絶対未聴音楽「尺八・琵琶・ピアノ」ライブのお知らせ & more

毎年5月の末からは忙しくやらせてもらっているのですが、今年も色々と演奏の機会を頂いています。少し近々のおしらせを。

27日に日比谷スタンウエイ松尾ホールにて「尺八・琵琶・ピアノ」絶対聴領域の第3回目のライブがあります。

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時間19時開演   問い合わせは 
響和堂ticket@kyowado.jp  080-4200-0808  まで

尺八の中村仁樹君が中心になっているこのトリオもだんだんと中身が充実してきました。以前はエンタテイメント色が強すぎて、今一つもの足りない感じだったのですが、このブログでも紹介した作曲家の郡司敦君が加わって、芸術的な面も出てきて良い感じになってきています。

30日には西荻窪で毎月やっている講座「琵琶を知ろう」の第5回目。今回は「現代の琵琶楽」というテーマで、明治以降の琵琶楽の流れをレクチャーして、現代曲の演奏もたっぷりと聞かせます。
ゲストは尺八の田中黎山君。開講は13時からです。

問い合わせは 松庵舎
03-5356-6606    mail:shoan-sha@nifty.com

音楽をやっていると自らの充実感こそが、その活動の源となってゆくことを実感します(もちろん経済も大事ですが)。私は色々なことをやって来ました。ここ何年かで遅ればせながらだんだん自分の活動のペースも見えてきました。
今年はこれから、今までやってきた活動をあらためて見直して、今後の活動の核となるような動きを今年から少しづつやって行こうと思っています。折りをみて報告して行きたいと思いますので、ぜひご期待下さい。

そんなことを日々考えながら模索に模索を重ねているのですが、この間、久しぶりにジェフベックの映像をyou tubeで見ました。今、素晴らしく充実しているようで、あの白のストラトからはまるで彼の声のような音が飛び出してきます。自分の思う通りの音楽を、思う通りに鳴らしている姿に感激しました。もう上手いとか凄いとかいう所はとっくに超えていて、正にべック本人の姿が見えました。
高校生の頃「Blow by Blow」を聴いて、これしかない!と思ったあの感激は間違っていなかった。それをべック本人が証明しているではないか!!久々に興奮してしまいました。

ベースのTal Wilkenfeldもカッコカワイイです。是非ご覧あれ。

充実こそ原動力!!これからも精進します。

夕暮れコンサートVol.10

昨日、練馬高野台にあるカフェ グリーンテイルにて夕暮れコンサートVol.10をやってきました。
毎年5月と12月に定例でやっていて、もう5年続いています。毎回ゲストを迎えてやっているのですが、今回は尺八の田中黎山君にお願いしました。今までには笛の大浦典子さん、尺八の香川一朝さん、中村仁樹君、筝の小笠原沙慧さんなどおなじみのメンバーに来てもらっています。

             グリーンテイル2

昨日の記念写真。尺八の田中君と、以前このコンサートのお手伝いをしてくれていたチャコットさんと娘さんの美希ちゃん。美希ちゃんは私の直ぐ目の前に座っていて、演奏が始まる時に拍手してくれました。

            グリーンテイル1
左の女性はチャコットさんのお母様。親子3代揃ってのお越しでした。

今回の出し物は私がソロで「祇園精舎」「静~緋色の舞」、田中君とのデュオで「まろばし~尺八と琵琶のための」「花の行方」、そして田中君の尺八独奏という内容でしたが、デュオ向きの良く鳴る琵琶を持っていったせいか、弾き語りの時は琵琶の音がうるさい感じがしました。ちょっとした事ですが、楽器の選択は影響が大きいのでしっかりと見極めないと・・・。まだまだ修行が足りません。

何時も終わってからお客様とお話タイムになって、この夕暮れコンサートは本当にアットホームな感じで楽しい一時です。

             GTlive イラスト
そしてこちらはお客様で来ていらしたイラスト画の先生がその場で書いてくれた作品。私と田中君にそれぞれプレゼントしてくれました。

終わってからは恒例になっているマスターとの飲み会。ここで田中君の実体が顕わに!!実は彼はカメラと車にやたらと詳しいんです。マスターもカメラと車の話をしたらとまらない、その道の方なので、かなりいい感じで話が弾んでいました。横にいる私はまるでちんぷんかんぷん。二人ともおたく道を突っ走っていました。

こんなサロンコンサートをずっと続けていられるという事は本当に幸せなこと。何事も順調にずっと続けるのはなかなか難しいですが、このグリーンテイルのコンサートはこれからもずっと続けて行きたいと思っています。
ありがたいことに高野山の公演も今年で5年目。Mjamのライブにいたっては10年目。琵琶樂人倶楽部も毎月の開催でもう3年目。どれも本当にありがたいことです。

ちなみに高野山演奏会は10月24日に決まりました。ぜひ今年も起こし下さいませ。

昨日は本当に心温まる時間を頂きました。

チーム郡司ライブアットエポック中原

先日、川崎のエポック中原にて川崎音楽交流協会演奏会がありました。私は筝の小笠原沙慧さんつながりで弾き語りをやってきたのですが、ここに作曲家 郡司敦率いる「チーム郡司」が5人のメンバーで乗り込み郡司君作曲の「ふれる」を演奏しました。

                    IMG_7916我が勇姿をちょっと

メンバー楽屋筝の小笠原さんは世話役で会場を飛び回っていたので、写真に入っていませんが、これがチーム郡司の綿々

作曲     郡司敦
コントラバス 東保光
ソプラノ    荒牧小百合
ダンス     かじかわまりこ
               ダンス     岸洋子
               筝       小笠原沙慧

郡司君とは5年程前、彼の芸大時代の作曲の師である福士則夫門下の作品発表会(AVANCE)にて出会ったのですが、琵琶の先輩である半田淳子先生からの紹介ということもあって、最初から何の違和感も無く、彼の作品をギター、ソプラノと共にトリオで初演しました。それがきっかけで、その後色んな仕事を組んでやってきました。

昨年も色々と組んで仕事をしましたが、その中で私が主催した弦楽器と舞の会「絃舞」に於いて、郡司君を招待作曲家として招いて、そこで「ふれる~筝とコントラバスとダンスの為の」が生まれたのです。
私は単なる思い付きからダンスと筝とコントラバスの組み合わせを提案したのですが、彼は私の提案と問いかけを10倍にして返してきたという訳です。
リハーサルを見た時点で、これは郡司君の代表作になるんじゃないか、と思えるほどに彼の世界が際立っていました。お客様の中には前衛作品を受け入れてくれない方もありましたが、全体的にはなかなか反響も良く、その時の演奏に更にダンサーもう1名とソプラノが加わり「チーム郡司」が誕生したのです。

という訳で打ち上げはこの有様
       
         メンバー打ち上げ
皆さんはじけまくっています。

私は以前、作曲の師である石井紘美先生から「実現不可能な曲は書くな」と言われたことをずっと覚えています。幸いにして私は演奏家でもあるので、自分で作って自分で演奏するということが出来ますが、作曲専門の人は、演奏会にかけるだけでも結構な費用がかかってしまいます。一度演奏会で上演した曲も、そのほとんどが再演されずに埋もれてゆくのが現実です。そんな厳しい所を潜り抜けてこそ、一流の称号も与えられるのでしょう。
今、彼がこうして郡司敦の作品を演奏して行こうという志を持ったメンバーに囲まれているという事は実に素晴らしいことです。これも彼の作品が魅力的だからこそ仲間が集まってきていることと思います。

私にも仲間はいっぱいいます。写真の面々ももちろん仲間達です。仲間が皆がこうして音楽家・芸術家として志を高く持ち、切磋琢磨して生きてゆける、これは本当に素晴らしいことです。
感謝以外のものはない、それだけですね。

今後のチーム郡司に乞うご期待!!

過ぎ行く日々

ちょっと御無沙汰していました。
ブログネタは沢山あったのですが、何しろ時間が無く振り回されていました。

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そんな中、5月1日にティアラこうとうでやった「万葉の彩風」は日舞・クラシックバレエ・モダンダンスの方々が一緒になって、万葉集をテーマに私の楽琵琶で踊るという、なかなか面白い会でした。残念ながら写真を撮る暇も無く紹介できませんでしたが、幻想的な感じの舞台で、まか不思議な空間が出現しました。
何時もお世話になっている雑賀淑子先生と日舞の花柳面先生の監修・演出で、共演もお馴じみの、かじかわまりこさんはじめ、ウタコさん、花柳面萌さんなど総勢10名の踊り手が舞台に舞いました。
出演者が集まって作り上げてゆく舞台というのは楽しいですね。是非是非またやってみたいです。

               宝泉院1photo MORI osamu

私は大体週に1回程度演奏をしています。琵琶奏者としては多い方かもしれませんが、もっともっと舞台に立って演奏して行きたいです。
毎回演奏会は私にとって最大楽しみで、且つ最高に厳しい現場であるのですが、どの演奏会もあっという間に終わり、演奏の2時間ほどは瞬く間に過ぎ去っていきます。大舞台だろうが小さなサロンコンサートだろうが、終わったとたんに現実に戻り、あの舞台にそよぐ風はもう身には感じません。

それだけ舞台というのはどんな場所でも異次元空間なのだと思いますが、以前のように舞台の余韻に浸って酒を飲むというようなことはなくなりました。瞬時に時空を行き来するのが上手くなったのでしょうか。ちょっと寂しい気もします。

宝泉院3

これは何時も写真を送ってくれる京都の森修さんの作品ですが、森さんの写真の中には永遠にゆったりと流れる風が常にそよいでいるかのようです。

                 宝泉院2

私の音楽は聞く人の心の中にずっとそよいでいるのだろうか。あっという間に吹き渡り、過ぎ去っていってしまうのだろうか???

まあそれもまた良いのかもしれません。何時かまた風のように甦り聞いてくれた人の心にそよいでくれたら嬉しいです。

今日もまた風を求めて・・・・。

演奏会のお知らせ
15日に練馬高野台のグリーンテイルさんで小さなサロンコンサートをやります。もう足掛け5年ほど、年に2回づつ続けているもので、毎回違うゲストを迎えてやっています。
今回は若手尺八の俊英 田中黎山君。前回も尺八の中村仁樹君でしたので、前回お越しになった方もぜひ二人の個性の違いを楽しんで下さい。
若き才能は素晴らしいです!!

詳しくはHPのスケジュール欄をご覧下さい。
HP 現代邦楽の未来へ http://biwa-shiotaka.com/

アンネ=ゾフィー・ムター at サントリーホール

先週、アンネゾフィームターのコンサートに行ってきました。30年に渡りヴァイオリン奏者として世界のトップを走り続け、今円熟の極みとも言われるムターに、行く前から期待が膨らむばかりでしたが、その期待を大きく上回るコンサートでした。演奏を聴きながら色々なことを思いました。

ムター
私と同じくらいの年だと思うのですが、相変わらず美しいですね。
プログラムのスタートはムターの弾き振りによるバッハのヴァイオリン協奏曲第1番。共演の東京交響楽団の弦パートがチューニングし終わり会場の照明が落ち、待ちに待ったムター女史が登場しました。
後光が差しているという表現がありますが、正にその姿は光り輝いて、目が釘づけになってしまいました。演奏はもちろんですが、音楽を聴きながらその姿を見続けていたら、これこそ、この姿こそ西洋クラシックなんだな、と思えてきました。

何世代にも渡って、ヨーロッパの地に生まれ育ち、その土地、社会に育まれた感性を身に付け、その文化の中で伝統を背負い生きている、そんな紛れも無い西洋人のヴァイオリニストという姿をしていました。我々とは全く違うのです。
日本でも江戸っ子といわれるには3世代以上江戸に住んでいる人、といわれますが、この日本の土壌、気候、社会やそこにある感性、生活、習慣からクラシック音楽は到底生まれない。
建築でも宗教でも哲学でも論理的で構築的に成り立っている西洋文化と、「南無阿弥陀仏と唱えていれば成仏する」というような、論理ではなく直感でものを計る日本の文化とでは大きく違うし、気候が違えば楽器も違うものが発達するのは当たり前です。

いくらちょっとばかりの技や知識を得たとしても、何百年という歴史を経て受け継がれ、育まれて来たものを、たかだか100年足らずの教育、それも本格的に教育されたのは50年にも満たない日本人がやろうとしても、物まねにしかならないのは当然なのです。日本の社会の中で生きていながら異文化をなぞっていてはいたしかたない。

しかし希望は満ちています。それは歴史が証明している。平安時代に輸入した大陸文化は、次の中世には日本の感性を土台にして、そこに輸入した技や理論・哲学を活用して、日本独自の文化・宗教を創り出した。クラシックでもジャズでももう異国の文化をなぞるような時代はもう終わり、創造の時代に入っている。そういう活動をしている人はいっぱいいるはずです。武満さんもその一人だったと思います。

この日最後に演奏したソフィア=グヴァイドゥリーナのヴァイオリン協奏曲はいわゆる現代音楽でしたが、こういうものは西洋の歴史の延長上としても解釈できるし、新しい視点で見ることもできる。こういう現代音楽といわれている分野には、大いに活路があるのではないでしょうか。

どこの国でもそうですが、日本人特有の感性は本当に素晴らしい。他には類を見ないものです。だったらその感性を土台に西洋音楽の技と理論を活用してゆく事は大いに可能性があると思います。

クラシック、ジャズの次のジャンルは日本から世界に発信して行きたい。亜流ではない新しいジャンル。日本にはそれを創り出す原動力=西洋には無い感性と技がある。そのジャンルが世界標準になるようなそんな音楽を創ってゆきたい、やりたいと思いました。

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