音楽の幸せ~潮先郁男 芸暦60周年記念ライブ

以前、日記で紹介した、私のジャズギターの師匠 潮先郁男先生の芸暦60周年記念ライブが、新宿ピットインでありました。
私は一緒に通っていた30年来の盟友A氏と共に、最前列で堪能してきました。
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これは来場者に配られたお土産。Thank youと書かれたカードに先生の名前が入ったピックが添えられてました。
憎いね~~。

この日の編成はヴォーカルと先生のギター、それにサイドギターという本当にシンプルなもの。それというのも潮先先生の真骨頂は伴奏にこそあるのです。
以前にも書きましたが、先生は本当に梅花のような人。結してフロントに立って華やかに弾きまくる事はありませんが、その存在は周りから熱く信頼されています。どの世界でも派手にデビューしてあっという間に消えてなくなる人が多い中、ずっとジャズ界の一線で脇にいながらも静かに、確実に演奏し続けてきたのです。
流れるようなラインで実に気の効いたコードワーク。常に相手を乗せてスウィングするリズム。これが先生のスタイルなのです。だからヴォーカルとギターというこの上ないシンプルな編成は一番先生の魅力が出る絶好のお膳立てという訳です。

曲も通好みのスタンダードばかり。A氏と共に聞いていてなんとも幸せな気分になりました。そしてプロのギタリストを目指して仲間達と切磋琢磨していた10代のあの頃の空気が甦ってきて、懐かしいやら嬉しいやら・・・・、お互いの顔があの頃に戻っていました。

あの頃はお金はもちろんのこと、服も物も何にも持っていませんでしたが、先生の演奏を聴いていて、先生の所に通いながら自分は何と素敵な時間を過ごすことが出来たんだろう、とあらためて思い、ちょっと目頭が熱くなってしまいました。
                             
                             潮先先生4

この日は三味線の和完さんも駆けつけてくれたんですが、彼もまた潮先先生の所でギターを習っていたんです。

写真はちょっとボケ気味ですが、左から私、ヴォーカルのさがゆきさん、先生、卒業生のギタリスト竹中さん、和完さん。

先生の生徒さんはのべ600人ほどいるそうで、プロのギタリストとして活躍している人も沢山います。私も一応、潮先スクール卒業生の端くれなのですが、ギタリストにならなかった私にも先生は何時も声をかけてくれて、CDを出すたびにお祝いの電話をくれて激励を頂いてます。
師匠というのは本当にありがたいですね。結して優等生でもなく、こんな不義理の徒にも、遠くから暖かい眼差しを注いでくれます。
私にも2,3人の生徒がいますが、私は果たして自分の師匠達のように、弟子をずっと見守ってあげるほどの器に成れるだろうか・・・・。

帰りにA氏と話しながら「素晴らしい先生に就いて習うことが出来、幸せだったね」とお互いうなづきあって、我々の中で潮先先生という存在がいかに大きかったか、思い知りました。

先生、是非芸暦70周年もやって下さいよ。今度は琵琶を持って駆けつけます。

 

桜花幽幻Ⅱ~Osaka calling

京都の仕事が二週に渡っていて、途中三日程空いていたので、大阪に行って楽しんできました。

IMGP0854sこちらは寝屋川沿いの桜、昨日から公開された造幣局の桜通り抜けもこの辺りですが、桜の宮から天満橋までこれでもか、というくらい延々と桜が咲いていて春を満喫してきました。観光客もほとんどいなくて、ゆっくりと見ることが出来、かなりリフレッシュできました。IMGP0853s

川沿いは両側に桜が咲いていて、正に桜のトンネルのよう。

大阪では中崎町のコモンカフェという所で、ダンスのヤンジャさんとライブをやったのですが、今までお世話になったギャラリーなどをゆったりと巡って楽しんできました。

さて、コモンカフェではPlaypotという古楽器のグループとのジョイントでした。
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playpot
  西村喜子 viola da gamba
  城坂さおり viola da gamba
  倉本高弘 viola da gamba
   若尾久美 violin
  佐々木真知子 cello

もともと古楽は好きで、波多野睦美さんの歌やつのだたかしさんのリュートなど追っかけのように聞きに行っていた時期があったのですが、この所ごぶさたしていました。
この日はPlaypotの方々と一緒に演奏する事は無かったですが、久しぶりに西洋古楽器の音をゆっくりと聞くことが出来うれしかったです。
                  
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チェロの佐々木さんが琵琶を弾くの図

ダンスのヤンジャさんとはもう結構長い付き合いです。大阪や横浜で一緒にやってきましたが、何にも打ち合わせしなくても不思議とぴったり来るんです。
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ヤンジャさんのスタイルは舞踏ともちょっと違うし、コンテンポラリーダンスでもない。彼女独自のものです。体も感性もしなやかで柔らかい、常に自由な風に包まれているような感じ、それがヤンジャさんのダンスです。

そのヤンジャさんと私が組むきっかけを作ってくれたのが、このゴマメことまっちゃんです。(with パートナーのふうちゃん)
IMGP0876s今回久しぶりにゆっくり飲めて嬉しかったです。

大阪には写真家の赤阪友昭さんや、海月文庫、芦屋画廊、自然館のたかりんさん、語りの竹崎さんなどなど友人がいっぱいいて、何時行っても楽しい街。今回も毎日楽しい日々を過ごしました。

この後また京都に行ったのですが、京都は京都でまた素敵な所。祇園の街も良い感じでした。
ぜひまた関西を満喫したいです。

桜花幽幻Ⅰ~京の夜

皆様御無沙汰してます。暫く京都・大阪に行っていました。

京都南禅寺界隈の清流亭というところで、演奏してきたのですが、見事なまでの桜・桜・桜の10日間でした。清流亭はまもなく重要文化財に指定されるそうで、それはそれは素敵な場所でした。

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この桜の下が演奏会場

                 

そしてこんな感じで夜桜ライトアップの元で演奏会をしてきました。

今回は本当に桜の満開に合わせての演奏会だったのですが、前半の第一週目はソメイヨシノが満開、第二週目は枝垂桜が満開という具合で、京都中に人が溢れ、凄い賑わいでした。
初日はかなり寒く、手も声もこごえてしまいましたが、後は大分あたたかくなりました。ただ中継が入り、その寒い時に撮られてしまったので、ちょっと残念。
            
良い感じでしょ?photo 森修
今回は第一週目が横笛の阿部慶子さんと、第二週目が筝の小笠原沙慧さんと夫々組んで、計6日間に渡る演奏でした。最終日は雨だったので室内での演奏で、部屋から庭を眺めて頂く感じで演奏してきました。雨に濡れる庭の感じも美しかったです。

ちょっと写真が小さいですが、こちらが小笠原沙慧さん。お疲れ様でした。  231
清流亭はちょうど野村別邸の前なので、とても静かで落ち着いた雰囲気でした。この会は呉服問屋さん主催の会だったので、ご招待の人しか入れなかったのですが、道行く人が結構覗いていてバチバチ写真を撮られてしまいました。                     

笛の阿部慶子さんとコンビを組んで、もう10年ほど経ちますが、一緒にやり始めた頃、「桜満開の所で演奏会をやりたいね」と言っていたのがそのまま実現しました。この時期の京都は街中が桜だらけで、高瀬川沿いの木屋町通りや白川通りなどは見事な咲きっぷりでした。夜11時近くなっても人通りが絶えず、まさに宴も盛りといった感じでした。

 

今回は桜の時期の演奏会としてはこれ以上のシチュエーションはちょっと考えられないほどに素敵な演奏会でした。精鋭的な芸術の場ももちろん素敵ですが、こうしたしゃれた演奏会もたまには良いものです。たん熊のお料理も美味しかったです。

今回のおまけ。お世話になっている呉服屋さんが贔屓にしている真筝姉さん。祇園でばったり会いました。ちょっと大人可愛い美人の芸妓さんです。
            真琴姉さん

さて第一週目が終わり、大阪に移り、これまた面白いライブをやってきました。こちらは次にまた書きます。

シルクロードツアー凱旋公演終了

昨日、東京高円寺の座・高円寺2にて「ホーガクな男たちとウズベキスタンの歌姫の一夜かぎりのコンサート」をやってきました。

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昨年のシルクロードツアーの中で、ウズベキスタンのタシュケントにて共演した、歌姫ユルドゥストゥルディエワさんを日本に呼んでツアーメンバーと共に凱旋公演しよう、という話が持ち上がったのが今年のはじめ。それが昨日結実したのです。

左から奄美島唄の前山真吾君、私、ユルドゥスさん、だんな様のウーリャさん
メンバー達も元気全開という感じで、ガッツリ演奏してきました。

            
左からperのAki-ra sunrize、前山君、私、後、写真が撮れなかったのですが、バンマスは国広和毅さん
                       

ウズベキの音楽学校のホールでの共演がまさかこんな形で日本で再現に至るとは・・・。縁というものは本当に判りません。何かに手繰り寄せられていくようです。           
あのツアーのリハーサルを始めたのが去年の夏。もう半年前。奄美・京都・東京在住のメンバーを集め、細部に渡りツアーをマネージメントしてくれた国際交流基金の敏腕マネージャー畠さんには最後の最後までお世話になってしまいました。感謝してます。

            凱旋公演打ち上げ5s

そしてツアーではもちろんの事、今回もお世話になったスタッフも紹介。
凱旋公演打ち上げ7s

音響の遠藤さん
細かい注文にもしっかり答えてくれて、今回もストレス無く演奏することが出来ました。 熱意ある仕事ぶり、素晴らしいです。       

                           凱旋公演打ち上げ6s

照明の「子煩悩パパ畠中」さん。素晴らしい演出でこんな私でも格好よく見えるように気を使っていただきました。ソロの演奏の時などばっちりでした。

凱旋公演打ち上げ3s-1凱旋公演打ち上げ1s前田

そしてこんな素敵な美女達もスタッフとして陰で支えてくれました。

メンバーはもちろんの事、多くのスタッフに支えられ、シルクロードツアーは本当の最後を迎えることが出来ました。
シルクロードは琵琶という楽器のルーツであり、琵琶奏者にとっては特別な思いを否が応でも抱いてしまう場所。言葉で想いを綴る事はなかなか難しいのですが、このツアーと凱旋公演は、私の琵琶弾きとしての人生の中でも、本当に貴重な素晴らしい経験でした。 
出逢った人々、ツアーで回った国々、素晴らしい舞台に乾杯!! 
これからももっともっと素晴らしい舞台をやって行きたいです。 

さて明後日からは関西できめてきます!           

有明アーツ・フォーラム 日本舞踊 in College

昨日、私が非常勤講師をしている有明教育芸術短期大学で、タイトルのような日舞のフォーラムがありました。

ariake art nichibu
同短大の教授である花柳寿南海先生、花柳翫一先生、杵屋勝国先生が中心となって、講師の福原徹さんや藤舎呂英さん他、囃子の方々がずらりと揃い、豪華な催しでした。

演目はどれも素敵だったのですが、最初にやった長唄「翁・千載・三番叟」はとっても気に入りました。若手の男性5人と花柳翫一先生による群舞でしたが、実にすがすがしくて美しい。いわゆる日舞特有の「しな」を作ったりしない、きりりとして見事な舞台でした。
一緒に観ていたバレエ界の大御所 S賀先生も「男性のレベルの高い踊りは本当に素晴らしい。今日はこれを見ただけでも幸せ」と関心しきりでした。

20代の若手の男性がこれだけ揃っていて、しかもレベルの高い芸を身につけている。これは本当に素晴らしい事です。現代ではどの分野に於いても男女の区別はしないという方向で進んでいますが、それでも肉体の差は歴然とあります。優劣という事でなく、その違いが生きて花開いたら、それぞれに素晴らしいものが出来上がるのは確かな事です。
琵琶の世界はプロとして活動している人も数えるほどしかいませんが、それもほとんどが女性ばかりになっています。20~40代の男性は本当に少なくなってしまいました。そして何よりも全体のレベルが著しく低い。このレベルではとても他のジャンルと一緒には出来ません。昨年琵琶奏者が10人集まってやったサザンシアター公演でも、そのレベルの低さにあきれたという意見をお客様から沢山聞かされました。何とも悲しむべき状況なのです。

もちろん女性の琵琶は水藤錦穣先生以来、独自の芸風が誕生して、現在でも坂田美子さんが女性ならではのスタイルを確立してがんばっていますが、元々薩摩琵琶は武士道教育のための音楽。男性も是非頑張って欲しいものです。
今回出た日舞の若手男性達は皆、姿が美しかった。皆、将来を十二分に担える素晴らしい逸材でした。尺八や長唄などでも有能な若手男性が次々に出てくることを思うと、琵琶の世界の衰退を感じずに入られません。

さて今日の主役、寿南海先生は御存知の方も多いかと思いますが、日本舞踊界の重鎮で、流派の垣根を越えて後進の指導をし、自ら古典はもとより創作舞踊にも次々に挑戦する正に現代を代表する存在です。先生は足の具合が良くないとの事でしたが、最後にやった翫一さんとの「賤機帯」では、翫一さんが上手く動いてサポートし、不安を感じさせない見事な舞台でした。
また昨日は学部長のM木先生との対談コーナーもあり、その気さくで可愛い人柄にも触れる事が出来ました。
大学という場で、こういう機会を作るというのはとても大切な事だと思います。学生達にはもちろんの事、一般の方や我々講師にとっても交流の場となります。
こういう公演を大きな劇場でやるには大変なお金がかかってしまい、チケット代も跳ね上がり、結局は弟子筋の関係者でいっぱいになって、「成功、盛況でした」なんて宣伝するのが関の山。琵琶のリサイタルなども関係者しか来ないことがとても多いのです。もっともっと日本の文化を普通に暮らしている人が、日々の暮らしの中に見い出すようであって欲しいものです。

最後にこの有明教育芸術短期大学には琵琶のクラスがないので、学園の理事長に直訴してきました。(私はここでギターの先生をしています)

桜1
 photo MORI Osamu

         
さあ新しい春に向けてのんびりしては居られません。今日も明日に向かて走り出します。

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