江の京窯プレゼンツ Bon Appe亭 at 道心

先日陶芸家 佐藤三津江さんの「江の京窯」が主催する Bon appe 亭がそば処 道心で開催されました。

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この方が佐藤三津江さん。私が勝手にファンだと公言しているのですが、江の京の窯開きの時も私が演奏させていただきました。お孫さんもいるとは思えないこの笑顔!!

江の京HP  http://www.adachi.ne.jp/users/k-miyako/

佐藤さんの主催するこのBon Appe亭は、食と器を楽しんでもらうコラボレーションの会なのですが、これまでにも色々な料理と共演してきたようです。今回は蕎麦とのタッグですので色々と工夫を凝らした作品が並びました。今回の器の写真が無いのが残念です。ぜひ上記の江の京HPをご覧になって下さい。

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こちらは佐藤さんの作品。佐藤さんはオブジェ作品がメインなのですが、生活雑貨の中にもアートを取り入れることをテーマにしているので、お皿でも器でも彼女らしいセンスが光っています。この土瓶型のランプも良い感じだし、左の三つ足の作品は、オブジェにも雑器にも色々なシリーズに出てくる彼女独自のスタイルです。

今回私はお囃子隊。最初の景気付けに「壇ノ浦」をやりました。景気付けに壇ノ浦は無いだろう?とも思いましたが、琵琶といえばやっぱり・・・というわけでやらせて頂きました。盛り上がったかな???           

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会場となった道心では、これまでにも琵琶のライブなど何度もやってブログでも紹介してきましたが、何しろ蕎麦が旨いです。こだわってやっているあんちゃんが一人でがんばっています。
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ちょっとピンボケですが、「楽」と書かれた箸置きを頂きました。

音楽でも美術でも「それだけ」というのではなく、色々なものと関わり、色んな視点で鑑賞し、楽しむ事は世界を豊かにします。最近は古典邦楽の世界も表面的な技ばかりに目が行って、上手に壇ノ浦は弾けるけど、平家物語の事は良く知らない、なんて輩も増えてきました。個人の自由とはいえ、もっと豊かな感性と視点が欲しいですね。
佐藤さんとはこれからも色々な形でコラボして行きたいです。

そしてこの日は私の仲間で、フラメンコピアニストの安藤紀子さんも駆けつけてくれて、お手伝いしてくれました。
安藤紀子s
 

佐藤さんといい、安藤さんといい、皆さん自分の道を進んでいる方は格好良いですね。
負けられません!!

さて、9月からはまた秋の演奏会シーズンです。今年も目いっぱい演奏して回りますので、ご期待下さい。

過ぎ行く日々Ⅲ

ちょっと御無沙汰していました。
毎年夏のこの時期は、高野山公演の御挨拶の為、関西方面をうろうろとしているのですが、今年は尼崎で語りの竹崎利信さんと「二人界」というコンビで小さな公演をしましたので、その公演をはさんでうろついてきました。

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この方が竹崎さん。まんま坊さんですが、もう直ぐ本当のお坊さんになる為に修行に入るとのことです。

今回は宮沢賢治の「二十六夜」を二人でやりました。色々と至らぬ点もあり反省しきりですが、何かを作ってゆくというのは楽しいものです。以前関わった劇団アドックでも劇団員皆で芝居を作り上げてゆく様が本当に素敵でした。これからもゆっくりとしたペースで充実した良い作品を作ってゆきたいです。

今回の旅は先ず大阪を経由して和歌山から入りました。
大阪では何時もお世話になっている、老舗の喫茶店 心斎橋麓鳴館に寄って名物のカレーを食べて、ママとゆっくりおしゃべりして高野山公演のチラシを置いてゆくのが毎年の恒例。

その後は和歌山へ。和歌山ではマネージャーのO氏と共に、今回高野山で共演する尺八の田中君の家まで行き、田中君と和歌山ラーメンの老舗で腹を満たし、鉄分たっぷりの花山温泉に浸かって来ました。それから尼崎に移り、上記の「二人界」をやって、その後は京都奈良をぶらぶらと・・・。

実は来月、京都御所の直ぐ横、つまり御苑内の白雲神社で日露音楽交流協会主催の演奏会があり、私が日本代表??で演奏しますので、その打ち合わせを宮司さんとしてきました。

             白雲神社
ここは琵琶の名手 藤原師長を祭ってあるところで、もちろん弁天様がいます。師長は妙音天といわれ、芸能者がさかんに奉納している所なんです。
 

その後は御苑内をぶらぶらと

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左は二月堂から見た奈良の町、右は春日大社のはずれ「ささやきの小道」

こんな感じで丸々一週間気分の赴くままに関西をうろついて参りました。
何をして過ごそうと時はただ淡々と過ぎて行くというものです。充実感は必要ですが、仕事をして成果を挙げて・・・・という充実感だけでは疲れてしまいますね。

何ら仕事も成果も挙げていないかもしれないけれど、ゆったりとした落ち着いた気分は、体に栄養が満ちてゆくように心にも満ちて行きます。

PS:京都で最高に美味しいイタリアンの店を見つけました。元フレンチを修行したシェフがやっている小さな店なんですが、とても上品で、素材の味が生きている。オリーブオイルがこんなに美味しいか、と思ったくらい美味しかったです。今まで食べた中で間違いなくベスト1!!

「The House of HATA」お勧めです。
                
               

過ぎ行く日々Ⅱ

先日、寶先生の葬儀も終わり、何だか実感も沸かないまま、またいつものあわただしい日常に放り込まれ、日々が過ぎてゆきます。
残された我々はお腹もすくし、喉も渇く。死という厳粛な場面に相対しても、日々の現実から離れる事が出来ません。       

           雲photo MORI Osamu

父の時もそうだった。父は演奏会の当日、正に演奏しているその瞬間に息を引き取ったので、死に目にも会えず、もうバタバタしているうちに、実感が沸く暇も無く、直ぐに演奏会やらツアーやらが始まってしまった事が思い出されます。

こうして現実は進んでゆくのですね。仏教では愛憎に捉われずに生きるべし、と説いているのですが、現実に生きる我々は、愛憎云々はもちろんの事、もっと目の前の生活が迫っていて、なかなか悲しみに浸る事すら難しいのが現実です。一歩進んで二歩下がりながらも前に向かって歩くしかないですね。

昨日は定例の琵琶樂人倶楽部「SPレコードコンサート~往年の琵琶名人を聞く」がありました。

ヴィオロン蓄音機2ヴィオロン蓄音機3この蓄音機は米ヴィクター社製ヴィクトローラ・クレデンザ。昔は家一件分くらいの値段がしたという名器です。手回しでねじを巻き上げ、盤面1枚ごとに針を変えて聞く、まさにアナログの極地。ノイズも多いし、音も小さいけれど、そこからは生々しいほどの音楽が流れていました。今のように録音した部分を繋いだり、エコーをかけたり加工は全く出来ない。まさしく一発勝負という当時の録音現場では、演奏者も本当に実力のある人でなければ務まらなかったでしょう。

ヴィオロン蓄音機4           

これはヴィオロンにあるものと同型のもの。

昨日かけたSP盤からは夫々の演奏家が目いっぱいの技量で張り切っている音が聞こえ、その姿が想像できました。でもやっぱり技術に凝っている演奏よりも、一番古いラッパ録音で録音された永田錦心先生のシンプルな演奏の方が、かえって溢れ出るようなものを感じました。目先の技量を避けて、その想いを内面に秘めてゆくような形は日本人にはぐっくと来るんでしょうね。

寶先生も、SP時代の名人達も、そうした先人が残してくれたものを心に刻んで、胸に秘めて、次の時代を淡々と生きて行く、それが私の役割なんだと、静かに想う日々でした。

巨星落つ

長唄福原流横笛の人間国宝 寶山左衛門先生が亡くなりました。
皆それぞれ人生に大切な出会いがあると思います。私にも今まで数々の出会いがあり、現在がありますが、その中でもとても大きな存在、それが寶先生でした。

寶先生は先代と共に、横笛に革命を起こした方です。先生の功績なくしては今の長唄は無く、現在活躍している横笛奏者も出なかっただろう、と思われるほどの大きな足跡を邦楽という枠を超えて残しました。

そして私が邦楽界にデビューしたのは寶先生の舞台でした。紀尾井ホールの上に邦楽専門のホールがありまして、そこで開かれていた「寶山左衛門の世界」という公演でした。
最初は舞台係で、見台を持って行ったり、先生に笛を渡す役をやっていましたが、何度かやっているうちに、当時就いていた師匠の推薦もあり、舞台で演奏させていただくお話があり、邦楽界への本格的デビューとなりました。またその時の演奏が縁で、大分能楽堂の公演では寶先生と一緒に、先生の作品「花の寺」を演奏させて頂きました。正に私の琵琶演奏家としての人生は寶先生から始まったといっても過言ではありません。
また寶門下の方々ともそれから交流が始まり、今に至っております。         

              

これは大分での写真。私はかなり固くなっていたのが思い出されます。先生は何時も笑顔で、本当に綺麗に年を取るという事はこういうことだと思えるような、さわやかな方でした。「華がある」というのは正に先生のような人のことで、先生が舞台に出ると本当に舞台が華やかになって素敵な時間が流れていました。
俗には「華=若い、美人」などと混同されますが、そうではないのです。こればかりは本人の人間としての力なのです。気取らず、おごらず、まだ30代の駆け出しの私にも対等に接してくれる気さくさと、福原流を背負い代表する芸の深さ、そのどちらも持っている大きな大きな方でした。
「こっちで一緒にお弁当食べましょう」といって楽屋で御一緒した事など、色々な事が正に走馬灯のように甦ります。

            

こちらは大分公演の打ち上げでの写真。この公演はプロの琵琶演奏家としての初めての大舞台でしたので、自分でも気付かないうちに緊張していて、そのせいか演奏後の打ち上げではその緊張がほぐれて、結構飲んでしまいました。寶先生の横でかなり出来上がっている所をばっちり撮られてしまいました。

この秋には先生と共演した大分能楽堂でまた同じ演奏会があります。
先生と共演した「花の寺」を追悼の意を込めて演奏したいと思います。

本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

真夏の夜の夢Ⅱ~演奏後記色々

この夏は例年に無く忙しく動いています。演奏後記はゆっくりとブログ上で報告したいのですが、ありがたいことに毎日のように演奏に追われ、なかなか書く方がかないません。本当にありがたいことです。もちろんどの演奏もしっかりと努めて参りました。

先ずはいつもの21世紀トリオから

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今回はこのトリオのライブとしては初めて、ちゃんとした弾き語りをプログラムに入れました。演奏した「壇ノ浦」はちょっと重い感じがしましたが、やはり琵琶の原点であり、私の核の部分でもありますので、これからこのトリオでも積極的にやって行きたいと思います。
そしてこのトリオの意外な姿が発覚。3人ともパンを食べない、米食いだということ。これはいいことです。なんか絆が深まったような気がしました。

左の写真は尺八の中村君との2ショット。若ぶって同じような格好をしていますが、やはり年は隠せませんね。なんたって親子ほど違うからね・・。
右の写真に写っている女性は日舞の花柳面萌さん。今年ティアラこうとうで共演してから、お付き合いをさせていただいています。やっぱり私以外は皆若いな~~~~。最近妙に若い連中がまわりに多くてね・・・。

次はシェ・ルーソロライブ。
地元阿佐ヶ谷でここ数年、七夕祭りの前日にやってます。いつも私が昼ごはんを食べに行くお店なんですが、アットホームな感じで、和やかに演奏出来ました。こういう小さな店は音も表情も何もかも全てがあからさまになるので、ある意味一番実力が試されます。いい修行の場ですね。

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一人座っている方がオーナーさん。彼女はダンサーさんでもあります。当日のお客様と一緒にパチリ。

そして、長野 善光寺参道にある「刈萱山 西光寺」 刈萱縁日という毎年のイベントなんですが、明治期の琵琶の大ヒット曲「石堂丸」にまつわる親子地蔵があるこのお寺では、琵琶の演奏家が良く演奏しているところです。先輩の伊藤哲哉さんも数年前にやってました。
クーラーも無い開けっ放しの本堂で、お湯をかぶったような状態でやってまいりました。

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尺八は香川一朝さん。香川さんは昨年体調を崩して、この演奏が復帰の第一弾となりました。めでたしめでたし。

最後はSOSトリオのライブ。今回はアルトサックスの森順司さんが飛び入り参加して、カルテットによるライブでした。前回よりも更に良い感じになってきて、「オオ!」という瞬間がいっぱいありました。

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という感じで、毎日が演奏、ライブ三昧という日々を送っていました。
来週からは教則DVDの収録作業に入りますので、演奏は22日の大阪までお休みですが、この夏はやっぱり忙しくなりそうです。

演奏家は舞台に立ってナンボ。これからも色々な形で、色々な所でこうして琵琶を弾いて行きたいです。それこそが私の幸せというものです。

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