今年もお世話になりました2022

もう一年が過ぎました。先日の「銀河鉄道の夜」の公演も無事終わり、年内の演奏は終わりました。毎年時の流れは速いと年々感じながらも、ここ数年の速さは凄まじいものを感じますね。今年も色んな事をやりましたが、不思議な事に、だんだんと時間軸が飛び越して行くようで、何十年も前の事がつい最近のようにも思えて来ます。

今年は前半が色々と考えをめぐらす時期で、春過ぎから動き出した形になりました。夏前には11枚目となるアルバムもリリースしましたし、震災関連のイベントで作曲した「Voices」という今後のレパートリーになって行くであろう私らしい作品も出来上がりました。

初演時のポスター
「Voices」は、初演時がメゾソプラノ・能管・琵琶でしたが、再演時にはパートナーを能管からフルートに替え、10月には横浜の7 arts cafeにて再演され、来年2月には尺八に替えて再々演します。どんどんと曲が育って行く感じですが、レパートリーになって行く曲というのは、どれも同様に曲が育って行くような感じがありますね。ヴァイオリンなんかも良いかもしれません。
こうした作品が生まれてくるのは本当に音楽家として嬉しいのです。舞台に立つのは勿論ですが、作品を残してナンボだと私は思っているので、この曲は、「まろばし」や「二つの月」「風の宴」に続く私の代表作が生まれたという実感が湧いて来ています。来年中にはレコーディングもしたいですな。今後、もう2曲程自分の代表作となる作品を創りたいと思っていますが、それが来年の私の使命ですね。


「みつめあう音 ひびきあう絵」公演のポスターの絵を描いた画家 山内若菜さんによるスケッチ

また今年も、津村禮次郎先生、安田登先生、そして朗読の櫛部妙有さんなどベテラン勢との共演を沢山させていただき、大いに勉強になりました。そして何とも嬉しかったのは、故郷の静岡で自分の演奏会を開く事が出来た事ですね。今迄静岡ではほとんど演奏会をやって来なくて、市役所のイベントや企画ものを少しやった位でした。主催してくれた静大の小二田先生には本当に感謝しています。故郷で、自分の作品による舞台を張れるのは本当に嬉しい体験でした。

こういう演奏会をもっと全国で展開して行きたいですね。上記の公演はいずれもお寺でのものでしたが、お寺は天井が高く、琵琶にはちょうど良い空間で、とても気持ち良く演奏させて頂きました。都内の小さなサロンも勿論好きなんですが、やはりお寺での演奏は演目に関しても琵琶にはぴったりですね。ホールでも小さな所だとしっくり来ます。11月に朗読の櫛部妙有さんと共演した演奏した武蔵ホールなんかは、毎年やっているのですがこじんまりしていて、とても生音の響きが良く、毎回楽しみにしている小ホールです。地方には小さくて素敵なホールがいっぱいありますね。場所の持つ力はやればやるほどに感じてゆきます。そしてやはり関わる人の力もとても大きいと毎度毎度感じます。

左:如水会 津村禮次郎先生、坂本雅幸さんと 右:琵琶樂人倶楽部 安田登先生と

年を重ねるごとに自分の思う形での演奏が出来て行くというのは嬉しいものです。以前記事に書いたジャズギタリスト パット・マルティーノの「自分が自分で在ることを幸せに思う。それに勝る成功はない」という言葉を常に感じますね。

活躍するのは良い事ですが、自分の音楽が二の次になって技の切り売りをしていては本末転倒。忙しくしていても、そこに私は充実感を感じません。流派で習った曲を上手に弾いて、琵琶を弾いて生きているだけで幸せという方も居るだろうし、売ることを目的として芸人さんのようにタレント活動をしたい人も居るでしょう。どれも個人が自由に選択すればよいと思います。しかしアーティストはあくまで創る人です。作家でも画家でも、オリジナルな
作品を創って初めて成り立つもの。私も自分の創ったものを聴いてもらう事が一番の幸せです。

photo 新藤義久


今年もこうして思う活動をやらせてもらい、生かされてきたという実感を持つことが出来ました。この激動の時代、どうなって行くか私には判りませんが、思う事をやれることにただただ感謝しかありません。
来年は年明けに沖縄、8月にはヨーロッパツアー、他大きな舞台も予定されています。来年も良い形で活動を展開して行きたいものです。

今年もお世話になりました。

© 2025 Shiotaka Kazuyuki Official site – Office Orientaleyes – All Rights Reserved.