皆様御無沙汰してます。暫く京都・大阪に行っていました。
京都南禅寺界隈の清流亭というところで、演奏してきたのですが、見事なまでの桜・桜・桜の10日間でした。清流亭はまもなく重要文化財に指定されるそうで、それはそれは素敵な場所でした。

この桜の下が演奏会場

そしてこんな感じで夜桜ライトアップの元で演奏会をしてきました。
今回は本当に桜の満開に合わせての演奏会だったのですが、前半の第一週目はソメイヨシノが満開、第二週目は枝垂桜が満開という具合で、京都中に人が溢れ、凄い賑わいでした。
初日はかなり寒く、手も声もこごえてしまいましたが、後は大分あたたかくなりました。ただ中継が入り、その寒い時に撮られてしまったので、ちょっと残念。
良い感じでしょ?photo 森修
今回は第一週目が横笛の阿部慶子さんと、第二週目が筝の小笠原沙慧さんと夫々組んで、計6日間に渡る演奏でした。最終日は雨だったので室内での演奏で、部屋から庭を眺めて頂く感じで演奏してきました。雨に濡れる庭の感じも美しかったです。
ちょっと写真が小さいですが、こちらが小笠原沙慧さん。お疲れ様でした。 
清流亭はちょうど野村別邸の前なので、とても静かで落ち着いた雰囲気でした。この会は呉服問屋さん主催の会だったので、ご招待の人しか入れなかったのですが、道行く人が結構覗いていてバチバチ写真を撮られてしまいました。
笛の阿部慶子さんとコンビを組んで、もう10年ほど経ちますが、一緒にやり始めた頃、「桜満開の所で演奏会をやりたいね」と言っていたのがそのまま実現しました。この時期の京都は街中が桜だらけで、高瀬川沿いの木屋町通りや白川通りなどは見事な咲きっぷりでした。夜11時近くなっても人通りが絶えず、まさに宴も盛りといった感じでした。
今回は桜の時期の演奏会としてはこれ以上のシチュエーションはちょっと考えられないほどに素敵な演奏会でした。精鋭的な芸術の場ももちろん素敵ですが、こうしたしゃれた演奏会もたまには良いものです。たん熊のお料理も美味しかったです。
今回のおまけ。お世話になっている呉服屋さんが贔屓にしている真筝姉さん。祇園でばったり会いました。ちょっと大人可愛い美人の芸妓さんです。

さて第一週目が終わり、大阪に移り、これまた面白いライブをやってきました。こちらは次にまた書きます。
昨日、東京高円寺の座・高円寺2にて「ホーガクな男たちとウズベキスタンの歌姫の一夜かぎりのコンサート」をやってきました。
昨年のシルクロードツアーの中で、ウズベキスタンのタシュケントにて共演した、歌姫ユルドゥストゥルディエワさんを日本に呼んでツアーメンバーと共に凱旋公演しよう、という話が持ち上がったのが今年のはじめ。それが昨日結実したのです。

左から奄美島唄の前山真吾君、私、ユルドゥスさん、だんな様のウーリャさん
メンバー達も元気全開という感じで、ガッツリ演奏してきました。
左からperのAki-ra sunrize、前山君、私、後、写真が撮れなかったのですが、バンマスは国広和毅さん
ウズベキの音楽学校のホールでの共演がまさかこんな形で日本で再現に至るとは・・・。縁というものは本当に判りません。何かに手繰り寄せられていくようです。
あのツアーのリハーサルを始めたのが去年の夏。もう半年前。奄美・京都・東京在住のメンバーを集め、細部に渡りツアーをマネージメントしてくれた国際交流基金の敏腕マネージャー畠さんには最後の最後までお世話になってしまいました。感謝してます。

そしてツアーではもちろんの事、今回もお世話になったスタッフも紹介。

音響の遠藤さん
細かい注文にもしっかり答えてくれて、今回もストレス無く演奏することが出来ました。 熱意ある仕事ぶり、素晴らしいです。

照明の「子煩悩パパ畠中」さん。素晴らしい演出でこんな私でも格好よく見えるように気を使っていただきました。ソロの演奏の時などばっちりでした。


そしてこんな素敵な美女達もスタッフとして陰で支えてくれました。
メンバーはもちろんの事、多くのスタッフに支えられ、シルクロードツアーは本当の最後を迎えることが出来ました。
シルクロードは琵琶という楽器のルーツであり、琵琶奏者にとっては特別な思いを否が応でも抱いてしまう場所。言葉で想いを綴る事はなかなか難しいのですが、このツアーと凱旋公演は、私の琵琶弾きとしての人生の中でも、本当に貴重な素晴らしい経験でした。
出逢った人々、ツアーで回った国々、素晴らしい舞台に乾杯!!
これからももっともっと素晴らしい舞台をやって行きたいです。
さて明後日からは関西できめてきます!
昨日、私が非常勤講師をしている有明教育芸術短期大学で、タイトルのような日舞のフォーラムがありました。

同短大の教授である花柳寿南海先生、花柳翫一先生、杵屋勝国先生が中心となって、講師の福原徹さんや藤舎呂英さん他、囃子の方々がずらりと揃い、豪華な催しでした。
演目はどれも素敵だったのですが、最初にやった長唄「翁・千載・三番叟」はとっても気に入りました。若手の男性5人と花柳翫一先生による群舞でしたが、実にすがすがしくて美しい。いわゆる日舞特有の「しな」を作ったりしない、きりりとして見事な舞台でした。
一緒に観ていたバレエ界の大御所 S賀先生も「男性のレベルの高い踊りは本当に素晴らしい。今日はこれを見ただけでも幸せ」と関心しきりでした。
20代の若手の男性がこれだけ揃っていて、しかもレベルの高い芸を身につけている。これは本当に素晴らしい事です。現代ではどの分野に於いても男女の区別はしないという方向で進んでいますが、それでも肉体の差は歴然とあります。優劣という事でなく、その違いが生きて花開いたら、それぞれに素晴らしいものが出来上がるのは確かな事です。
琵琶の世界はプロとして活動している人も数えるほどしかいませんが、それもほとんどが女性ばかりになっています。20~40代の男性は本当に少なくなってしまいました。そして何よりも全体のレベルが著しく低い。このレベルではとても他のジャンルと一緒には出来ません。昨年琵琶奏者が10人集まってやったサザンシアター公演でも、そのレベルの低さにあきれたという意見をお客様から沢山聞かされました。何とも悲しむべき状況なのです。
もちろん女性の琵琶は水藤錦穣先生以来、独自の芸風が誕生して、現在でも坂田美子さんが女性ならではのスタイルを確立してがんばっていますが、元々薩摩琵琶は武士道教育のための音楽。男性も是非頑張って欲しいものです。
今回出た日舞の若手男性達は皆、姿が美しかった。皆、将来を十二分に担える素晴らしい逸材でした。尺八や長唄などでも有能な若手男性が次々に出てくることを思うと、琵琶の世界の衰退を感じずに入られません。
さて今日の主役、寿南海先生は御存知の方も多いかと思いますが、日本舞踊界の重鎮で、流派の垣根を越えて後進の指導をし、自ら古典はもとより創作舞踊にも次々に挑戦する正に現代を代表する存在です。先生は足の具合が良くないとの事でしたが、最後にやった翫一さんとの「賤機帯」では、翫一さんが上手く動いてサポートし、不安を感じさせない見事な舞台でした。
また昨日は学部長のM木先生との対談コーナーもあり、その気さくで可愛い人柄にも触れる事が出来ました。
大学という場で、こういう機会を作るというのはとても大切な事だと思います。学生達にはもちろんの事、一般の方や我々講師にとっても交流の場となります。
こういう公演を大きな劇場でやるには大変なお金がかかってしまい、チケット代も跳ね上がり、結局は弟子筋の関係者でいっぱいになって、「成功、盛況でした」なんて宣伝するのが関の山。琵琶のリサイタルなども関係者しか来ないことがとても多いのです。もっともっと日本の文化を普通に暮らしている人が、日々の暮らしの中に見い出すようであって欲しいものです。
最後にこの有明教育芸術短期大学には琵琶のクラスがないので、学園の理事長に直訴してきました。(私はここでギターの先生をしています)
photo MORI Osamu
さあ新しい春に向けてのんびりしては居られません。今日も明日に向かて走り出します。
私の友人、台湾の二胡奏者 葉文宣さんから久しぶりにメールが来ました。相変わらず元気そうで、以前にも増して活躍しているようです。
彼女は「国立実験国楽団」という、伝統楽器のN響みたいな存在の楽団のメンバーなのですが、ちょっとヘンな日本語を操る感じが面白く、かなりイイ感じでキャラが立っているんです。

前列右より4人目が葉さん

こちらは葉さんのプロフ写真
年に1、2度歌舞伎とスマップのコンサートを見るために(中居君の大ファンだそうだ)東京に来るのですが、とにかく度を越した日本通で、一度、中国琵琶奏者の劉さんという仲間の女性を連れてきた時には、私の家の本棚を見て、日本の禅の話で大いに盛り上がり、その知識の豊富さ~というよりオタクぶり~に驚いてしまいました。また大の焼酎好きで、毎回必ず最後は大飲み会になってしまいます。
葉さんは台湾ではソリストとしてもがんばっていて、リサイタルで古典曲の他に、チゴイネルワイゼンを豪快に弾きまくっているDVDを頂きました。マジに恐ろしい位に上手いんです。国立実験国楽団のCDも素晴らしく、「シルクロード」というタイトルのCDなどはのっけから、そのレベルの高さにやられてしまいました。是非聞いてみてください。日本の古楽器アンサンブルとは比較になりません。びっくりしますよ。
海外には、以前コンビを組んでいた尺八奏者、グンナルリンデルさんがスウェーデンでがんばっているし、音楽学者のレイニンガーマリカさんや、作曲の師である石井紘美先生等々、皆さんいいペースで活動してます。尺八のクリストファー遥盟さん、筝のカーティスパターソンさんなどアメリカ人ながら日本国内でも活躍している友人もいます。昨年、ウズベキスタンで共演した作曲家アルチョムキムさんもヨーロッパ・アジアで凄い活躍ぶりだそうです。
こういった海外でがんばっている仲間が元気で便りをくれるのは、とっても嬉しいし、こちらも元気になります。
私は毎年、春は花粉休暇などと称してのんびりしていたんですが、昨年とある人から「花粉休暇なんてスケジュールに書いていたら仕事が来なくなるよ」と叱咤されて、今年はばっちり仕事を入れてます。
私も負けてはいられません!刺激しあえる良き友がいるという事は幸せです。
今年はやるぞ!!
こちらの画像は葉さんから届いた台湾の春の写真です。「春雷」というタイトルが付いていましたが、となりに何故か「ばねの雷 Spring thunder」と書いてありました。さすがに彼女らしいぼけっぷりです。
来月、桜満開の頃、京都は南禅寺の一角にある、清流亭にて「古都遊宴~幽幻のひびき」なる催しをやることになりました。
4月3,4,5と9,10、11の6日間開催します。

この界隈は桜の名所として知られている所で、NHKの撮影も入るようです。
ご招待の方メインなのですが、外からも充分聞けますので、お花見にお越しの方はちょっと覗いてみてください。夕方6時30から演奏します。
清流亭HP http://www.daimatsu-kyoto.co.jp/seiryutei.html
共演者は3,4,5が何時も高野山で御一緒している、能管・篠笛の阿部慶子さん。9,10,11が筝の小笠原沙慧さんです。

舞台はこんな感じ。
良い感じでしょ。しだれ桜の下で琵琶!!
年配の方なら覚えているかもしれませんが、以前、石原裕次郎が松竹梅というお酒のCMをやった時に、縁側に座っていたあの場所が、この清流亭です。

これを見て、判る人はお友達です。
この京都の演奏が空いた日には、大阪のコモンカフェでダンスのヤンジャさんとライブをやります。着物を着てびしっと決まった演奏会も大好きですが、ライブハウスでがんがんやるのも楽しいですね。

という訳で、京都にお越しの際はよろしくです。