鳴門嬉響

徳島鳴門の東林院にて演奏会をやってきました。私のいとこの同級生で、和紙等自然素材を使った現代アートの作家 楡木令子さんから一昨年声がかかり、長い時間を経て実現した演奏会でした。

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3四国は一度ほんのちょっと観光しただけで、演奏会はまだやったことが無かったので、今回はワクワクとしながらの徳島入りでした。前の日に大阪に一泊して、大阪では定番となった「焼酎バー純」で語り部の竹崎利信さんと飲み明かし、日が空けてからバスにて徳島に向かいましたが、乗り物好きな私としては、バスで瀬戸内海を渡るのも気持ちよかったです。

今回はREFLECTIONSでコンビを組む大浦典子さんと久しぶりに「邦楽」で演奏してきました。四国は平家ゆかりの地でもありますので、定番の祇園精舎、敦盛などをやりましたが、やはり一番人気は「まろばし」でしたね。大浦さんのソロもいつもながら素晴らしく、皆さん感激していました。やはりサウンドの方が入り易いのでしょうね。演奏の次の日には、スタッフの方々と楡木さんのアトリエ(古い酒蔵跡)に伺いました。

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楡木さんと大浦さん。アトリエ前にて

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変わった楽器を持っているのは、昨年NHKのオヤジバンドコンテストで優勝した青木さん。大和琴といわれる創作楽器で大浦さんとセッション中。私もこの琴を弾かせてもらって3人で楽しんできました。

東林院の副住職 加藤一真さんは、文化活動を通して、7
葬式仏教では無い、本来の仏教の教えを様々な形で伝えていこうという志を持って、色々な活動をしている方です。
今回は、そんな一真さんを慕う若者達がこぞってスタッフをやってくれて、素敵な交流が出来ました。スタッフの中には得度した人も2人ほどいて、一真さんの活動が徐々に実りあるものとなっているようです。

こういうお寺での演奏会はとにかくすがすがしく気持ちが良い。そして不思議と縁は繋がって行きます。共通の知り合いが居たり、思ってもないつながりを発見したりして、自分が何かに包まれたように楽しくて豊かな気持ちになって行くのです。
現代はいつもスマホいじってネットやメールしているような人が普通だと思われている時代。そんな情報やものに人間が振り回されている現代に、地域のコミュニティーの人達がお寺に集い、素敵な音楽を聴き、交流して元気になって行くなんて素晴らしいじゃないですか。本来お寺はそういう所だったはず。一真さんにはこれからもどんどんがんばって欲しいです。及ばずながら応援しますよ!!

四国での初演奏会は、素敵な縁に包まれた想い出となりました。


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友、遠方より来たる2012

今年も台湾から、二胡奏者の葉文宣さんと、琵琶奏者の 劉芛華さんが遊びに来てくれました。二人揃って来るのは久しぶり。楽しい時間を過ごしました。

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二人共ここ何年かで凄い活躍するようになって、葉さんは台湾国家国楽団で活躍。楽団のソリストとしてもDVDやCDを出し、音大でも教えている。一方、劉さんも演奏で忙しく飛び回り、CDやDVDもこれから出るという、正に第一線で活躍しだしている逸材です。
また二人とも日本文化が大好きで、日本に来たら毎回歌舞伎、能などたっぷり堪能して行きます。今回は「中村勘九郎襲名披露公演」に行くそうです。狂言や文楽は日本語が判らないとのことでしたが、歌舞伎と能は見ているだけで面白いようです。言葉を主体とした芸能はやはり日本人にしか判らないのですね。

ジャケット画像JPG来日前に二人から先日メールが来て、昨年出した私の「風の軌跡」の中の作品「sirocco」をぜひ演奏会でやりたいといことなので、今回は譜面を用意しておきました。我が家に着いて日本茶を飲みながら、先ず譜面を見せて曲のレクチャー。さすが第一線の音楽家だけあって、楽器がなくても譜面を見るだけで音も判るし、構成やリズムなどディスカッションが出来る。プロとしてしっかりとしたレベルを持っています。日本語と英語と中国語のちゃんぽんで話すのですが、五線譜はどこの国に行っても共通言語としてしっかり通用するのが良いですね。日本の邦楽家もスコアを見て打ち合わせが出来るくらいのレベルはぜひとも勉強して欲しいですね。

2012-2-2-2お仕事も終わって、早速居酒屋に。二人は日本酒焼酎泡盛何でも来い!ですので、もつ鍋を囲みながら、歌舞伎やら道元やら空海やら尽きる事のない話を夜中までしてきました。

メモ用紙とペンで、時に筆談をしながら話すのですが、京都なんかにもずいぶん行っているし、漢字で書くと大概の事は伝わります。アジアって良いなと思いますね。
そんな彼女たちも中国、特に北京は10年前とまるで変わってしまったと言っていました。もはや中国人には漢字も通じなくなってきているし、太古の昔大陸から発していた汎アジア文化をずっと保っているのは日本と台湾だけかも知れませんね。

さて、明日から四国徳島へ行ってきます。お寺での演奏会ですが、徳島は初めてですので気合いが入ります。もちろん演奏以外にもたっぷり楽しんできますよ!!

卒業

昨日、私がギターの非常勤講師をしている有明教育芸術短期大学の期末試験があり、3年間の任期を終えました。

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こちら先日の川崎能楽堂でもがんばってくれた第二期有明ガールズ&ボーイの面々。もちろん高得点でパスしました。

この乱れたる世にあって、3年間よくぞこんなに良い生徒達が集まってくれたと思います。奇跡的な感じがしてなりません。私が良い先生であったかどうかはかなり疑わしいですが、とにかく生徒達は皆、純粋で、感性豊かで、個性的で、素敵な若者達でした。今年芸大を受験する人、大きな劇団に入る人、照明の会社に就職した人等々、それぞれの道に進んで嬉しい限りです。この純粋さをいつまでも持っていてもらいたいですね。

この短大は講師教授陣がとにかく凄くて、芸大に負けない位の人達が揃っています。そんな講師達との交流も良い勉強になったし、学部長の茂手木潔子先生からは多くのアドヴァイスを頂き、平曲の資料なども見せてもらって、大変充実した3年間を送ることが出来ました。良い機会を時間を頂き感謝しています。
短大では、来期の生徒も気合いを入れて募集しているようです。次世代の邦楽を志す若人はぜひ!!
http://www.ariake.ac.jp/ 有明教育芸術短期大学HP

椿1御苑2012
京都御苑の椿と梅2012  photo MORI Osamu

私は何といっても舞台に立つ方が好きなので、琵琶教室の看板も上げていないし、生徒もほとんど取っていません。
ギタリスト時代の自分自身がそうだったのですが、ちょっと弾けるようになって小遣い稼げるになると、表面は謙虚なふりをしていても、どうしても自己顕示欲と高慢な心を押さえきれない。そういう以前の自分と同じ姿を後輩達に見いだしてしまう事が多く、結果的に教える事から遠ざかっていってしまいます。

ぜひ短大の生徒達には、あの純粋さをいつまでも心に持っていて欲しいですね。

これからまた自分の中で新しい時代が始まる。昨日は私も一つの卒業を迎えたような気持ちになりました。

響きあう季節Ⅱ~第4回まろばし公演「かけはし」終了

第4回まろばし公演「かけはし」が今年も終わりました。今回は昨年亡くなった代表 香川一朝の追善公演という形でやらせて頂きました。


私は何でも自分でやってきたせいか、全部一人で抱え込んでしまうところがあるのですが、仲間達がいれば、みんなで作り上げることが出来る。よく見渡せば、私の周りにはいっぱい仲間が居る。最近は特にそう思います。こういう特殊な活動をしていると、色々なことが起きるのですが、何かが起きる時には必ず仲間があってこそ、そこから化学反応のように何かが起き、また何か問題が発生した時にも仲間みんなで支え合う。
一匹オオカミのようにずっとやってきたつもりでしたが、実は多くの仲間に支えられてきたのです。私はこの年になって、やっとそういう所が判ってきました。   
              
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どんな分野でも何かしら活動をしていれば、反対勢力も出てきます。合わない人ももちろん居ます。時に戦うこともあるかも知れない。でもそんな相手とも何かをきっかけに打ち解けることもあります。反発や争いをしているうちは大したことは起こらない。つながってこそ次のヴィジョンが見えてくる。先ずは自分自身を解放していかないといけないですね。

さあ、次の作品に取りかかろう!!

雪景色の記憶

      

 雪景色1

この所東京はずいぶんと寒くなり、先日は真っ白に雪化粧されました。静岡育ちの私はこういう情景を子供の頃見たことがなかったので、18才の時東京に来て、初めて雪が降るという状態を目の当たりにして、びっくりするやら、ワクワクするやら、何とも気分が高揚してきたのを思い出します。
       
2012marobashi昨年代表の香川一朝さんが亡くなり、メンバー皆がっくりと来ていましたが、今回からはベテランの尺八奏者 中村伶華さんも加わってくれて、香川代表の追善公演という形で演奏します。ぜひお越し下さい。

私にとって琵琶を弾いて行くことは、演奏と作曲の両輪があってはじめて成り立つもの。良くも悪くもここが他の琵琶奏者と私の全く違う所。大体何でもカスタム化してしまう性格なので・・・。
余談ですが、薩摩琵琶には雅楽や平曲のように古典というものがほとんどありません。数年前、錦心流が流派設立100年を迎え、古典という名前にふさわしい節目を迎えた位ですので、昭和になって出来上がった五絃タイプの錦琵琶は、完全な現代琵琶なのです。私の使っている錦琵琶はその最先端モデル。という訳ではないですが、まろばしでは、常に新作を演奏します。古典を土台として最先端を作って行く。それが私の琵琶楽です。


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