君、同じく杉本音音さん、鈴木恵子さん、そして主催の大谷けい子先生と共演。上記の動画のような面白い舞台が出来上がりました。
山形の鶴岡にある本鏡寺での公演も記憶に残っています。Msの保多先生、フルートの久保順さんと共に演奏し、演奏後は羽黒山にも連れて行って頂き、すっかり整いました。山の中に居ると本当に落ち着きます。そろそろ山に入る時期なのかもしれませんな。

9月には人形町楽琵会が5年ぶりに復活。上記の「平家幻想」で共演した笛の玉置ひかりさん、そしてこの時知り合った日舞の西川箕乃三郎君と三人で、充実の会をやらせていただきました。このチームはこれから何か始まりそうな感じがしています。来年もどこかで公演が出来たら嬉しいですね。

10月は10thアルバム「AYU NO KAZE」のレコーディングに入り、毎年恒例の東洋大学文学部での特別講座を務めました。

11月は木ノ下歌舞伎主催の木ノ下裕一さんの企画で「ひらく古典のトビラ」に出演。松本市民芸術館にての上演でした。アナウンサーの加賀美幸子さん、俳優の成河さん、そして木ノ下さんと共に様々な古典を取り上げて上演。素晴らしい会となりました。

また東洋大学でずっとお世話になっていた原田香織先生がやっているインターネットラジオ夢の種の番組「室町のコバコ」にも出演させていただきました。能楽の番組ですので、私は門外漢なのですが、ちょっとばかりお話させていただきました。

そして今月はアルバムの残りのレコーディングとミックスダウンを終え、あとは年明けのリリースを待つばかり。

photo 新藤義久


こんな調子で今年も素晴らしい舞台を務め、良い仕事をさせてもらいました。私はコロナの間は何かと声がかかり忙しくしていたのですが、コロナが一段落すると、小さなレクチャーなどが無くなり、演奏会の数も減って来ました。しかし大分数は少なくなりましたが、その分充実の舞台となりました。また念願の10thアルバムも創る事が出来、今年も充実した一年となりました。

来年はリリースした作品をどんどん上演して行く事と、新たな琵琶の歌曲の作曲にも挑戦して行くつもりです。是非また舞台にお越しくださいませ。
今年もお世話になりました。

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