やっと一息

怒涛の演奏会ラッシュも一応、昨日で一段落着きました。もちろん今年もまだ色々あるのですが、とにかく一区切り付いて、ほっとしています。

先ずは26日の旧奏楽堂でのAVANCE
写真が無いのが残念ですが、作曲家 郡司敦君の「春のはな」を演奏してきました。郡司君の曲はリズミックで軽やかな雰囲気が特徴。今回も尺八の田中黎山君、ピアノの西尾杏子さんと軽やかに演奏してきました。
それにしてもさすが芸大、演奏者のレベルが高いですね。

そして昨日28日の安藤紀子トリオ 渋谷公演通りクラシックス「Est momento esta noche」こちらもいい感じで演奏出来ました。

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こちらがおなじみの安藤女史

今回も情感豊かなフラメンコピアノを聞かせてくれました。クラシックのピアニストとは違い、正に情念で弾く!という感じで、哀愁漂う旋律とダイナミックスが素晴らしかったです。

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そして今回はダンスの渡邊倫子さんが加わってくれました。この日の一曲目は先ず、渡邊さんと「啄木」でデュエットしました。この「啄木」では過去に一色真由美さん、かじかわまりこさんと夫々共演しているのですが、渡邊さんも独自の感性で踊ってくれました。安藤さんとはピアノ・琵琶で「まろばし」を演奏したのですが、現代音楽のような、ちょっとフリージャズのような感じになってこちらもいい感じでした。

そして3人で「壇ノ浦」をラストに演奏。フラメンコピアノのダイナミックで情感的なイントロに乗って唄いだしたのですが、なにせ皆さん気合が入りまくっているので、こちらも負けていられません。声を振り絞るように、情念で唄いました。お陰で30分近い大作となりました。

2010クラシックスー4昨日は俳優の伊藤哲哉さんも来てくれまして、久しぶりにゆっくり呑りながら色々とお話させていただきました。何時も伊藤さんとお話しすると勉強になります。私にとっては貴重な先輩です。

今年の秋のシーズンは、今までになく飛び回ってましたが、それ以上にこれまでやってきていない音楽に挑戦する機会が多く、大変充実したシーズンとなりました。
特にピアノとの共演は今年のキーワードともいう出来事で、菊池智恵子さん、西尾杏子さん、安藤紀子さんという全く個性・スタイルの違う3人のピアニストと共演しましたが、こんなにピアニストと共演した事は今までありませんでした。
新しい事に取り組んでいると、伝統ということもまた新しい目で見ることが出来ます。そういう意味で今年のシーズンはとても有意義なものとなりました。「革新があるからこそ伝統もある」この秋はこんな事をしっかりと体感しました。

さて、12月も色々ありますよ。4日にはこちらも毎年恒例の、カフェグリーンテイルでのライブ。今回は笛の大浦典子さんとデュオです。そして、8日には近江楽堂での「創心会」、12日は中村仁樹君プレゼンツのハクジュホール演奏会、などなど色々と続きますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。

一息ついたものの、まだまだ私には休息は頂けないのです。

異文化コミュニケーション

このところ異ジャンルの方とのセッションが続いています。先日は渋谷のPINKCOWにて色んなジャンルの人と演奏してきました。

pinkcow

私は尺八の岩田卓也君とデュオだったのですが、まわりには忍者やら、タップダンスやら書道・華道パーフォーマンスの方々がいっぱいいて、お客様も外人さんばかりという状況。邦楽器の人も色々といたのですが、皆邦楽はやっておらず、リズムやビートで聞かせる感じの方でした。

そして明日は上野の旧奏楽堂にて、AVANCEという作曲家達の新作の会があります。お馴染み郡司敦君の「春のはな」をピアノ 西尾杏子、尺八 田中黎山 と私のトリオでやってきます。

             AVANCE2010
このAVANCEにはもう3回目の出演なのですが、東京芸大の作曲科 福士則夫先生の門下生による会なので、まわりはクラシックの方々ばかり。今までもソプラノとギターと琵琶という組み合わせで出ている会です。

更に究めつけは何と言っても、フラメンコピアノと琵琶の共演

          est moment esta noche

フラメンコピアノというのも日本では珍しいですが、このブログでも時々紹介しているしているピアニスト安藤紀子さんを中心に、私とダンスの渡邊倫子さんが集まり、壇ノ浦をフラメンコピアノの伴奏で歌います。

私はフラメンコギターもかじっていたので、琵琶とフラメンコは結構似ている部分を感じていました。カンテ(フラメンコの唄)と琵琶の語りはかなり近いものがあるし、崩れとブレリアスの感じもなんか共通項があるように思います。右手の使い方なども似ていると思ってます。

ぜひお聞きの逃しなく!!

28日日曜日 渋谷公園通りクラシックス  18時開演です。
お問い合わせは 
Office Orientaleyes mail: orientaleyes40@yahoo.co.jp

までよろしくお願いします。

コラボすれば良いというものではありませんが、どんな組み合わせがあっても、現代という時代を考えれば、さして驚きもしないのが本音です。
むしろ琵琶の特定の形にこだわるあまり、幅の狭いものになってしまうと、時代と社会に見向きもされなくなってしまいます。これまでの琵琶の歴史がそれを証明しています。

琵琶=武士道というのは、確かに魅力ある部分ですが、琵琶=軍国主義というのはいただけません。大正から昭和にかけてそんな時代が確かにありました。
語り物をやろうが、コラボをやろうが、「何を受け継ぐのか」という基本スタンスをしっかり持っていないと、ただお稽古したからといって「戦艦大和」やら「常陸丸」を訳もわからず舞台でやるようになってしまいます。またお稽古した得意曲とばかりに、訳もわからず流派の曲をライブで得意になってやっている人も多いです。

どんなジャンルとやっても弾き語りをやっても、自分が振り回されてしまってはいけないのです。

世界には魅力ある音楽が溢れています。新しい時代には新しい琵琶楽を!

琵琶の音に触れる~蒼2Days Live 

20日、21日と西荻のギャラリー蒼にて「琵琶の音に触れる」と題したサロンコンサートをやってきました。ここでは昨年もシルクロードに向かう前日に演奏していて、今回は1年ぶりの演奏です。

初日は仏教を題材とした琵琶の弾き語りによる独演

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              photo OKUMURA mori

平家物語からは「祇園精舎」、「壇ノ浦」。弘法大師空海の精霊集による「慕仙詩」。道元禅師のことを唄った「沙門」という具合に、一貫して仏教系で攻めてみましたが、お客様の乗りも良く、いい感じで出来ました。

2日目は尺八の田中黎山君をゲストに迎え、現代の作品と平家物語の「敦盛」という布陣。

     
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私の独奏で「風の宴」。デュオで「まろばし」「花の行方」。最後は30分にわたる弾き語りで「平敦盛~月下の笛」をやってきました。

今回も2日間両方とも来てくれた方、お着物でしっとり決めてきてくれた方など、皆さんこの機会を自分なりに楽しんでいる御様子。こういうサロンコンサートではお客様同士でも、友達になったりすることが多く、良いご縁と風ががいっぱいです。
琵琶は大きなホールも良いですが、こんな会こそ真価を発揮できます。またこんな場所では、ただ上手いというだけでなく、演者の会話や姿、所作全てを見られてしまうので、正に器を試される場でもあります。

私が演奏活動を始めた時に、とあるプロダクションの方が、少人数のサロンコンサートを毎月色々な所でやりなさい、とアドヴァイスをくれましたが、それが今になってとても豊かな実りをもたらしてくれています。

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こういう会は情熱をもって企画してくれる人がいてこそ、成り立つというもの。今回もオーナーさんがチラシを自分で作り、当日配布のプログラムも作り、集客から、当日のお茶タイムに出すお菓子まで吟味に吟味を重ねて、一人一人をもてなす姿に、本当に感心しました。こういう会は本当に幸せを感じますね。
関わる人の想いが結集して、手作りで開く小さな演奏会。2日間で60名ほどのお客さんでしたが、とても素敵な時間を頂きました。

尚、このギャラリー蒼に併設する松庵舎では来年も1月から6月まで6回の琵琶講座を開催します。琵琶教室もここで始める事になりました。
ぜひ覗いてみてください。

ギャラリー蒼 http://homepage3.nifty.com/gallery-so/
松庵舎    http://shoan-sha.cocolog-nifty.com/

琵琶樂人倶楽部Vol.35「女流琵琶楽Ⅲ」

昨日は毎月恒例の琵琶樂人倶楽部Vol.35「女流琵琶楽Ⅲ」をやってきました。
琵琶樂人倶楽部も今月で丸3年。琵琶を音楽としてだけでなく、周辺の芸能、歴史宗教なども含め文化として紹介してゆこうという志で始めたのですが、私にはもうすっかりライフワークとなって来ました。第一回目からずっと来てくれている方や、最近常連となっている方、初めて来てくれた方、色々なお客様が集ってくれる事は本当に嬉しいです。

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こちらは昨日御出演の方々。左から錦心流琵琶の樋渡蓬水さん、筑前琵琶の大久保旭夏さん、薩摩正派の和田妙舟さん。夫々の個性はもちろんですが、語り、弾法共に流派の違いと魅力が良く出ていました。ぜひこういう琵琶の多様な魅力をもっともっと聞いてもらって、レベルの高い演奏家が活躍するようになって欲しいものです。

魅力ある楽曲、レベルの高い演奏、そして何よりも人を惹きつけてやまない舞台を作れるようでないと観客は何時まで経っても増えません。ただ出てきて、お辞儀して、演奏して、帰る、ようなことを繰り返していては何時まで経ってもお稽古事で終わってしまいます。

一曲二曲お上手なんていうのはただのアマチュア。プロは舞台でこそ評価されるものです。○○賞取りましただの、名取になりましただの、そういう事はお稽古事の世界の事。お客さんには関係ないのです。2時間の感動の舞台全体を作る事が出来てこそ観客は付いてくるのです。私自身も更にもっと考えて活動してゆきたいと思います。

2010-11-17-4琵琶樂人倶楽部代表の古澤錦城さんと和田さん、樋渡さん。みなさんいい顔してます。この笑顔で若い世代をどんどん引っ張っていって欲しいのです。

さて、くどいようですが、今度の土日はギャラリー蒼での2デイズライブです。ぜひぜひお越しくださいませ。

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土曜日は18時30スタート。仏教系の曲を集めた弾き語りによるライブです。
日曜日は13時30よりのスタート。現代作品を尺八の田中黎山君と一緒に演奏し、弾き語りは平家物語から「敦盛」を演奏します。

皆様のお越しをお待ちしています。

問い合わせは
ギャラリー蒼 03-3331-3681
gallery-so@nifty.com   です。

さあ、今日も活動開始です!!

 

私の中の色々な私

ツアーから戻ってもライブ三昧の日々ですが、先日は久しぶりにブリブリのロックの箱でやってきました。場所は新宿のURGA。普段邦楽や雅楽をやっている耳には、強烈なディストーションの聞いたギターサウンドが振動となって体に轟いてきます。エレベも凄いサスティンで、胃があちこち動くのが判ります。あの感覚を久しぶりに味わいました。

rock[1]これは私の若かりし姿ですが、気分はもうこんな感じ。
幸いピックアップを貼り付けたマイ琵琶もガンガンと鳴ってくれて、大沼アニキのDsとハリヤカズオさんのギターサウンドにも負けず張り合ってきました。

それにしてもこの写真若いですね~。私の原点です。

その直ぐ後には松庵会という催しで、「城山」「祇園精舎」を唸って来ました。まあ薩摩琵琶の叫ぶような語りはロックのようなものですし、私の演奏は何時もロックギターのようだ、といわれていますので、本人の中ではさして違和感がないのですが、和服や直垂姿を普段見ている方には、かなりのギャップがありますね。

私の使っている塩高スペシャル琵琶は、エドワードヴァンへイレンのあのうなる低音を琵琶で再現すべく、琵琶職人の石田克佳さんの手によって誕生したので、レスポールを弾いても、琵琶を弾いても、私には同じ感覚なんです。

高野山に関わってから、お大師さんの懐の深い感覚がとっても気に入っているのですが、色々なものが共存・共生しているのが世の中というもの。もちろん個人という存在もまた同じ多様な面を持っているわけです。あまり固定したイメージを作りすぎると窮屈になってしまいます。

この週末は暫しの休息を頂いていていますが、来週は恒例の琵琶樂人倶楽部「女流琵琶楽Ⅲ」があります。正派・錦心流・筑前の女流名手が集います。注目ですよ。そして週末には西荻窪のギャラリー蒼で2デイズライブが待っているのです。
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2日目は尺八の田中黎山君がゲストに入ってくれます。まだ若干席がありますので、ぜひお越しくださいませ。

場所  ギャラリー蒼(西荻窪駅徒歩10分)
時間  20日 18時30分開演
     21日 14時00分開演
料金  3300円(前売り)3500円(当日)

曲   
20日 祇園精舎 慕仙詩~性霊集より  秘曲啄木(楽琵琶) 壇ノ浦
21日 まろばし~尺八と琵琶のための 平敦盛  風の宴

お問い合わせ・御予約 ギャラリー蒼 03-3331-3681

水は入れる器によって形を変えますが、どんな形になっても水は水。質は何も変わりません。人間も色々な姿を持っているようで、実はその内面はどれもが同じなのかもしれません。一つの存在が色々な形になって立ち現れているだけなのかもしれませんね。我々は目に見えるイメージに心を奪われてしまっているだけなのかもしれません。

ぜひ本質を貫く琵琶の音をお聞きくださいな。

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