昨日、京都御苑の中にある白雲神社で演奏してきました。


この白雲神社さんには、何時もこのブログで写真を使わせてもらっている座工房の森さんに一昨年より連れて行ってもらって以来、毎回京都に行くとお参りに行くようになってます。まあ私はそんなに信心深い訳では無いのですが、音楽の神様というところが妙に気に入ってしまって、ご縁が繋がりました。
奉納演奏でしたので、私は本殿に向かって演奏したのですが、結構良く響いていて、声も出てちょっとノリノリでやってしまいました。後で宮司さんから「気合入ってはりましたな」と言われて恐縮してしまいました。
時代はどんどんと進み、もう日本という視点だけではとても生きてゆけないような時代になってきました。これから海外との関係がどうなってゆくのか不安さえ感じるこの頃ですが、考えてみれば琵琶も遠くペルシャから渡って来て伝えられ、様々に国ごとに改良され、夫々の文化となっていったことを考えると人間の営みは何時の時代も海を渡って交流していたんだな、と想いにふけってしまいました。
今回はロシアの人達と一緒でしたが、音楽に接している時には、少なくともお互いに政治や経済のパワーでものを量らない。変な民族のプライドなんかでけんかもしない。文化の違いを認め合って交流することが出来る。音階やリズムが違うから、そのまま合奏できたりはしないけれど、お互いの音楽と文化を聞きあって会話が出来る。
人間には元々知性や叡智なんてものは大して無いのかも知れないけれど、人間の日々の営みの中から生まれた音楽には嘘は無いと思います。
こういう時代に生まれたのも一つの運命だから、その荒波は超えなくてはいけないのだと思いますが、どんな事態になったとしても、この豊穣な文化だけは失いたくないですね。
御所のきのこ
静かな秋を迎えたいものです。
今日はこのブログでも時々紹介している、作曲家の郡司敦君の新作初演に行ってきました。

現在私の知る限り、作曲家で琵琶のことを今、一番判っているのは郡司君だと思います。彼は琵琶だけでなく、筝や尺八など他の邦楽器にも積極的に取り組んでいるので、今後に期待できる作曲家の一人です。
そんな彼の今日の作品は、筝3人、十七絃一人、弦楽4重奏という編成。ちょうど時間が空いていたことに加え、実はこの曲を11月に、尺八・ピアノ・琵琶で再演しようということになっているので、勇んで出かけていきました。
今日の作品は全部が弦楽器だったのですが、絃の響きにも西洋と東洋、明らかな文化の違いがあるのだな、と思いました。文化の違いと言えばそれまでですが、そこには相容れないものが確かにあり、逆に良い場面を整えてあげると調和するポイントが見出せる。今日の郡司君の作品にはその両方がはっきりと見て取れました。大いに期待できるものですが、かなり課題もある、今、彼はそんな中にいるのだ、と思いました。
かつての現代邦楽のように、ただただ楽器の限界に挑戦するような時代はもう終わりました。洋楽コンプレックスの時代も終わりました。邦楽器は正に今、現代そして次代に対し何をすべきか問われています。もちろん私もどんどん突き進んでゆきますが、郡司君のような若き才能こそが、きっと答えを出してくれるでしょう。大いに期待しています。
現在、筝はそのほとんどがテトロンという絃を使っていて、絹糸はほとんど使われていません。琵琶はまだ絹糸なんですが、耐久性や音量、価格の問題で、絹糸の需要はほとんど無くなり、どんどんテトロンになって来ています。ヴァイオリンやチェロもガットを使っている人はほとんどいません。これも時代というものでしょうか。
最近では筝糸の有名な製造業者が廃業するなど、かなり厳しい現実があります。私の使っている、滋賀県の丸三ハシモトというメーカーも廃業説が飛び交うようなこの頃です。
必要のないもの、需要のないものは世の中から消えてゆくのが現実です。いくら私一人ががんばっても大した成果は上がらないかもしれません。でも絹の絃を無くしてはいけないのです。それは日本文化の誇りなのです。日本文化の存在証明なのです。
常に合理性と利便性を追求する西洋文化、大陸文化で世の中が回ってしまっては、多様で豊穣な人間の営みは破壊されてしまいます。画一化された価値観で全部が統一されてしまった時、人間の文化は衰退し、人類もまた衰退して行くのです。
秦琴という中国の楽器を独自に演奏している、深草アキさんは丸三ハシモトに出向いて、糸縒りの具合まで指定して作ってもらっていると言っていましたが、私も特殊な絃を使っているので、私専用の太さと長さで作ってもらっています。
そんな私が、今、何をすべきか今日の作品を聞きながら色々と考えてしまいました。
仮題は大きいのです。
トンボは絶対に後に進まない。常に前にしか進まない縁起物なのです。
私はいつもトンボの柄の布ケースに包んで琵琶を運んでいます。気持ちだけでも前に進まないと・・!
やっと秋の気配を肌で感じるられるようになってきました。いよいよ演奏会シーズン突入です。この間9月と10月をお知らせして以降も、色々とお話を頂き、更に忙しくなってきました。
追加になった中で面白そうなのは、
モロッコ人のダラブッカ奏者Domnatiさんが主催する「Casablanca Night」ベリーダンスと琵琶??
10月17日 座高円寺2 14時スタートです。
もう一つ面白そうなのは、10月11月と,このブログでもお馴染みのフラメンコピアノの安藤紀子さんとの初共演。10月14日は大塚 音楽堂anoanoで先ずはプレライブ「遭遇前夜」 琵琶とフラメンコ、どうなる事やら、乞うご期待!
音楽家は舞台に立ってナンボのお仕事。多くの機会を頂いている事は、実に幸せな事です。もちろん日々の舞台で満足していては、創作の方がおろそかになってしまいますので、作曲活動も旺盛にやっていかなくてはいけません。来年には定例の邦楽アンサンブル「まろばし」の公演も川崎能楽堂であります。ただ今譜面と格闘中。
この秋も面白くなりそうです!!
11月からのスケジュールです。

11月1日 津田ホール 21世紀トリオ

20・21日 ギャラリー蒼ライブ「琵琶に触れる」
昨年、シルクロードツアー出発の前日に盛り上
がった西荻窪のギャラリー蒼でのライブを再び。
今回は2日目に尺八の田中黎山君が入ります。
26日 AVANCE 東京芸大作曲科教授福士則夫門下卒業生による
作品発表会。今回で3回目の出演。もちろん曲はチーム郡司を
率いる郡司敦君の作品「春のはな~琵琶と尺八とピアノのために」
28日 「フラメンコ y 琵琶」渋谷公演通りクラシックス
フラメンコピアノの安藤紀子さん、ダンスの渡邊倫子さんとの
公演。壇ノ浦・啄木など色々な曲でコラボします。
12月4日 練馬グリーンテイル「夕暮れコンサート」Vol.11足掛け6年
毎回ゲストを迎えて続けているライブ。今回は第一回目に来
てくれた笛の大浦典子さんです。
12日 ハクジュホール
内容はまだちょっとシークレットなんですが、邦楽紅白演奏
合戦という話が出てきました???
15日 琵琶樂人倶楽部 「琵琶と文学シリーズⅣ 平家物語と平曲」
25日 渋谷伝承館 21世紀トリオ
出来たばかりの渋谷伝承館で初ライブです。
あ~沢山の演奏会に恵まれて今年も幸せ。どれもこれも面白いものばかり。ぜひぜひお越しくださいませ。張り切ってお待ちしています。
私は多感な高校生の時にJazzにどっぷりと浸かっていたので、どうしてもJazzの匂いがする所に惹かれてしまいます。もうこれは拭いきれないですね。

琵琶なぞをやっていると珍しいのか、色々な人に声をかけられ、多くの人に出会うのですが、その人がJazzを通り越して来た人なのか、そうでないのかは直ぐに判ってしまいます。別にどちらが良いという訳では無いのですが、同じ匂いのようなものには何かしらのシンパシーを感じてしまうのです。
Jazzが身に染み付いている人もいれば、Jazzを纏っているだけの人もいます。音楽家でもアドリブを聞いていてJazzを感じない人もいます。あの時代特有の匂いなのかもしれませんが、若い人にはJazzの匂いのする人は少ないですね。
今夜はフラメンコピアニストの安藤紀子さんのソロライブに行ってきたのですが、彼女の演奏にもJazzを感じてしまいました。彼女は元々Jazzから入ったそうで、フラメンコを演奏してもその奥底にJazzがあるんでしょうね。

こちらが安藤さん。今日はちょっとおすまし気味ですね。
安藤さんの演奏は「情」という言葉が似合います。フラメンコはよく情熱という言葉で表現されますが、彼女の演奏には情熱だけでなく、叙情、詩情という言葉もまた似合います。もちろんフラメンコの人ですので、喜怒哀楽がはっきりしていて、さっぱりさわやかなお人柄なんですが、その演奏からはJazzを基本とした叙情・詩情性がいつでも聞こえてくるのです。
今夜はオープニングの「こきりこ節」から彼女の「情」が溢れていました。まるでリッチーバイラークが弾いているかのような詩情溢れる繊細で抜群のアレンジメント。安藤さんにはぴったりの選曲と演奏でした。
二部に弾いた「Turn out the star」 とハンコックの曲(曲名失念)、それからオリジナルの「再生」「さくら」はどれも詩情・叙情に溢れ、音楽に身を預けることが出来ました。
今でも感じるのですが、やはりJazzは私の原点だと思います。作曲に関してもクラシックではなくJazzの手法が根底にあるし、演奏に関しても感性は伝統邦楽のそれですが、演奏方法はJazzが基本になっています。実際の演奏はロックテイストに溢れているようですが、これはまあ性格ですね。やはり自分が浸っていられるのはJazzなのです。まあそこが私の帰る港ですね。
安藤さんの演奏を聴いていたら、リッチーバイラークの「Sunday song」に全身を震わせ、エバンスの「People」で癒され、コルトレーンの「Impressions」に熱狂し、ドルフィーの「Last date」にとち狂い、マイルスの「Kind of Blue」に洗脳されていた「あの頃」が甦ってきました。嬉しいでも悲しいでもないのですが、眼がウルウルとするこの感じは久しぶりに味わいました。
そんな安藤さんと10月、11月に共演することとなりました。楽しみです。
いよいよ今年も秋の演奏会シーズンが始まった。このタイトルで書くお知らせも2005年から続いてきて、毎年年を追うごとにどんどん忙しくなってきている上に、シーズンの始まりが早くなってきているというのが嬉しい。という訳で、ざっとご紹介。
9月
4日 21世紀トリオライブ at ヴェルカント(昼の部と夕方の部の2回)

5日 三種の琵琶楽~二天門ライブ
薩摩四弦・五弦・筑前の三流派による演奏
15日 琵琶樂人倶楽部
「平家琵琶と楽琵琶~妙なる平安・
鎌倉の調べ―その秘曲と秘伝について」
24日 京都御苑内 白雲神社
「日露音楽交流協会主催演奏会」ロシアの音楽家との演奏
26日 阿佐ヶ谷地域区民センター 邦楽演奏会「古典が今、語りだす」」
筝と笛とのトリオによる演奏

10月
1日 お江戸日本橋亭「ええ語ろう会」
3日 北鎌倉古陶美術館 Reflections Live
龍笛と楽琵琶のデュオ 久々です
11日 岡山倉敷 慈眼院 元高野山大学密教学
教授 越智淳仁先生の晋山式で記念演奏
13日 琵琶樂人倶楽部「現代の合奏曲」
15日 音楽堂anoano 「遭遇前夜 フラメンコピアノ y 琵琶」
フラメンコピアノの安藤紀子さんとのデュオ
17日 東京 座高円寺2 Casablanca Night
ダラブッカ奏者 Domnatiさんが主催するオムニバス企画
20日 埼玉熊谷 常光院 十三夜法要琵琶演奏会
23日 和歌山 子供の寺 童楽寺
「琵琶を楽しもう-尺八と共に at 童楽寺」
24日 和歌山 第五回塩高和之琵琶演奏会於高野山」

高野山公演も今年で5回目となりました。
今年は尺八の田中黎山君をゲストに、しっとりと語ってきます。
25日 和歌山 高野山大学琵琶演奏会(学生向け)
27日 兵庫 西宮高校音楽科特別授業(学生向け)
シタールの田中峰彦さんと音楽科の生徒達とセッション
11月からは
・津田ホール 21世紀トリオ大演奏会
・大分能楽堂 福原百桂さん、福原みち子さんと共演
・京都清流亭 楽琵琶と龍笛の大浦典子さんとのデュオでよる三日間
・新宿ウルガ フリージャズのドラマー大沼兄貴と
ロックギターはりやさんとのトリオ
・ギャラリー蒼での2デイズライブ ゲスト尺八田中黎山君
・AVANCE 芸大作曲科 福士則夫門下の作品発表会
郡司敦作新初演
・近江楽堂「創心会」
・フラメンコピアノの安藤紀子さん、ダンスの渡邊倫子さんと
公園通りクラシックスでのライブ
・ハクジュホール
・渋谷伝承館 21世紀トリオ
という具合にまだまだ延々と続いてゆきます。こちらはまたあらためてUPします。
昨年はシルクロードツアーでてんぱってましたが、この秋もかなり気合の秋となりそうです。乞うご期待!!ぜひぜひお越しくださいませ。