この所、琵琶法師もいっちょまえに「先生」と呼ばれるようになりました。30代の頃はジャズを教えていたので、まあ先生と呼ばれていたのですが、教室の看板も挙げていませんし、定期的に習いに来る方もなく、「先生」という名前は程遠かったのですが、最近は、定期的に来る人も出来て、一応「先生」となった次第であります。
私の演奏を聞いたことがある人は判っていると思いますが、私のスタイルは何々流というものではないのです。K流とT流を習ったものの、それに留まれるような性格でもないですし、とにかく何か創らないと気が済まないので、自分の創った作品を演奏するのが私のやり方。つまり私の演奏スタイルが好き、という人でないと、私に習うということはありえないのです。単に琵琶をやりたいという人には、他を紹介しています。それにもかかわらず私に習いたいという人がいるのだから、ありがたいと言うほか無いですね。
また今年出来た有明教育芸術短期大学の非常勤講師というのも先月からやりだしました。人生初の肩書きというものを頂いたのです。それも教えるのは琵琶ではなくてギター。この学校は幼児教育と音楽コースがメインの学校で、ギターの先生もなるべく日本音楽がわかる人が良いということで選ばれたのですが、お筝や三味線の科があるのに琵琶は無いのがちょっと残念。しかしながら素直な生徒達にも恵まれ何とか続いてます。
今日の写真は有明短大のレッスンで使っている、私め愛用のギター。国内の超マイナーメーカー「JUNO」のピックギターにベネディットのマイク(判る人には判る最高のピックアップ!)をマウントして、オリジナルで作ってもらったテールピースに自作のピックガードを付けてカスタム化してある塩高スペシャル!
人に教えるというのは、自分が勉強しているようでもあり、ある意味面白いし、為になるとも思い始めているので、これもまた修行のうちと思って、がんばろうと思います。
と言いつつ今日もまた呑ってしまった。
昨日は雨交じりで、久々に感じた冬の寒さでしたね。今日は一転、さわやかな秋晴れ。ちょっと寒くはありましたが、富士山もばっちりと見えて良い気分です。
そんな一日でしたので、夜はとっておきの酒「沙羅双樹」の純米大吟醸を空けました。私とこの沙羅双樹の出会いは正に縁を感じざるを得ない出来事でした。
以前、カメラマンのA氏と奥様の企画で、「沙羅双樹の花の色」という平家ゆかりの地を巡るコンサートツアーをやりました。福原から始まって宮島の厳島神社、そして最期は壇ノ浦の赤間神宮でのソロコンサートだったのですが、厳島神社での演奏の帰り、海を渡って帰って来た所に、地酒を専門に扱う酒屋さんがありまして、そこに沙羅双樹という酒があったのです。結構なお値段の高い酒だったのですが、これも縁だと思って奮発して買って帰り、夜皆さんで頂いてみると、これが本当に美味しいお酒でした。
幸い次の日は仕事がオフだったので、さっそく朝電話を入れて、スタッフ皆で車で行ってみました。厳島神社での演奏は、演奏前日と当日、地元の新聞にでかでかと私の写真入りで紹介されていたこともありまして、酒蔵についてみると「新聞の人が来たで~」という訳で大変歓迎してもらいまして、私も酒蔵で祇園精舎を演奏してきました。帰りにはお土産にもう一本沙羅双樹を頂いて、もうスタッフ一同幸せいっぱいという感じの一日でした。
その後、私は「沙羅双樹」というタイトルのCDを出しましたので、早速盛川酒造さんにプレゼントしたりして、以来お付き合いが続いています。
「沙羅双樹Ⅱ」を出した時はスペシャルサンクスに盛川酒造さんのお名前も入れさせて頂きました。
そんな感じでお付き合いをさせてもらっていたのですが、第一回目の高野山演奏会の時に、会場の常喜院さんに行くと、「塩高さん宛てに荷物が届いているよ」と言われ、見てみると、盛川酒造さんからあの沙羅双樹が6本も届いていたのです。びっくりしたと同時にその太っ腹さに感激してしまいました。それ以来ずっと高野山常喜院に毎年贈ってくれるのです。勿論毎回先ずは仏前にお供えしていますが、演奏後はいつもスタッフ皆で沙羅双樹を堪能して、1本はもって帰ってくるということが4年続いています。昨年は社長の盛川さんにもお山にお越し頂き、すっかりお世話になりっぱなし、という訳です。
盛川酒造は小さな酒蔵で、高品質を保つ為にあえて大きくはしない方針だそうです。本当にまともに作った最高の酒。是非皆さんも機会がありましたら飲んでみてください。残念ながら関東の方はお取り寄せになってしまいます。また限定生産で、一本一本ナンバリングされていますので、時期によっては売り切れということも多々あります。価値のある逸品ですよ。
最期に紅葉の葉からこぼれる今日のさわやかな日差しをちょっとばかし・・・。
旨い酒を飲める平和な日々に感謝。

今日は秋風が身に心地よい一日でした。このところ日曜日は演奏会のことが多かったので、ちょっと久しぶりにゆっくり都会の秋に身をゆだね、のんびりして来ました。
午前中は新しいプロジェクトの打ち合わせで、尺八の中村仁樹君、ピアノの菊池さん、プロデュースの久保木氏と会っていました。才能のある若手は本当に見ていて、聞いていてすがすがしくて良いですね。さしずめ中村君は尺八界の石川遼。で私は????
ピアノと尺八はもう充分なくらいに良い雰囲気なんですが、そこに琵琶というのはなかなか難しい。これからがんばろうと思います。皆さん気持ちの良い方なので、何とか行けそうな気がします。年内にはライブも計画しているので、詳細はまた後日に・・。
そして午後からは版画家の竹村健さんの個展に行ってきました。場所は銀座の兜屋画廊。ここはゆったりと見れるとても素敵な画廊で、竹村さんも兜屋さんではもう3回目となります。
竹村さんは知っている方も多いと思いますが、元々俳優さんでして、メジャーな映画にもよく出ていた方でしたが、体を壊してから元々やっていた美術の世界に活躍の場を求めて、現在がんばっている方です。かなり精力的に全国で個展を開いていて、その作品もどんどん深まって来ています。私にとってはよき先輩という感じで、いつも色々な話を聞かせてもらってます。今日もゆっくりとお話させて頂きました。残念ながら兜屋さんでの個展は今日で終わりなのですが、いつか機会がありましたらぜひ見に行ってください。お勧めです。
という訳で、秋の日の一日をゆっくりと堪能させて頂きました。
写真は高野山と京都の紅葉。
昨日は埼玉県熊谷の常光院で行われた、十三夜の集いで演奏してきました。熊谷はあの敦盛の相手として有名な、熊谷次郎直実の街。だからこの街はとっても歴史があって、お寺もいっぱいなんです。
常光院は天台宗別格本山という格式だけあって、とても落ち着いた風情のあるお寺。参道の前に立っただけで、すぐにぐっと来てしまいました。そんなお寺にもかかわらず、御住職はとっても気さくで腰が低い。だからお寺の雰囲気も良い感じに落ち着いていて、居心地が良いんです。
暗くて見えませんね。すいません。
今回の演目は敦盛のお兄さん「経正」にしました。これは良かったのですが、前半で色気を出して、ちょっと現代風になどと思い、即席の曲をしたのがいけなかった。やっぱりじっくりいつものレパートリーをやった方が良かった
な~~。まだまだ修行が足りません。
それにしても久しぶりに良いお月見をしました。自然と日本の歴史に感謝の一日でした。

今年も高野山演奏会が終わった。何故あんなに遠い所で演奏会を開くのか?といつも言われているのだが、今年も、東京、大阪など遠い所からお客様が来てくれました。ありがたい限り。
高野山での演奏会は、私にとっていわば修行という感じですね。琵琶の弾き語りという地味~な会を粛々、淡々と毎年やるのが、まあ喜びでもあるのです。ほぼ毎回、能管演奏家の阿部慶子さんを迎えて、デュオ曲「まろばし」を披露するのですが、これが唯一の華といえばよいでしょうか。
演奏会の後は宿坊でお客さんとゆっくり食事をしながら話をするのも楽しみの一つ。勿論般若湯もたっぷりあります。そして次の日はこちらも毎年恒例の高野山大学での、トーク&コンサート。いつも対談コーナーでお世話になっている密教学の越智先生が今期限りで引退とあって、話の内容も濃く、良い感じでした。
まだ4回目ではありますが、色々な出会いがあり、お付き合いも広がってゆきます。また来年もやろうと思いつつ、こうして琵琶を演奏して生きている事は幸せだな、としみじみ実感してしまいました。