琵琶の音に触れる~蒼2Days Live 

20日、21日と西荻のギャラリー蒼にて「琵琶の音に触れる」と題したサロンコンサートをやってきました。ここでは昨年もシルクロードに向かう前日に演奏していて、今回は1年ぶりの演奏です。

初日は仏教を題材とした琵琶の弾き語りによる独演

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平家物語からは「祇園精舎」、「壇ノ浦」。弘法大師空海の精霊集による「慕仙詩」。道元禅師のことを唄った「沙門」という具合に、一貫して仏教系で攻めてみましたが、お客様の乗りも良く、いい感じで出来ました。

2日目は尺八の田中黎山君をゲストに迎え、現代の作品と平家物語の「敦盛」という布陣。

     
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私の独奏で「風の宴」。デュオで「まろばし」「花の行方」。最後は30分にわたる弾き語りで「平敦盛~月下の笛」をやってきました。

今回も2日間両方とも来てくれた方、お着物でしっとり決めてきてくれた方など、皆さんこの機会を自分なりに楽しんでいる御様子。こういうサロンコンサートではお客様同士でも、友達になったりすることが多く、良いご縁と風ががいっぱいです。
琵琶は大きなホールも良いですが、こんな会こそ真価を発揮できます。またこんな場所では、ただ上手いというだけでなく、演者の会話や姿、所作全てを見られてしまうので、正に器を試される場でもあります。

私が演奏活動を始めた時に、とあるプロダクションの方が、少人数のサロンコンサートを毎月色々な所でやりなさい、とアドヴァイスをくれましたが、それが今になってとても豊かな実りをもたらしてくれています。

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こういう会は情熱をもって企画してくれる人がいてこそ、成り立つというもの。今回もオーナーさんがチラシを自分で作り、当日配布のプログラムも作り、集客から、当日のお茶タイムに出すお菓子まで吟味に吟味を重ねて、一人一人をもてなす姿に、本当に感心しました。こういう会は本当に幸せを感じますね。
関わる人の想いが結集して、手作りで開く小さな演奏会。2日間で60名ほどのお客さんでしたが、とても素敵な時間を頂きました。

尚、このギャラリー蒼に併設する松庵舎では来年も1月から6月まで6回の琵琶講座を開催します。琵琶教室もここで始める事になりました。
ぜひ覗いてみてください。

ギャラリー蒼 http://homepage3.nifty.com/gallery-so/
松庵舎    http://shoan-sha.cocolog-nifty.com/

琵琶樂人倶楽部Vol.35「女流琵琶楽Ⅲ」

昨日は毎月恒例の琵琶樂人倶楽部Vol.35「女流琵琶楽Ⅲ」をやってきました。
琵琶樂人倶楽部も今月で丸3年。琵琶を音楽としてだけでなく、周辺の芸能、歴史宗教なども含め文化として紹介してゆこうという志で始めたのですが、私にはもうすっかりライフワークとなって来ました。第一回目からずっと来てくれている方や、最近常連となっている方、初めて来てくれた方、色々なお客様が集ってくれる事は本当に嬉しいです。

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こちらは昨日御出演の方々。左から錦心流琵琶の樋渡蓬水さん、筑前琵琶の大久保旭夏さん、薩摩正派の和田妙舟さん。夫々の個性はもちろんですが、語り、弾法共に流派の違いと魅力が良く出ていました。ぜひこういう琵琶の多様な魅力をもっともっと聞いてもらって、レベルの高い演奏家が活躍するようになって欲しいものです。

魅力ある楽曲、レベルの高い演奏、そして何よりも人を惹きつけてやまない舞台を作れるようでないと観客は何時まで経っても増えません。ただ出てきて、お辞儀して、演奏して、帰る、ようなことを繰り返していては何時まで経ってもお稽古事で終わってしまいます。

一曲二曲お上手なんていうのはただのアマチュア。プロは舞台でこそ評価されるものです。○○賞取りましただの、名取になりましただの、そういう事はお稽古事の世界の事。お客さんには関係ないのです。2時間の感動の舞台全体を作る事が出来てこそ観客は付いてくるのです。私自身も更にもっと考えて活動してゆきたいと思います。

2010-11-17-4琵琶樂人倶楽部代表の古澤錦城さんと和田さん、樋渡さん。みなさんいい顔してます。この笑顔で若い世代をどんどん引っ張っていって欲しいのです。

さて、くどいようですが、今度の土日はギャラリー蒼での2デイズライブです。ぜひぜひお越しくださいませ。

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土曜日は18時30スタート。仏教系の曲を集めた弾き語りによるライブです。
日曜日は13時30よりのスタート。現代作品を尺八の田中黎山君と一緒に演奏し、弾き語りは平家物語から「敦盛」を演奏します。

皆様のお越しをお待ちしています。

問い合わせは
ギャラリー蒼 03-3331-3681
gallery-so@nifty.com   です。

さあ、今日も活動開始です!!

 

私の中の色々な私

ツアーから戻ってもライブ三昧の日々ですが、先日は久しぶりにブリブリのロックの箱でやってきました。場所は新宿のURGA。普段邦楽や雅楽をやっている耳には、強烈なディストーションの聞いたギターサウンドが振動となって体に轟いてきます。エレベも凄いサスティンで、胃があちこち動くのが判ります。あの感覚を久しぶりに味わいました。

rock[1]これは私の若かりし姿ですが、気分はもうこんな感じ。
幸いピックアップを貼り付けたマイ琵琶もガンガンと鳴ってくれて、大沼アニキのDsとハリヤカズオさんのギターサウンドにも負けず張り合ってきました。

それにしてもこの写真若いですね~。私の原点です。

その直ぐ後には松庵会という催しで、「城山」「祇園精舎」を唸って来ました。まあ薩摩琵琶の叫ぶような語りはロックのようなものですし、私の演奏は何時もロックギターのようだ、といわれていますので、本人の中ではさして違和感がないのですが、和服や直垂姿を普段見ている方には、かなりのギャップがありますね。

私の使っている塩高スペシャル琵琶は、エドワードヴァンへイレンのあのうなる低音を琵琶で再現すべく、琵琶職人の石田克佳さんの手によって誕生したので、レスポールを弾いても、琵琶を弾いても、私には同じ感覚なんです。

高野山に関わってから、お大師さんの懐の深い感覚がとっても気に入っているのですが、色々なものが共存・共生しているのが世の中というもの。もちろん個人という存在もまた同じ多様な面を持っているわけです。あまり固定したイメージを作りすぎると窮屈になってしまいます。

この週末は暫しの休息を頂いていていますが、来週は恒例の琵琶樂人倶楽部「女流琵琶楽Ⅲ」があります。正派・錦心流・筑前の女流名手が集います。注目ですよ。そして週末には西荻窪のギャラリー蒼で2デイズライブが待っているのです。
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2日目は尺八の田中黎山君がゲストに入ってくれます。まだ若干席がありますので、ぜひお越しくださいませ。

場所  ギャラリー蒼(西荻窪駅徒歩10分)
時間  20日 18時30分開演
     21日 14時00分開演
料金  3300円(前売り)3500円(当日)

曲   
20日 祇園精舎 慕仙詩~性霊集より  秘曲啄木(楽琵琶) 壇ノ浦
21日 まろばし~尺八と琵琶のための 平敦盛  風の宴

お問い合わせ・御予約 ギャラリー蒼 03-3331-3681

水は入れる器によって形を変えますが、どんな形になっても水は水。質は何も変わりません。人間も色々な姿を持っているようで、実はその内面はどれもが同じなのかもしれません。一つの存在が色々な形になって立ち現れているだけなのかもしれませんね。我々は目に見えるイメージに心を奪われてしまっているだけなのかもしれません。

ぜひ本質を貫く琵琶の音をお聞きくださいな。

旅がらすⅡ~京より戻る

京より戻ってまいりました。東京でも相変わらずのハードなスケジュールなのですが、とりあえず一息ついております。

京での演奏はこんな感じでした。

ここの料理は、シェフが元々フレンチをやっていただけあって、気軽なんですが、料理にふわりと品のよさを感じます。塩分もかなり控えめな為、オリーブオイルが実に良く風味を効かせていて、素材の味も生きている。夕方から仕事でしたので、呑めませんでしたが、ワイン通でもなんでもない私でも、ワインをちょっと飲みたくなります。ここはもう私の京都の定番となりそうです。

こうして旅が出来るというのは、本当にありがたいことです。色々な場所に行って演奏して、人と出会い、土地のものを食べ飲み、各地の文化に触れ・・・。何と素晴らしい職業なのでしょう。
これから今月だけでも東京では、どんどん演奏会が続いております。後10本位あるでしょうか。何だか「頭がうに」という感じですが、とにかく忙しいというのはありがたいことです。

来年は2月に入れば大分落ち着きますので、じっくりと創作の方もやって行きたいと思っています。今年実現しなかった大浦さんとのコンビ「Reflections」のCDも、ぜひ早い段階でリリースしたいと思ってます。

ぜひぜひ御贔屓に!!

旅がらす~東京~大分~京都

先日の津田ホールでの21世紀トリオコンサートはとてもよい感じで演奏することが出来ました。

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終演後、作曲の郡司君、太鼓の壱太郎君と、21世紀トリオのメンバーでお疲れ様のご挨拶

思えば昨年の11月1日。ちょうどぴったり1年前に、プロデューサーの久保木氏のお声がかりであの3人が会い、津田ホールに至ったのです。内容的にも1年間、小中規模のライブを重ねて来たお陰で、これまで一番充実した演奏が出来たと思っています。
今回はプログラムも良く、夫々の個性が際立っていて、充分に演奏することが出来ました。御来場の皆様、本当にありがとうございました。

さて、私はこの所本当に旅がらすでして、津田ホールでは打ち上げにも出ないで、直ぐに大分に向かいました。

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3日の文化の日には、大分能楽堂で、横笛の福原百桂先生の会にゲスト出演してきました。ここは、以前のブログでも紹介しましたが、先日亡くなった寶山左衛門先生と共演した場所であり、私の邦楽人としての出発点といっても良いところなのです。もちろん今回は、六代目福原百之助こと寶山左衛門先生の追悼の会でもありました。
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  左から、福原百桂先生、福原道子先生、首藤順子さん、私

今回は寶先生の娘でもある、笛奏者の福原道子先生と私、そして語りの首藤順子さんの3人がゲストでした。
皆で寶先生の思い出話をしていたのですが、どの曲でも、どの場面でも先生との思い出が甦ってくるようで、ずっと寶先生に包まれて演奏しているみたいな気分になりました。本当に良い機会に呼んで頂いて、感謝しています。

前回寶先生と共演した時と同じ「花の寺」という先生の作品を、今回は百桂・道子両先生と私で演奏してきました。前回共演した先生の孫の健太郎さんは今や、七代目福原百之助を襲名して、流派の家元としてがんばっています。色々な意味で大分能楽堂は忘れられない場所となりました。

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百桂先生、道子先生そして名取りの方々と
一緒に。

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今回は外国の方で笛を勉強しているパトリックさんとメリッサさんも舞台でがんばりました。大学で文化人類学を勉強しているそうです。

そんな大分でもう少しゆっくりとしていたかったのですが、直ぐに東京に帰り、また週末には関西へとむかいます。週末は、今年の春にしだれ桜の下でやった、南禅寺畔の清流亭で、今度は楽琵琶による演奏をしてきます。

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雅楽の楽人装束を着ての演奏は久しぶりです。ここは重要文化財にも指定された、とてもいい感じの建物と庭なんです。楽しく演奏出来そうです。

この後も帰ってきて直ぐに、フリージャズのライブが待っているという、なんとも刺激的なお仕事が続きます。
ドビュッシー、邦楽、雅楽、フリージャズと、まあ脈絡もなくやっていますが、全部私の中では何の違和感もなく溶け合っているのです。

お大師さんは「二項が一つに溶けあってゆく(正邪・日月など)」という考え方が大変お好きだったようですが、私も色々な音楽が自分の中に溶け合い同居して、私という音楽世界が形成されている、そんな風に考えています。

さて、どうなる事やらと思われた怒涛の演奏会も、あっという間に過ぎ去って、また明日から旅がらすです。
どこかで見かけたら声をかけてやってください。

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