前回の記事で、今月の琵琶樂人倶楽部で演奏した後、「春陽」を聴いたお客様から「アンビエントミュージックみたいでもありますね」というご感想を頂きました。前にも同じようなご感想を頂いたことがあるのですが、私はプログレが好きだったので、そのつながりでブライアン・イーノなんかもよく聞いていて、アンビエント音楽にも結構興味があります。アルボ・ぺルトなんかも聞いていると瞑想に誘うようで、ある種同じ感覚で聴いてましたね。一口にアンビエントと言っても色々あって、シンセで作った安易なBGMのようなものも少なくないし、アンビエントの定義も定まっていないですが、音楽の先の世界へリスナーを導くという点では同じですし、私の作ろうとしている音楽と同じなのです。

実は来月10日には「MIMINOIMI – Ambient / Week – 2025」というイベントがあり、私は尺八の藤田晄聖君と出演します。秦琴の深草アキさんやPerの高田みどりさんなども出演するイベントで、何だか面白くなりそうなんです。詳細は改めてUPします。
そのプレイベントとして今月17(木)に以下のような配信イベントをやります。
開演は19時00分。当日は会場で聴く事も出来ます。(入場料:2000円)
場所は 渋谷パルコ9F 「SUPER DOMMUNE 」
視聴リンク:https://www.dommune.com/
Youtubeでもご覧になれます。http://www.youtube.com/user/dommune
こちらでは音楽学の茂手木潔子先生のレクチャーと、私と晄聖君のミニライブ、更にDJが聞く現代音楽というテーマでDJのChee Shimizuさんと井上馨さんのトーク&ライブもあります。 茂手木先生とはもう15年程前に有明教育芸術短期大学で非常勤をやっていた頃からのお付き合いですが、今回は先生とのトークコーナーもありますので、こちらもとても楽しみなのです。
プログラムは

音楽は人の心を直接揺さぶるものとして古代から考えられていて、かの孔子も「国を変えるなら樂を変えよ」という位にパワーのあるものでした。現代ではショウビジネスで消費される商品のようになって来ていますが、現代人にも単に楽しむだけでなく、音楽本来の豊かな世界をもう一度感じて欲しいですね。
常に社会と共に在る音楽は、社会の成熟と共に音楽家という職業も誕生し、組織が作られ、そこに権威も纏って行きます。だからこそブルースやロックのような権威に対するものも出て来ます。音楽自体にも理論や形式などが出来上がり、自然発生的に出来上がった民族音楽とは離れ、アカデミックなものや大衆のエンタテイメントへと形作られて行きます。しかし音楽の本来持っていたものと離れすぎると、当然の如くエネルギーが削がれ、魅力を失い、人々からも離れて行くのは歴史が証明しています。
クラシックでもジャズでもある形式を持った音楽は安定感があるし、聴いている方としても楽しみ方や評価の基準が出来ている方が心地良いものです。しかしその創り出された形式や理論はどうしても形骸化してしまいます。権力者の保護する音楽であれば、その権力が続いている内は存続するでしょうが、そうでないものは、世の移り変わりと共にどんどんとその姿を変えて行きます。これは我々の生活が移り変わって行くのと同じ事です。

人間の根源的な意識や感性にアプローチするのが芸術の本質だとすれば、形を変え、または壊して新たなものを創り出し、時代に合った形で、その根源へと向かう事は芸術の宿命であり使命ではないでしょうか。私はいつもそんな風に考えています。
また新たな展開をして行きたいですね。