響きあう季節Ⅱ~第4回まろばし公演「かけはし」終了

第4回まろばし公演「かけはし」が今年も終わりました。今回は昨年亡くなった代表 香川一朝の追善公演という形でやらせて頂きました。


私は何でも自分でやってきたせいか、全部一人で抱え込んでしまうところがあるのですが、仲間達がいれば、みんなで作り上げることが出来る。よく見渡せば、私の周りにはいっぱい仲間が居る。最近は特にそう思います。こういう特殊な活動をしていると、色々なことが起きるのですが、何かが起きる時には必ず仲間があってこそ、そこから化学反応のように何かが起き、また何か問題が発生した時にも仲間みんなで支え合う。
一匹オオカミのようにずっとやってきたつもりでしたが、実は多くの仲間に支えられてきたのです。私はこの年になって、やっとそういう所が判ってきました。   
              
         集合5

どんな分野でも何かしら活動をしていれば、反対勢力も出てきます。合わない人ももちろん居ます。時に戦うこともあるかも知れない。でもそんな相手とも何かをきっかけに打ち解けることもあります。反発や争いをしているうちは大したことは起こらない。つながってこそ次のヴィジョンが見えてくる。先ずは自分自身を解放していかないといけないですね。

さあ、次の作品に取りかかろう!!

雪景色の記憶

      

 雪景色1

この所東京はずいぶんと寒くなり、先日は真っ白に雪化粧されました。静岡育ちの私はこういう情景を子供の頃見たことがなかったので、18才の時東京に来て、初めて雪が降るという状態を目の当たりにして、びっくりするやら、ワクワクするやら、何とも気分が高揚してきたのを思い出します。
       
2012marobashi昨年代表の香川一朝さんが亡くなり、メンバー皆がっくりと来ていましたが、今回からはベテランの尺八奏者 中村伶華さんも加わってくれて、香川代表の追善公演という形で演奏します。ぜひお越し下さい。

私にとって琵琶を弾いて行くことは、演奏と作曲の両輪があってはじめて成り立つもの。良くも悪くもここが他の琵琶奏者と私の全く違う所。大体何でもカスタム化してしまう性格なので・・・。
余談ですが、薩摩琵琶には雅楽や平曲のように古典というものがほとんどありません。数年前、錦心流が流派設立100年を迎え、古典という名前にふさわしい節目を迎えた位ですので、昭和になって出来上がった五絃タイプの錦琵琶は、完全な現代琵琶なのです。私の使っている錦琵琶はその最先端モデル。という訳ではないですが、まろばしでは、常に新作を演奏します。古典を土台として最先端を作って行く。それが私の琵琶楽です。


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至福の時

年明けから早、半月が過ぎてしまいました。時というものはいつの時代も変わらず、人間の都合など全く関係なく過ぎ去ってゆきますね。
今朝は雪もちらついて、こんな日は何ともいえず詩情と無常観がこみ上げてきます。日々色々なことに喜び、色々なことに振り回されながら、容赦無い時の流れの中に生きるしかないのが我々人間というもの。せめてその無常の時間の流れの中にあって、苦痛よりも快楽を、憎しみよりも喜びを、しかめっ面よりは笑い顔を、なるべく沢山感じて生きていたいものです。

2012-1-18-3先日は定例の琵琶樂人倶楽部がありました。毎年1月は私の琵琶を作ってくれている、石田克佳さんを演奏家として迎え、正派、錦心、錦の三種の琵琶楽を聞き比べてもらう事にしています。
この日の演目は 吉野落初段(石田)、舟弁慶(古澤)、観音華(塩高)という内容。
もう5年年目に入り、常連のお客様も増えてきましたが、この日は年明けにふさわしく、常連さんに加え、新規のお客様もいっぱい来てくれて、久しぶりに賑やかな感じになりました。琵琶は現代においては地味な音楽なので、派手な活動は出来ませんが、じっくりと聞いて、感じてもらうような演奏会を今年も企画して行きたいと思います。

琵琶樂人倶楽部の前、16日には山種美術館ロビーでの演奏でした。今回は雑誌 家庭画報の企画によるもので、読者応募の中から抽選で40名ほどの方を招いて、美術館の所蔵作品の鑑賞と、立礼によるお茶手前、そして雅楽の演奏を楽しんで頂くという企画で、私は笛の大浦さんと共に直垂の楽人装束で、楽琵琶と平家琵琶を演奏しました。(写真は京都での演奏時のもの

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こうして日々演奏をしているのですが、私にとって至福の時とは、やはり音楽に接している時なのだと、最近よく思います。それも舞台で演奏している時が一番。鴨長明のように一人草庵で弾くのではなく、舞台で、聴衆に向けて琵琶を奏でているのが良いですね。私の音楽は現代で言うところのエンタテイメントではありませんが、どんな音楽でも、人間が作り、人間が感じ、色々な人と音楽と時を共有することが大前提。私はやはり舞台で演奏していたいです。
そして仲間と一緒に過ごす時間も正に至福。琵琶樂人倶楽部の後、出演の3人と筑前琵琶のMさん、デザイナーのNさんも交え、じっくり深夜まで飲み明かしました。こんな時間もいいですね。

 2012-22012年1月圓光寺

人間社会にはストレスもいっぱいですが、至福の時間もたっぷりあります。私はそれこそ鴨長命のように、山奥で自給自足の生活するのが究極の願望なのですが、社会の中で生きている以上、その社会の中の至福の時間をもうちょっと増やしたいと思うのです。そしてそれを分かち合う仲間が増えると嬉しいですね。


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音の品格

先日、神楽坂のアートサロン香音里で、郡愛子さんの歌を聴いてきました。郡さんは普段大きなステージが中心で、サロンコンサートのように近い所で実際の歌声を肌で感じる機会が滅多に無いので、楽しみにしていました。

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今回は前半がシューマンの「女の愛と生涯」を日本語訳で。第二部はいつものヴァラエティーに富んだ選曲。お得意の?「北の宿から」もじっくり生声で聞いてきました。

聞いていて「品格」というものを感じました。もう何年も前に、東北在住の先輩から「音の品格」という言葉を聞いて以来、何かに付けずっと気にかかっていました。それまでは品格ということに関してほとんど気にしていませんでしたが、先輩の言葉を聞いてから、色々な場面で品格ということが気にかかります。

私が思うに、品格を感じる人は先ず余裕がある。そして真摯である。多くの人と自然体で話が出来て、とても気さくである。そしてもちろん素晴らしい仕事をしている。そんな方に私は品格を感じます。自分の考えがいつも中心で、それに囚われている人、気さくな風を装いながら神経質な人、上品を装っている人にはやはり品格は感じません。


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平家琵琶 Debut??

昨日、すみだトリフォニーホールにて、私の平家琵琶Debut??出演でした。最初は雅楽衣装の直垂で演奏するという話もありましたが、結局、宗匠頭巾と数珠を作ってもらい、このような姿に。

こちらが直垂miru5
        こちらが本番の姿
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平家琵琶(平曲)は同じ琵琶といっても、薩摩とも雅楽とも全然違う音楽でして、まあたとえるならば、ジャズギタリストがいきなりバッハやモーツァルトを舞台でやるようなものなのです。そして盲目の琵琶法師ですので、譜面をみるわけにもいかず、10分ほどの演奏でしたが、暗譜でやらざるを得ませんので、これは近年になくちょっと緊張ものでした。

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今回は葛飾北斎の北斎漫画の中に出てくる芸人や音楽家の姿をそのまま舞台で再現してみようという企画で、私が非常勤講師をしている有明教育芸術短期大学の茂手木潔子先生の企画でした。出演者は皆同じ短大の講師仲間で、いずれもその世界のトップを走る方々でしたので、ここで失敗する訳にはいかん!?という気合いで何とか乗り切ってきました。

ちょうど昨年の震災の日に琵琶研究者のK先生のお宅で平家勉強会をやっていて、その時はなんだか節回しが複雑で訳わからなかった位ですので、実はまだ平家琵琶をやり出して1年も経っていないのですが、こういう機会を頂いたことで、良い勉強になりました。

平家琵琶は鎌倉時代に出来上がり、そこから能(謡曲)など、いわゆる「邦楽」が生まれたので、正に日本音楽の祖。楽器は楽琵琶を小さくしたものを使っているのですが、実は平安時代に既に小さな楽琵琶は作られていて、平家の語り手達はその小さな楽琵琶を手に平家物語を語り出したのです。また平安時代には日本各地の民謡が雅楽アレンジで演奏されたり、今様などの日本オリジナルの雅楽(歌曲)も流行っていました。楽器も前述の小型琵琶のように日本オリジナルの形が出来ていたので、そういった素地が中世に入り、平家物語の成立と共に、日本初のオリジナル音楽=平家琵琶を生んでいったのです。
残念ながら、現代の琵琶奏者達は平家琵琶や楽琵琶を勉強する方はほとんど居なくなってしまいましたが、ぜひ明治以降に成立した薩摩や筑前の近代琵琶楽のルーツとなった楽琵琶や平家琵琶も勉強してもらいたいですね。

雁山2heikebiwa1
左は田村晧司作「雁山」、右は熊澤滋夫作の我が愛器「無冠」

今井検校今回私が参考にしたのが名古屋の今井検校(左画像)のCDで、それをK先生が採譜した譜面をいつも持ち歩いて勉強しました。
CDを通して少しづつ勉強して行きたいと思ってます。もちろん今井検校には会ったこともないですが・・・・。

私は私の音楽をやっているし、今後も同じです。でも琵琶というものと関わった以上、琵琶が辿り、背負ってきた歴史を無視するわけにはいかない。だから琵琶の歴史はしっかりと認識し、勉強すべきものは勉強する。その上で、それらを自分の中で昇華して自分の音楽を作り上げる。だから私は古典の継承者というのにはちょっと向かないですね。でもこれが私のやり方です。

平家琵琶は取っつきにくいですが、こちらが踏み込んで行くと、なかなか面白いですよ。音楽だけでなく、歴史や宗教的な面でも魅力いっぱいです。皆さんもぜひ!!

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