秋の演奏会は一応一段落着いたものの、12月も1月も演奏会は続いています。今日は毎年5月と12月に定例にしている、グリーンテイルでの11回目のライブをやってきました。

第一回目に呼んだゲストの大浦典子さんを今回又呼んで「Reflections」コンビで演奏してきました。マスターもママさんも本当に暖かく、ここはもう私のホームグランドになっています。

今までにも尺八の香川さん、中村君、田中君、筝の小笠原さん、笛の百七さんなどなど様々な方をゲストに迎えやってきましたが、さすがに10数年コンビを汲んでいる大浦さんとは息もぴったり。「Reflections」では来年第二段のCDも計画中ですので、ご期待下さい。
最近、舞台に立っている事の幸せをよく感じます。自分の選んだ道を生業として生きてゆけるこの幸せ。とてもいい感じです。
経正のように、いくら恵まれていても、なかなか自分の思うようには生きられないのが世の中というもの。それを思うと、私は今、とても幸せな状態にいるのだとつくづく思います。
お陰様で、シーズンを過ぎても週に1,2度は舞台で演奏させてもらってますが、もっともっと演奏したい、というのが本音。来年はもっともっともっと良い方向に持って行きたいと思っています。
いままで色々なことをやってきましたが、来年は整理すべき所は整理し、突き進む所は突き進み、更に更に充実した活動を展開してゆきたいと思っております。
今後ともせひとも御贔屓に。
先日メゾソプラノ歌手の郡愛子さんのリサイタルに行ってきました。

郡さんはTVでも御馴染みですし、藤原歌劇団の看板歌手ですので、ご存知の方も多いと思います。以前ブログに書いた笛田博昭君も確か藤原歌劇団の所属だったと思います。
高いレベルで訓練された声と、練られた歌唱力、色々な所に余裕というものが感じられました。加えて程よいエンタテイメント性があり、これが長年に渡り愛される秘訣なんだな、と感じました。
クラシックの曲ももちろん素晴らしかったのですが、日本語の歌がとっても良かったです。「北の宿から」は都はるみのヒット曲ですが、郡さんの情感あふれる歌唱力には参りました。また最後に歌った「ながれ」(作詞 清水かつら 作曲 和田薫)が詩の内容、曲、歌と全てが揃い素晴らしかったです。
クラシック系歌手にありがちなドイツ語やイタリア語なまりの変な発音の部分が無く、日本語の美しさを十二分に堪能できる魅力溢れる歌でした。
そして伴奏でギターを弾いてたのは、何と私の先輩 並木健司さん
先日の潮先先生の芸暦60周年ライブでもお見かけしましたが、こんな所でお会いするとは!
私はとうに琵琶の道に進んでしまいましたが、こうしてギターでがんばっている先輩や仲間に合えるのは本当に嬉しい限りです。
音楽を生業としてゆくのは本当に難しい。コンクールで1番になっても、上手であってもなかなか音楽家人生をまっとうできる人は少ないのです。
郡さんも並木先輩も皆に愛されてこそ、この道で生きている。そこを判っているからこそ、生業としてゆけるのです。
現在の琵琶の世界を見ると、生業として生きている人はほとんどいない。
ほぼ100%に近くアマチュア。これでは人を魅了するような琵琶楽が生まれてこないのは当然です。魅力溢れる琵琶人、生業として琵琶を弾いている人が沢山いて、夫々に魅力をもって世の中の人に愛されなければ、そのうち博物館に飾られるのがオチです。
2時間の舞台を務めるためには、お稽古した曲をいくら並べてもどうにもならないのです。舞台を作り上げるには人並みはずれた創造性、演奏能力、作曲能力、人望、器、華・・・。ありとあらゆるものが必要なのです。受賞暦など何の役にも立たないのです。上手なんていうのは当たり前、聴衆を魅了できない人は音楽家にはなれないのです。
一般の会社でも、音楽の流派でも創造性の無い団体は必ず滅びます。新製品を作れない会社、新作を上演できない音楽家がどうしてその道で生きていけるのでしょうか。常に時代と共にあってこそ、常にその時代の人々に愛されてこそ存在価値があるのです。
平家物語などの古典というものは、何時の時代でも人々の心を捉え、愛され、汲めども尽きぬ魅力をたたえていたから古典となったのです。能、歌舞伎をはじめ色んな芸能に脚色され、琵琶でも平家琵琶だけでなく、薩摩や筑前でもスタイルを変え演奏されてきたからこそ、未だ愛されているのです。愛されたのは外側の形ではなく、その中身、世界観こそが愛されたのです。
我々は舞台に立ってナンボのもの。御託並べる前に年間50本でも100本でも舞台で演奏して欲しい。それもゲストや客演ではなく、自分の公演を張って生きるような琵琶人がどんどん出てきて欲しい。
郡さんの歌を聞きながら、かつての永田錦心のような魅力ある琵琶人がもっともっといたらな~~と深く深く思いました。
怒涛の演奏会ラッシュも一応、昨日で一段落着きました。もちろん今年もまだ色々あるのですが、とにかく一区切り付いて、ほっとしています。
先ずは26日の旧奏楽堂でのAVANCE
写真が無いのが残念ですが、作曲家 郡司敦君の「春のはな」を演奏してきました。郡司君の曲はリズミックで軽やかな雰囲気が特徴。今回も尺八の田中黎山君、ピアノの西尾杏子さんと軽やかに演奏してきました。
それにしてもさすが芸大、演奏者のレベルが高いですね。
そして昨日28日の安藤紀子トリオ 渋谷公演通りクラシックス「Est momento esta noche」こちらもいい感じで演奏出来ました。

こちらがおなじみの安藤女史
今回も情感豊かなフラメンコピアノを聞かせてくれました。クラシックのピアニストとは違い、正に情念で弾く!という感じで、哀愁漂う旋律とダイナミックスが素晴らしかったです。


そして今回はダンスの渡邊倫子さんが加わってくれました。この日の一曲目は先ず、渡邊さんと「啄木」でデュエットしました。この「啄木」では過去に一色真由美さん、かじかわまりこさんと夫々共演しているのですが、渡邊さんも独自の感性で踊ってくれました。安藤さんとはピアノ・琵琶で「まろばし」を演奏したのですが、現代音楽のような、ちょっとフリージャズのような感じになってこちらもいい感じでした。
そして3人で「壇ノ浦」をラストに演奏。フラメンコピアノのダイナミックで情感的なイントロに乗って唄いだしたのですが、なにせ皆さん気合が入りまくっているので、こちらも負けていられません。声を振り絞るように、情念で唄いました。お陰で30分近い大作となりました。
昨日は俳優の伊藤哲哉さんも来てくれまして、久しぶりにゆっくり呑りながら色々とお話させていただきました。何時も伊藤さんとお話しすると勉強になります。私にとっては貴重な先輩です。
今年の秋のシーズンは、今までになく飛び回ってましたが、それ以上にこれまでやってきていない音楽に挑戦する機会が多く、大変充実したシーズンとなりました。
特にピアノとの共演は今年のキーワードともいう出来事で、菊池智恵子さん、西尾杏子さん、安藤紀子さんという全く個性・スタイルの違う3人のピアニストと共演しましたが、こんなにピアニストと共演した事は今までありませんでした。
新しい事に取り組んでいると、伝統ということもまた新しい目で見ることが出来ます。そういう意味で今年のシーズンはとても有意義なものとなりました。「革新があるからこそ伝統もある」この秋はこんな事をしっかりと体感しました。
さて、12月も色々ありますよ。4日にはこちらも毎年恒例の、カフェグリーンテイルでのライブ。今回は笛の大浦典子さんとデュオです。そして、8日には近江楽堂での「創心会」、12日は中村仁樹君プレゼンツのハクジュホール演奏会、などなど色々と続きますので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
一息ついたものの、まだまだ私には休息は頂けないのです。
このところ異ジャンルの方とのセッションが続いています。先日は渋谷のPINKCOWにて色んなジャンルの人と演奏してきました。

私は尺八の岩田卓也君とデュオだったのですが、まわりには忍者やら、タップダンスやら書道・華道パーフォーマンスの方々がいっぱいいて、お客様も外人さんばかりという状況。邦楽器の人も色々といたのですが、皆邦楽はやっておらず、リズムやビートで聞かせる感じの方でした。
そして明日は上野の旧奏楽堂にて、AVANCEという作曲家達の新作の会があります。お馴染み郡司敦君の「春のはな」をピアノ 西尾杏子、尺八 田中黎山 と私のトリオでやってきます。

このAVANCEにはもう3回目の出演なのですが、東京芸大の作曲科 福士則夫先生の門下生による会なので、まわりはクラシックの方々ばかり。今までもソプラノとギターと琵琶という組み合わせで出ている会です。
更に究めつけは何と言っても、フラメンコピアノと琵琶の共演

フラメンコピアノというのも日本では珍しいですが、このブログでも時々紹介しているしているピアニスト安藤紀子さんを中心に、私とダンスの渡邊倫子さんが集まり、壇ノ浦をフラメンコピアノの伴奏で歌います。
私はフラメンコギターもかじっていたので、琵琶とフラメンコは結構似ている部分を感じていました。カンテ(フラメンコの唄)と琵琶の語りはかなり近いものがあるし、崩れとブレリアスの感じもなんか共通項があるように思います。右手の使い方なども似ていると思ってます。
ぜひお聞きの逃しなく!!
28日日曜日 渋谷公園通りクラシックス 18時開演です。
お問い合わせは
Office Orientaleyes mail: orientaleyes40@yahoo.co.jp
までよろしくお願いします。
コラボすれば良いというものではありませんが、どんな組み合わせがあっても、現代という時代を考えれば、さして驚きもしないのが本音です。
むしろ琵琶の特定の形にこだわるあまり、幅の狭いものになってしまうと、時代と社会に見向きもされなくなってしまいます。これまでの琵琶の歴史がそれを証明しています。
琵琶=武士道というのは、確かに魅力ある部分ですが、琵琶=軍国主義というのはいただけません。大正から昭和にかけてそんな時代が確かにありました。
語り物をやろうが、コラボをやろうが、「何を受け継ぐのか」という基本スタンスをしっかり持っていないと、ただお稽古したからといって「戦艦大和」やら「常陸丸」を訳もわからず舞台でやるようになってしまいます。またお稽古した得意曲とばかりに、訳もわからず流派の曲をライブで得意になってやっている人も多いです。
どんなジャンルとやっても弾き語りをやっても、自分が振り回されてしまってはいけないのです。
世界には魅力ある音楽が溢れています。新しい時代には新しい琵琶楽を!
20日、21日と西荻のギャラリー蒼にて「琵琶の音に触れる」と題したサロンコンサートをやってきました。ここでは昨年もシルクロードに向かう前日に演奏していて、今回は1年ぶりの演奏です。
初日は仏教を題材とした琵琶の弾き語りによる独演

photo OKUMURA mori
平家物語からは「祇園精舎」、「壇ノ浦」。弘法大師空海の精霊集による「慕仙詩」。道元禅師のことを唄った「沙門」という具合に、一貫して仏教系で攻めてみましたが、お客様の乗りも良く、いい感じで出来ました。
2日目は尺八の田中黎山君をゲストに迎え、現代の作品と平家物語の「敦盛」という布陣。

私の独奏で「風の宴」。デュオで「まろばし」「花の行方」。最後は30分にわたる弾き語りで「平敦盛~月下の笛」をやってきました。
今回も2日間両方とも来てくれた方、お着物でしっとり決めてきてくれた方など、皆さんこの機会を自分なりに楽しんでいる御様子。こういうサロンコンサートではお客様同士でも、友達になったりすることが多く、良いご縁と風ががいっぱいです。
琵琶は大きなホールも良いですが、こんな会こそ真価を発揮できます。またこんな場所では、ただ上手いというだけでなく、演者の会話や姿、所作全てを見られてしまうので、正に器を試される場でもあります。
私が演奏活動を始めた時に、とあるプロダクションの方が、少人数のサロンコンサートを毎月色々な所でやりなさい、とアドヴァイスをくれましたが、それが今になってとても豊かな実りをもたらしてくれています。

こういう会は情熱をもって企画してくれる人がいてこそ、成り立つというもの。今回もオーナーさんがチラシを自分で作り、当日配布のプログラムも作り、集客から、当日のお茶タイムに出すお菓子まで吟味に吟味を重ねて、一人一人をもてなす姿に、本当に感心しました。こういう会は本当に幸せを感じますね。
関わる人の想いが結集して、手作りで開く小さな演奏会。2日間で60名ほどのお客さんでしたが、とても素敵な時間を頂きました。
尚、このギャラリー蒼に併設する松庵舎では来年も1月から6月まで6回の琵琶講座を開催します。琵琶教室もここで始める事になりました。
ぜひ覗いてみてください。
ギャラリー蒼 http://homepage3.nifty.com/gallery-so/
松庵舎 http://shoan-sha.cocolog-nifty.com/