受け継ぐということ

今日は、私が講師をやっている某短大の期末試験でした。この学校は一昨年出来たばかりの若い学校で、この2月に初めての卒業生を出すのです。私は1年生の担当なので、今のクラスはまだ卒業では無いですが、昨年教えた人はもうまもなく卒業を迎えます。
私にとって、学校や教室で教えるという事はここ数年で始めたばかりなのですが、教える事は学ぶということでもあると感じることが多くなりました。
この学校はとにかく和気あいあいで、生徒達も毎年いい感じの子達が集まります。

先月の「まろばし」公演で大活躍した有明ガールズのお二人も今日が期末テスト。無事高得点で終了しました。

            有明ガールズ3

この学校は日本文化にかなり力を入れていて、講師陣も芸大に負けないくらいの豪華さです。教授に花柳寿南海先生、杵屋勝国先生。講師には善養寺惠介先生、福原徹先生など、古典曲から創作舞台までバリバリにやっているそうそうたるメンバーが揃っていて、生徒達も、三味線や尺八笛、筝など和楽器をどれかちゃんと習得するのが義務付けられているという素晴らしい学校です。
こういう学校に私が呼ばれるというのも、ありがたいこと。また学部長の茂手木潔子先生には色々な音楽の資料も見せていただいたり、アドバイスを頂いたり、本当に多方面でお世話になりっぱなしなのです。若い世代と接していると、この子達に何を伝えられたのかな?といつも思います。

私は琵琶という古典楽器を弾いているけれど、特定の流派や組織に属することなく、流派の曲ややり方は受け継いでいません。でも多くの先生、先輩から頂いた教えや、琵琶の持つその精神性はしっかりと受け止めて、今私の中に大きく大きく息づいています。

            永田錦心
上の写真は錦心流を作った永田錦心先生です。永田先生も錦琵琶の水藤・鶴田両先生も皆、土台となる古典スタイルはしっかり勉強したけれど、自分の形を作り上げ、オリジナルで勝負していった。永田先生は20代でスタイルを打ち出し、錦心流を作り、43才で亡くなっている。つまり若い内から勝負に出て、それを以後の琵琶樂のスタンダードにしてしまったのです。

宮城道雄、沢井忠夫などなど世に語り継がれている音楽家は皆、独自のスタイルを作り上げて、トップを切って最先端の邦楽をやり、それを認めさせてきた。
邦楽界では何流、何派ということがやたらと門題になって、音楽よりもそちらの方が大事とばかりに、むきになって、権威や有名な先生の名前に寄りかかって生きている人があまりに多いように思います。邦楽の歴史を作った先人達の志をもう一度想い出して欲しい、と思うのは私だけでしょうか。

先生を目標にしてはいけない。自分は自分なのです。目指すのは先生ではなく、先生が目指した世界であり、そこを自分のやり方で目指すのが精進でしょ!!

私の生徒達にはせめて自由な精神をぜひ受け継いで欲しいものです。

若者の未来に乾杯!!

再会の季節Ⅱ~静岡Burning

昨日、静岡市役所ロビーにてHotひといきコンサートをやってきました。
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琵琶だけだとちょっと渋いので、笛の大浦典子さんに助演を頼み、無事終了。

私は静岡で生まれ育ったのですが、昨日が静岡での初の演奏会だったのです。今までほとんど同級生などとも交流はなかったのですが、2年ほど前に中学の時の仲間から連絡があり、少しづつやり取りをはじめました。この日も同級生がいっぱい聞きに来てくれました。もちろん終わってからは大宴会です。

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先ずは静岡に行ったら、何はともあれ「静岡おでん」です。静岡おでんは基本的に駄菓子屋さんにあるものなので、いつもはそんなお店に行くのですが、今回はいわゆる屋台村のような「青葉おでん街」に直行。実は同級生がここで店をやっているのです。

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静岡に行った時にはぜひご贔屓に。

では、この日仕事をサボって集まってきてくれた仲間達をご紹介。

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こちらはブラスバンド部で一緒にTpを吹いていたつるちゃん。南の島が好きな、同級生達の元締め。皆に声をかけてくれました。

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昔と全然変わらず、今も笑顔が素敵なバスケ部のSさん。

7手前のおやっさん(?)は同じブラバンのチューバ吹き元ちゃん。お互い年取ったね。後ろは電気屋さんのヒトシ君。

この他にも何人も気持ちのいい連中が集まっていました。写真がちゃんと撮れてなった・・残念。

たまにはこうした昔の仲間と会うのも楽しいものです。想い出に浸って生きるのは好きでは無いですが、想い出のない人生もまたつまらないですね。

人間は帰る港のような所が必要なのかもしれません。どんなに全国、全世界を飛び回るような人でも、自分の生まれ育った土地や食べ物、想い出は、その人の人間としての根底となって何時までも残っている事でしょう。
今考えると、私は高校を卒業する18歳までの自分と、それからの自分をどこか区別していたような気がしています。そしてほんのちょっと肩の力が入りすぎていたかも・・・。彼らと呑んでいたら、そんな風に思えてきました。

これからは、ゆったりと昔の仲間とも良いお付き合いをして行きたいな、と思った一日でした。

静岡万歳!

再会の季節~友、遠方より来る2011

先日、台湾の琵琶奏者 劉 芛華さんが久しぶりに遊びに来てくれました。
劉さんはこのブログに時々登場する、二胡奏者 葉文宣さんの仲間で、以前二人して我が家に遊びに来てくれた事があります。以前会った時は二人とも化粧っ気もあまりなく、まあ明るい感じのお嬢さんという印象だったのですが、さすがお年頃なのか、葉さんも劉さんもすっかり綺麗なお姉さんに変身しなさって、まばゆいばかりでした。特に劉さんはファッションモデル並の背があるので、かなり格好いいんです。動画もあるようなので、youtubeを是非探してみてくださいな。



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劉さんは仏教に大変関心が高く、日本の伝統文化にもかなり深い造詣があります。今回も二人でやれ道元だ、空海だと仏教談義を延々としました。
台湾は中国と違って、昔のままの漢字を使っているので、筆談しながら充分に深く会話が出来るのがいいですね。彼女は日本語もそこそこできるし、日本酒も結構たしなむので、まあ話が止まらない。高野山の話や禅の話など、何処までもとどまる事を知らない感じで、結局最終電車の時間まで話し込みました。

台湾には大陸の文化が今でも色濃く残っています。中国がどんどん古いものを破壊して行くのに対し、台湾は精神性も物も文化も、貴重なものを沢山残しているようです。ただ、彼女曰く、仏教だけは日本が一番、ということでした。

こうして、海を越えて仲間が訪ねてくれるのは本当に嬉しいです。

そしてもう一つ。約10年ぶりくらいに、千葉の大網にあるstudio bというスペースで演奏してきました。山武杉の普及活動をしている、稗田忠弘さんという建築家の講演とカップリングで、以前もそこで演奏した「壇ノ浦」を演奏してきました。
  
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久しぶりに会う、studio bのオーナー石橋さんご夫妻や地元の方に囲まれて和やかな雰囲気で楽しかったです。

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演奏後は稗田さんと二人並んでトークをしました。何だか音楽も家作りも、地域作りも共通していて、あらためてこの日の会の趣旨に納得。

色々な出会いも、再会を果たす事で、より絆も深まります。多くのご縁に囲まれている人生って、いい感じです。
さて明日は、生まれ故郷静岡での演奏です。久しぶりに同級生達と盛り上がりますか!!

「邂逅」~まろばし3rdコンサート終了

昨日、川崎能楽堂にて「まろばし」の公演をやってきました。
今回は代表の香川一朝先生の復帰公演ということもあり、内容充実(ちょっとてんこ盛り)の舞台になりました。

              

                          
タイトルの「邂逅」の通り、今回は日舞の花柳・五條、尺八の都山・琴古という夫々二つの流派が出会い、競い合うという舞台を演出したわけですが、客観的に見ていて、とても興味深く面白いものとなりました。その中でも今回の花形はやはり花柳面萌さんでしたね。とても凛として美しい静御前を踊ってくれました。媚を売らないきりりとした姿は煌いてました。

photo MIYAMORI Yosuke
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この邦楽アンサンブル「まろばし」は、私が作編曲を全部担当しているので、琵琶の曲は1,2曲しかないのですが、尺八デュオの「二つの月」など結構自由に曲つくりをさせてもらっていて、作曲家として、琵琶では出来ないことも表現できる場となっています。

   

ちょっと私のお写真も・・・。

photo MIYAMORI Yosuke

そしてこういうコンサートには支えてくれるスタッフがいてこそ成り立つというもの。今回も本当に助けられました。

有明ガールズ1こちらは私が有明教育芸術短大で教えている生徒、有明ガールズのナツミ&ヒカリ。能楽堂の幕上げをずっとやってくれました。演者が出入りするタイミングを見計らっての幕上げは結構気を使うものですが、がんばりましたね!!

スタッフ1こちらは舞台で楽器のセッティングなどをしてくれた小笠原社中の面々。真ん中のH木さんは十七絃の演奏者としても助演くださいまして、大活躍してくれました。

演奏会が終わると色々と反省点など、いっぱい見えてくるのですが、それがまた次なるステップの糧と成って行きます。
私は普段は一人かデュオで演奏会をやることが多く、こうしてアンサンブルのグループでやるのは年に一度この「まろばし」だけです。ああだこうだ言いながら皆で作り上げてゆく作業は楽しいし、そこから学ぶものは沢山ありますね。

いい舞台をいっぱい作ってゆきたいです。それにはいい仲間が必要なのです。

梅花の季節~まろばし3rdコンサート於:川崎能楽堂

もう梅の花があちこちで咲いていますね。
私は梅花が何といっても好きなので、この時期は寒い中、ぶらぶらと良く歩き回ります。
まだ春も遠い冬の時期にふっと見る人の心を和ませ、春の予感を抱かせてくれる梅花は、私の理想とする姿でもあり、そんな可憐でつつましい梅花のような音楽や人が大好きです。私自身は梅花の様にはとても成れないので、あこがれるんでしょうね。

         紅梅fhoto MORI Osamu

1月は例年ですとあまり忙しくないので、ゆっくりと梅花を辿ってうろうろしているのですが、今年は私が作編曲をやっている「まろばし」というアンサンブルグループの公演が明後日に控えていますので、何かとバタバタしていて、例年のようなのんびり感がありません。

           2011marobashi

今回のテーマは「邂逅」。尺八の琴古流と都山流。日舞の花柳流と五条流という同じジャンルでありながら、スタイルの違うものを組み合わせてプログラムを作りました。

開演   13時00分

第一部  「祇園精舎」  編曲 塩高
          十七絃・尺八(琴古)・尺八(都山)・唄

      「六段」     
          筝・尺八(琴古)・日舞(五條)
     
      「二つの月」  作曲 塩高  
          尺八(琴古)・尺八(都山)

      「沙門」     作詞・曲 塩高  
          琵琶弾き語り

第二部  「静~緋色の舞」 作詞・曲 塩高
          筝・十七絃・尺八(都山)・唄・日舞(花柳)

      「まろばし」   作曲 塩高  
          琵琶・尺八(都山)

      「春の宴」    作詞・曲 塩高
          筝・尺八(琴古)・尺八(都山)・唄

こんなラインナップです。古典の「六段」を除き、全て私の作品です。ぜひぜひお越しくださいませ。ほんの数枚ですが、チケットがまだ残ってます。

そして今月は美術系の友人たちもこぞって展示会をやっているので、今日はまとめて回ってきました。             

先ずは、私の謡曲の師でもある、能面作家の羽生光善先生と、堀本惠美子さんの親子二人展。新宿小田急のアートサロンでやっています。羽生先生は御年93歳。もちろん現役で作品を作っています。
琵琶の最初の師匠 故高田栄水先生も習いに行った時、90歳でした。もちろんお元気で舞台もずいぶんとこなしていて、地方公演等もやっていました。昨年亡くなった故寶山左衛門先生といい、私はこういう大先輩とどうも縁があるようです。
娘でもある堀本さんの作品も、深い精神性を湛えていて、深遠な世界に惹き込まれます。ぜひ見に行って下さい。

次は人形作家の牛窪奈央さん。今回は企画展の中での出品でしたので、人形が数点と絵画作品が数点だけでしたが、3年ぶり位で伺った彼女は、美術系の学校での数年間の勉強を経て、大変充実していました。今年は個展やグループ展などガンガンやるそうです。
牛窪奈央ブログ http://nao8.exblog.jp/

最後は朝比奈賢さん。門前仲町に新しく出来たギャラリー無有斎での開廊記念展での出品ですが、日々世界が広がっているようで、クオリティーの高い作品を出していました。

さて梅花に元気をもらって今年もがんばります。明日は千葉の大網で演奏会です。

            紅梅3fhoto MORI Osamu
  

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