佐藤重雄 Live at ウナカンツォーネ

カンツォーネ歌手の佐藤重雄さんのライブを聴きに、四谷のウナカンツォーネに行って来ました。先のブログにも書いたように雑用に追われる日々ですが、少しリフレッシュするつもりで出かけてみました。

           バースデイライブー3s

私は佐藤さんの3枚のCDすべてで琵琶を弾いていて、今回は何と吉幾蔵さんの「酒よ」をイタリア語に訳したカンツォーネヴァージョンでベンベンやってます。CDは全曲イタリア語でこの日も全ての曲をイタリア語で歌っていました。ちなみにCDタイトルは「SAKE」です。

今回のCDは私の先輩でいつも「熊さん」と慕っているベースの熊谷博さんが全アレンジを担当しています。もちろん昨日も熊さんがバックを務めました。

バースデイライブー8s

こちらが佐藤さんと熊さん

熊さんのアレンジはどこまでも歌を生かすように出来ていて、実に気が効いています。佐藤さんの歌も以前よりすっきりとして、本来の声の魅力が今までになく発揮されていました。サウンドやアレンジに懲りすぎて、歌が添え物になっている音楽も多く見かけますが、この日のライブ(とCD)には、どこまでも高らかに歌い上げる「歌」が満ちていました。惚れ惚れするというのはこういうことでしょうか。

昨日はゲストに歌手の加藤順子さんも駆けつけて、佐藤さんと「アモーレ」をデュエットしてくれました。

           バースデイライブー2s

ピアノは上田正樹ライブでも弾いていた堺あつおさん(ごめんなさい写真が撮れませんでした)いつもいい所でいい音を鳴らしてくれるピアニストです。こういう人の伴奏だと歌手は気持ちよく歌えるんでしょうね。

そして熊さんバンドでもおなじみ久保田容子さんと池野弘美さんがコーラスで加わりました。このお二人は以前、熊さんバンドのライブを青山マンダラでやった時も、激!格好良かったんですが、何時見ても何処で見ても絵になりますね。お二人が加わるとぐんとゴージャスになるんです。
琵琶法師も一度はこういう美しいお姉さんをバックに平家物語をやりたいです?????

         バースデイライブー7s右が久保田さん、左が池野さん

お二人はソロではもちろんのこと、「THE BELLS」というコーラスグループでも活躍しています。
THE BELLS HP   http://web.me.com/yoko_jk/thebells/toppage.html

私は昔からアンチポップスで通してきたし、大体現代音楽志向なんですが、こうした先輩に音楽の持つ楽しさと、聞いている人をハッピーにさせる力を何時も学ばせてもらってます。佐藤さんや熊さんの音楽に接してから、ポップスの魅力が本当に体に染み渡ってきました。

昔はポップスやジャズボーカルは全く聞かず、ひたすらハードなものばかり聞いていました。以前私の部屋に来た友人がラジオでJポップをかけて「俺の部屋でこんなものをかけるな」と喧嘩した事もある位、ポップスを忌み嫌っていました。
ジャズはマイルスやコルトレーンの60年代もの、ロックはジミヘン、ジェフベック、ツェッペリンやクリムゾン、後は声楽、現代音楽、武満etc.こんなものばかりで、もうポップスの影を感じるものはひたすら避けてきたんですが、お二人に出会い、私の音楽は大きく広くなってゆきました。
ただポップスの魅力を紹介してくれたのではなく、その楽しさを体感させてくれた事は、本当にありがたかったです。もちろん私の音楽にも大きく影響しています。

こういう極上のポップスをぜひ皆さんに聞いていただきたい。人生を歌にかけて生きてきた、この生き様をぜひ見て欲しい。上手いとか下手とかそういうものではなく、歌の持つ魅力をぜひ感じて欲しいのです。

佐藤重雄HP http://www.geocities.jp/tomo_santana/

命が煌き、たからかに歌声が響く素敵な人生が満ちてます。

追われる日々

前回書いたブログでは「演奏会も一段落して、ちょっとのんびりしよう」という感じで本当にのんびりするつもりだったのですが、世の中そんなに甘くない。

hounenin        genkouan1
photo MORI Osamu(両方共)

暫しこんな所にでも行って遊びまわるつもりだったのですが、休息はまだまだ与えてもらえそうにありません。

先月は演奏会が多かったので、単に時間的にも雑用が出来なかったのですが、それが一気に来た。いや来たというより目を背けていた雑用が迫ってきたという方が正しい。
秋の公演のための曲作りやリハーサルはもちろんですが、その他写真やプロフィールなど各公演先に何通も送ったり、あちこちで打ち合わせをやったり、と仕事は山のように有ったのです。
しかし先月は自分の脳がそれらに拒否反応をしていて、頭の中から一瞬消して忘れさせていたのです。それがただちょっと気が抜けてのんびりしだしたら「ヌリカベ」の如く目の前に立ち現れたということです。

            雅楽s-1
  

これは最近撮った写真。秋の京都での演奏会のちらし用のものです。このところの雑用に追われ、顔が疲れてます。目の下のクマ、ホウレイ線、何度みてもいやなもんですね。この間撮った和服のプロフ写真の用にシュッとしてないです・・・・・・・・。雅楽の直垂という楽人装束です。

こんな感じで追われている間にも、あちこちから演奏のお話も舞い込んできたもんだから、お陰で秋は都内の演奏会はもちろんのこと、倉敷、高野山、大分、京都と結構やばい強行スケジュールで飛び回る事になりそうです。しかしとにかく機会を頂くというのはありがたいことです。もっともっとやれという使命なのだと思ってしっかりとやらせていただきます。

先日、仲間のあいこ姐さんからも、「雑用ばかりで一日中パソコンから離れられない!!」と悲鳴が響いてきました。彼女は落語会を主催したり、端唄の演奏をしたり、ライブやったりと動き回っていますが、我々のようにショウビジネスに乗らない音楽をやっていると、何でも自分でやらないといけないので、ろくに練習する時間も取れないのです。こうした状況でもやるやつはやるので、負けてはいられませんが、たまには身も心もゆったいりと温泉に浸かって、のんびりしたいものです。

という訳で今後半月ほどの演奏予定です。

7月17日 埼玉県行田未来文化ホール
7月21日 阿佐ヶ谷 琵琶樂人倶楽部
7月24日 西荻 スタジオベルカント 21世紀トリオ
8月2日  西荻 スタジオベルカント 21世紀トリオ
8月5日  長野 西光寺(刈萱堂)
8月6日  入谷なってるハウス SOSトリオ

ぜひお越し下さい。演奏はシュっとしてます!

Artな日々~踊る妖精&北村さゆり作品展

少し演奏会が落ち着いたので、シアターXでおこなわれた「踊る妖精~六羽のソロ」と、銀座のSILKLANDギャラリーで開催中の北村さゆり作品展に行ってきました。

     シアターX
先ずはシアターXから。
チェーホフのかもめをモチーフにした6人の踊り手の作品の上演だったのですが、メンバーが凄い。

アキコカンダ   ケイタケイ    倉知外子
花柳面        竹屋啓子  折田克子

まあダンスにそんなに詳しくない私でも名前を知っている面々が揃う豪華な会でした。

個々には夫々印象があるのですが、私には2種類の表現が有ったと思えます。振り付けで比較的自身に近い感情又は言葉を現そうとした方と、喜怒哀楽のもっと先のものを表そうとした方。意外と前者の方が多かったように思います。
日本には世阿弥以降、「秘める」ということが日本独自の表現のあり方だと私は日頃思っているので、あまり直接的に言葉や感情が見えてしまう踊りには想像力が沸き起こりませんでした。

そんな中、花柳面さんの作品は一番際立っていたと思います。面さんは知り合いでもあるので、身内贔屓をする訳ではないのですが、バック音楽を務めた清水弾さんの音はどこまでも抽象に徹していて、妙に情景を表現するようなことを一切しない。そこに面さんが登場すると、その存在感がとても凝縮されるようで、静かな表現ながらもしっかりと目に焼きつきました。

面さんの振り付けは喜怒哀楽の感情の部分ではない。もっとその奥に秘めた記憶を辿るような、抽象世界を表現していました。そんな中にふと現実が甦るような部分があり、抽象と具象を行き来する、時間軸を超えたような素晴らしい作品でした。見ていて、自分の想像力・創造力が刺激され私の中の記憶を何時しか自分で辿っているように感じる場面もあり、正に日本古来の感性と技法を土台とした現代日本の芸術作品だと感じました。

その他、アフタートークでもちょっとしゃべったのですが、ダンスの方の舞台では音楽がちょっとぞんざいに扱われている事が目立ちますね。ダンスが主なのでもちろんそれでも良いのですが、この公演ではちょっとセンスを疑う使い方もあってそこが残念でした。

しかしこうした試みに常に挑戦するシアターXには拍手を送りたいですね。なんだかウズベキスタンのイルホム劇場を思い出しました。正に芸術文化の発信基地。素晴らしいと思います。

さて、次は同郷の日本画家 北村さゆりさんの作品展です。

          kitamurasayuri-koten

ちょっと画像が荒いですが、これが北村さん。北村さんは、私のファーストアルバム「Oriental eyes」をデザインしてくれた画家 山田ちさとさんの友人でもあったので、そんな所から私は彼女の作品展に通いだして、北村さんも時間があるときには演奏を聴きに来てくれるという感じで、なんだかんだと10年近く付き合いが続いています。。

今回は5日の日曜日から17日までの開催ですので、ぜひぜひ皆様行ってみてください。銀座ソニービルの少し裏手、みゆき通りと交詢社通りの間にあるSILKLANDギャラリーでやっています。

北村さんは今、日本画家としてはとっても活躍していて、以前よりTVでも特集されたり、挿絵などでも凄い作家達に絶大な信頼を寄せられている方なんです。結して派手ではないのですが、何時までも変わりなく、気さくでとっても可愛い方。しかし芸術の話になると情熱的に語りだす、魅力溢れる作家さんです。

私は北村さんの「映 たわむれる」という水面をテーマとした一連の作品がとっても好きで、個展をやる時には欠かさず見に行っています。上の画像のバックに写っているのがその作品。淡い色彩の中にも命が溢れているようで、それはそれは素晴らしいんです。なんだか作品と何時しか会話しているように感じる事もあったり、ぼんやりと自分がその中に浮かんでいるように感じるときがあったり、色々な自分が見えてくる作品です。

私の演奏は一つの世界を提示して、その場に聞き手を引き込んで、そこから何かを感じ取っていただくようなものが多いのですが、彼女の作品は何かを提示するというより、見る方が作品の前に立つだけでふわっと包み込まれてしまうような柔らかさがあります。そしてその包まれた世界でいつしか自分自身の姿が見えてくる、そんな感じです。
北村さゆりさんの作品お勧めですよ!!

シアターXでは思いがけず知り合いが受付をやっていてびっくりしたんですが、お陰で終わってから劇場のスタッフとその友人と飲みながら楽しい時間を頂きました。

芸術に触れる時間はやっぱりいいな~。色々なことを感じ想い、色々な出会いがあり、とっても豊かな気持ちになります。この柔らかで、穏やかで、刺激的で、ときめく「時」に感謝。

  

松庵舎講座「琵琶を知ろう」今期終了

昨日、西荻窪の松庵舎にて毎月やっている「琵琶を知ろう」という講座の今期最終回が終わりました。
オーナーの高い志と素敵な環境のおかげで、大きなカルチャーセンターには無い、クオリティーの高い充実した内容をやらせてもらってます。(ちょっとマニアックでもありますが)
小さいクラスなので、来てくれた人全員とコミュニケーションを取りながらやる講座は、私自身が楽しんでいるのかもしれません。

          松庵舎3
こんな感じでやってます。先生っぽいでしょ??

毎回レジュメを書くのですが、一番興味のある中世辺りになると、書いても書いても書き足りず、かなりの量になってしまい、もはや自分が勉強しているような状態になります。昨日も7枚ほどびっしりと書きましたが、まだ全然書き足りない・・。そのうち本でも出してやる!などと息巻きながら楽しんでやらせてもらってます。

この講座は昨年から上半期にシリーズでやっているのですが、昨年は私の演奏している曲の作詞をしてくれた森田亨先生を招いて、平家物語の各章を詳細に解説していただきました。今年は私が琵琶の渡って来た道を、シルクロードから現代まで辿り、解説させていただきました。

私の話はどうも雑学が多く、あまり学問的ではないのですが、それはそれで皆さん面白がってくれているようなので、昨日も色んなエピソードや裏話など満載でやらせていただきました。

        松庵舎2

昨日は平家物語とは何か、という一番の難関のテーマだったのですが、仏教との関わりにおける平家物語ということでやってみました。年配の方も多かったので、どういう風に受け取ってくれたか、若輩の私としてはちょっと心配ですが・・・・。最後には「壇ノ浦」もたっぷりと演奏してきました。

来年は色々な種類の琵琶そのものにスポットを当てて、楽器から見た歴史や周辺芸能のお話などを掘り下げてやろうと思ってます。来年も全6回のシリーズでやりますので、ぜひ興味のある方はお越し下さい。私は薩摩琵琶、楽琵琶に加え、平家琵琶も実演する事になりそうです。出来れば筑前琵琶の方もゲストに呼んで、解説だけで終わらない、体験型の講座をやって行く予定です。

             松庵舎1

最後は皆さんと記念写真をパチリ。

この松庵舎はギャラリーも併設していて、11月にはそのギャラリー 「蒼」で2デイズの演奏会をやります。お馴染み若手尺八奏者 田中黎山君もゲストに呼んで賑々しくやりますので、ぜひこちらにもお越しくださいませ。

松庵舎インフォメーション http://shoan-sha.cocolog-nifty.com/
ギャラリー蒼    http://homepage3.nifty.com/gallery-so/

京へ上ル

琵琶樂人倶楽部の30回記念ライブはお陰様で賑々しく終えることが出来ました。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願い申し上げます。

さて、琵琶樂人倶楽部が終わって直ぐ、京都をうろうろとしてきました。今年から京都での仕事が増えてきた事もあり、今後、京都でも定期的な演奏会も開いてゆこうと思っているので、ちょっと色々とご挨拶に回ってきました。

         

              

              冬はいい感じになります。

上下の写真の所が演奏会をこれからやって行こうと思っているお寺さんです。名前は秘密!普段は非公開のお寺なので、ちょっとこの写真だけでは判らないかもしれませんが、はっきりと予定が立ったら詳細をUPします。
 
     
        

中々静かな風情で素敵なお庭です。4月の清流亭での演奏をここの御住職が聴きにきてくれて、そのご縁で話が進んだ次第です。

京都では9月、11月にも演奏の機会があり、これからは京を攻めて行こうと思ってます。
琵琶の活動を始めた頃は、東京・大阪でライブをガンガンやっていたのですが、だんだん琵琶をじっくりと聞いてもらいたいという気持ちが強くなってきて、なるべく静かで、マイクも要らないそんなスペースでやる事が多くなりました。京都でもお寺だけでなく、色々な素敵な場所に進出して行こうと思ってます。良い場所があったらご紹介くださいな。

相変わらず6月は「頭がうに」の状態で、ありとあらゆる仕事を抱えながら奮闘していますが、本当にありがたいことです。
という訳で今月はまだまだ仕事がいっぱい。27日は松庵舎講座「琵琶を知ろう」の第六回平家物語の特集があります。30日には葛飾シンフォニーヒルズアイリスホールにて、尺八の中村仁樹君との演奏会もあります。京都のほっこり気分ももう引き締めなくては!

気分引き締めの前に京都のほっこり写真をちょっと

 
     

左は三千院の弁天様(琵琶が妙にリアルです)、右は御所近くの神社の壁に書かれていた絵(阮咸を弾いている人がいますね)

やっぱり古都はいいな~~。 

   

© 2025 Shiotaka Kazuyuki Official site – Office Orientaleyes – All Rights Reserved.