11日の金曜日に米沢 伝国の杜内の置賜文化ホールにて洛中洛外図屏風に触発された作曲家達の新作初演をしてきました。
「4つの扉」と題されたこのシリーズコンサートは、4人の音楽家がそれぞれ作品を作って上演するというもので、今回はその二回目。そして今回のリーダーであり、作曲家・コントラバス奏者は東保光さんでした。
この方が東保さん。今回は演奏家としてもリーダーとしても正に八面六臂の大活躍で、この演奏会を盛り上げてくれました。感謝!!(衣装もかなりきてました。ゴールドのスカーフ!!)
会場は上杉神社のとなりにある伝国の杜という所。


左が伝国の杜、右が上杉神社
米沢は初めて行ったのですが、のんびりとして空間が広く、ゆったりとした町でした。私は昨年、直江兼続の曲を新潟六日町から委嘱されて作ったのですが、その兼続が晩年の国替えで亡くなるまで過ごし、活躍したのが、この米沢なのです。という訳でちょっとした思い入れもあって、この演奏会に臨みました。
こちらは直江兼続のマスコットキャラクター「かねたん」。記念に御一緒させていただきました。
さて演奏会はほとんどが初演作なので、ちょっと大変でしたが、何とか無事に終わりました。ミスも色々とあり、実は個人的には反省しきりなのですが、後ろを向いてもしかたないので、また次回しっかりと務めたいと思います。


こちらが演奏会の様子。皆素敵なメンバー達で、とてもいい雰囲気で仕事が出来ました。
ここで今回のメンバーとスタッフを紹介





左からPerの小林武文さん、尺八の小林幹さん、筝の
高市雅風さん、フルートの太田朱美さん、とにかく今回のメンバーはかなり高いレベルの音楽家でした。皆若いのに凄いな~~。
ジョッキをもってご機嫌な女性はもう一人の招待作曲家 大場陽子さん。素敵な曲を書いてくれました。また大場作品にも挑戦してみたいです
下の段はスタッフの皆様。左から、今回のマネージメントを仕切ってくれた千田さん(大変お世話になりました)そして同じく、近さん、すでに定着した感のあるカメラマン 宮森君、東京から駆けつけてくれた綾乃さん。みなさのお陰で素敵な舞台となりました。




夜は皆が泊まっている旅館で遅くまで語り明かし、久しぶりにバンドの旅の雰囲気を味わいました。仲間というのはやっぱりいいね。何時も一人で演奏している私としては、稀にみる楽しい旅となりました。
こういう旅にはちょっとした良い事もあります。
ホール近くの天然酵母を使ったパン屋さん、その名も「愛とパン」。かなりキャッチーなネーミングとオレンジ色のお店の概観がとってもいい雰囲気でした。もちろん味も◎。また接客がとても丁寧で、感心しました。こういう気持ちのこもったサービスは、とても気分が良くなります。
舞台が無事に務められたのも周りのスタッフや米沢の人々の人柄が支えになっていたのだと思います。
今後また東保光六重奏団の曲が再演される日を楽しみにしているのです。ぜひ何かの機会に声掛けて下さい。
さて今週は琵琶樂人倶楽部の30回記念ライブが待ってます。ぜひ皆さん16日の夜は阿佐ヶ谷ヴィオロンにお越し下さい。詳細はまたUPします。
昨日、練馬光が丘美術館にて「三種の琵琶楽」をやってきました。今回は薩摩四弦・五弦・筑前に加え平家琵琶も加わり、四種の琵琶楽となりました。
これが光が丘美術館入り口
今回出演の面々
会場となった光が丘美術館は私設美術館だけあって贅をつくした素晴らしい空間でした。木のぬくもりがあって、気が落ち着いている素敵な美術館です。ぜひお勧めしたい場所です。
展示は井上員男さんの平家物語の場面を描いた版画の屏風。これがまたものすごい作品でして、緻密な作業を12年間も費やし完成した大作でした。さらに会場の壁を全て覆い尽くすほどの作品が並べられ、さながら展示室が平家絵巻のような状態になっていました。
その作品の前で夫々がソロで平家物語を語る、という贅沢な催し。私は十八番の「経正」をやらせていただきました。


色々な形の琵琶楽を聞いてもらうというのは、毎月開催の琵琶樂人倶楽部でもやっていますが、4人も揃うというのはなかなか無いです。ましてこういう素晴らしい空間で出きるというのはやる方としても幸せな事です。
ただこういうイベント系の催しだと、ゲスト出演ということもあり、得意曲をやって満足してしまう事も多く、盛り上がって終わってしまう事が多いのも事実。もちろんいつもの演奏と気合は全く変わらないし、それはそれでしっかり勤め上げるのがプロというものですが、呼ばれる事ばかりに慣れてしまって、充実した自分の舞台を確かに作ってゆくことも忘れてはいけません。気持ちよく演奏出来た会ほど、しっかりと反省も必要です。
技を磨くのは当たり前。得意な曲を並べているような状態はアマチュアの発表会です。充実したコンテンツを舞台の上でどのように乗せて、舞台全体を作っていくか、それが出来て初めてその人の世界というのが表現され、認められてゆくのです。与えられた舞台にも、自分の活動全体にも明確なヴィジョンを持って、実践してこそギャラを頂けるというものです。


photo MORI osamu
これは京都鷹ヶ峰の源光庵の悟りの窓です。季節が変わっても常に視点はぶれる事がなく、季節がもたらすありのままの姿を現してくれます。綺麗だの、素敵だのと一喜一憂している我々の揺れ動く心が、逆に見えてくるようです。
目の前の事に一生懸命に成る事は良いことですが、振り回されていては大した仕事が出来ません。ただ熱くなって自己満足しているだけです。ぶれる事なき明確なヴィジョンを持って、且つ柔軟に、変わり行くものをありのままに受け入れるそんな心持でやって行きたいものです。
今日は久しぶりにキングレコード関口台スタジオにて、カンツォーネ歌手の佐藤重雄さんのレコーディングをしてきました。

ここに来るのは半年振りくらいでしょうか。
佐藤さんとはもう15年ほどの付き合いで、佐藤さんのCDには全て参加しているのですが、このほどキングレコードから発売のCDにも要望があり馳せ参じた次第です。この録音には今月米沢で共演するフルートの太田朱美さんも参加しているし、アレンジャーでプロデュースの熊谷博さんとも古い仲だし、色々とご縁があっての参加でした。
こちらが佐藤重雄さん

今回は先輩でもある熊谷博さんが本業のベースだけでなく、プロデューサー&アレンジャーとして仕切ってくれました。さすがに熊さん!ご機嫌なサウンドで気持ちよく仕上がっています。
こちらが熊さん
マイクはノイマンの149という真空管内臓のマイクを使わせていただきました。いつもの録音に使うものとは全くタイプが異なり、かなり高感度のマイクでした。これはこれで気持ちがよかったです。

さて、今週末は「三種の琵琶楽」と銘打った演奏会を今週の土曜日13時より光が丘美術館でやります。薩摩四弦・五弦・筑前琵琶の演奏を聴いていただくという趣向なのですが、流派の違いより演奏家の違いをぜひじっくりと聴いて頂きたいです。
薩摩琵琶は元々流派など無かったので、もっと自由に演奏する人の個性豊かな音楽そのものを聴いて欲しいのです。
明治期には永田錦心という人がそれまでの薩摩琵琶の概念をひっくり返すような事をやってのけました。永田は薩摩人に「あんなものは薩摩琵琶ではない」と散々ののしられたようですが、確かに私から見ても、いくら楽器が同じでもそれまでの武士道を基にした旧来の薩摩琵琶と同じには到底聞こえません。ましてや旧態然とした薩摩武士には軟弱の極みとしか思えなかったのでしょう。
しかし永田はそれを薩摩琵琶だと言い張り、自分の音楽を貫き、100年後の現在まで全国に認知させてしまった。そこが凄いのです。
音楽に限らないですが、次世代スタンダードとなる人間に対し、その世界の只中にいる専門家はえてして付いて行けない。自分が勉強してきた知識や経験、プライドを捨てきれずに新しい物や考え方に対し批判と反発を繰り返し、かえって時代に取り残されてゆきます。一般大衆こそがパイオニアとなる人を支持し、付いて行き、そこから新しい時代が作られるのです。
昨今、琵琶界から色々な声が聞こえてきますが、薩摩琵琶に革新をもたらした永田が聞いたらさぞ嘆く事でしょう。弦が多かろうが、撥が大きかろうが、指使いが違がかろうが、先生が認めようが認めまいが、そこに素晴らしい音楽が生まれ、聴衆の支持を得れば永田が作り上げたように、新しい薩摩琵琶が出来上がるのです。
私が今迄就いてきた先生達は皆、私をはるかに超えた世界を持っていました。私は何よりも、次の時代を見つめる先生方の音楽に対する姿勢に共感し、それに憧れ、牛の歩みで努力してきたのです。
永田錦心のようにはいかないかもしれないけれど、私が就いてきた先生達のようにあこがれの対象となる先輩に、私はなりたいです。

今回はあまり写真が無いので、3人で記念写真のものを。
今回は私が作曲した「凍れる月」を郡司敦君にこのトリオ用に編曲してもらったのですが、舞台で演奏してみて、このトリオの一つの可能性が見えてきました。
このトリオはじっくりと時間をかければ、きっと独自のサウンドを生み出せると思います。ぜひぜひ皆様御贔屓に!!
さて、のんびりしているわけには行きません。すでにこのライブの直後、松庵舎講座「琵琶を知ろう6-5」をやりました。尺八の田中黎山君をゲストに迎えて「現代の琵琶楽」の講演させて頂きましたが、同じ尺八でも前出の中村君の現代的でダイナミックな奏法と、田中君の端正な佇まいはまるで逆。こういう様々な個性的スタイルを持った若手が群雄割拠しているというのは実に健全です。琵琶とは大違い!!
そして明後日はカンツォーネ歌手 佐藤重雄さんのレコーディング。その後、光が丘美術館演奏会、フリージャズライブ、米沢での新作演奏会という具合に次々に舞台に追われています。ありがたいことです。
ここ何年か、年を追うごとに多くの舞台や仕事を頂き、とくに毎年この時期は脳の処理が追いつかない位に忙しくさせてもらっていますが、様々な仕事を通じて、自分の進むべき道も更にはっきりと見えてきました。
まだまだ周りの出来事に振り回されてしまったり、逆に何かに捉われすぎて周りが見えなくなってしまったりと、何時まで経っても定まりませんが、色々な想いも抱えながら、自分の思う所へ歩いてゆきたいと思います。
PS:4月に私が演奏した京都東山の清流亭がTVで紹介されていました。
残念ながら私は写っていませんでしたが・・・。

毎年5月の末からは忙しくやらせてもらっているのですが、今年も色々と演奏の機会を頂いています。少し近々のおしらせを。
27日に日比谷スタンウエイ松尾ホールにて「尺八・琵琶・ピアノ」絶対聴領域の第3回目のライブがあります。

時間19時開演 問い合わせは
響和堂ticket@kyowado.jp 080-4200-0808 まで
尺八の中村仁樹君が中心になっているこのトリオもだんだんと中身が充実してきました。以前はエンタテイメント色が強すぎて、今一つもの足りない感じだったのですが、このブログでも紹介した作曲家の郡司敦君が加わって、芸術的な面も出てきて良い感じになってきています。
30日には西荻窪で毎月やっている講座「琵琶を知ろう」の第5回目。今回は「現代の琵琶楽」というテーマで、明治以降の琵琶楽の流れをレクチャーして、現代曲の演奏もたっぷりと聞かせます。
ゲストは尺八の田中黎山君。開講は13時からです。
問い合わせは 松庵舎
03-5356-6606 mail:shoan-sha@nifty.com
音楽をやっていると自らの充実感こそが、その活動の源となってゆくことを実感します(もちろん経済も大事ですが)。私は色々なことをやって来ました。ここ何年かで遅ればせながらだんだん自分の活動のペースも見えてきました。
今年はこれから、今までやってきた活動をあらためて見直して、今後の活動の核となるような動きを今年から少しづつやって行こうと思っています。折りをみて報告して行きたいと思いますので、ぜひご期待下さい。
そんなことを日々考えながら模索に模索を重ねているのですが、この間、久しぶりにジェフベックの映像をyou tubeで見ました。今、素晴らしく充実しているようで、あの白のストラトからはまるで彼の声のような音が飛び出してきます。自分の思う通りの音楽を、思う通りに鳴らしている姿に感激しました。もう上手いとか凄いとかいう所はとっくに超えていて、正にべック本人の姿が見えました。
高校生の頃「Blow by Blow」を聴いて、これしかない!と思ったあの感激は間違っていなかった。それをべック本人が証明しているではないか!!久々に興奮してしまいました。
ベースのTal Wilkenfeldもカッコカワイイです。是非ご覧あれ。
充実こそ原動力!!これからも精進します。