この所、朝の陽射しが素晴らしいですね。私は割と早起きなんですが、近頃は毎朝とても清々しい気分で目覚める事が出来て嬉しいです。
9月半ば辺りから毎週続いた地方公演も一段落ついて、今はしばしお休みをしていますが、ここへきて来年の活動が色々と決まってきました。

毎月の琵琶樂人倶楽部は来年も一年間のスケジュールが決まり、楽琵会も年4回が決まりました。更に横浜の7artscafeというスペースでも年4回のシリーズが決まりました。この7artscafeはJCPMという団体を主宰するジョセフ・アマトさんが立ち上げたもので、様々なジャンルのアートの発信基地として毎月イベントを開催しています。
7artscafe
これで私が企画する年間のシリーズライブは、3シリーズ20本となりました。いずれも毎回ゲストを迎え、琵琶樂の様々な形を聴いて頂くのが趣旨ですので、場に合わせ色んな音楽家に声をかけています。それに伴って曲もどんどん創って行かないといけないので、只今頭の中で色んなアイデアが渦巻いて、ざわざわしているという訳です。
阿佐ヶ谷の琵琶樂人倶楽部。年に12回
日本橋の楽琵会。年に4回
7artscafe。年に4回
という3つのヴァリエーションで展開して行きます。
琵琶は地味な音楽ですし、私自身派手なものはあまり好きではないので、大きなホールなどでの開催はなかなか出来ないのですが、上記のような数十人規模のサロンコンサートだったら何とかなります。コロナの影響も少なくなったので、自分の出来るところをどんどんと攻めて行こうと思っています。
器楽としての琵琶樂を標榜している私としましては、これまでにない琵琶の魅力を提示して、琵琶の持っているポテンシャルの高さをどんどん発表して行こうと思っています。

2019年の楽琵会にて、Vnの田澤明子先生、笙のジョウシュウ・ジポーリン君と
今考えている作品は色々とあるのですが、今迄あまり組んでいなかった楽器との組み合わせを考えています。笙なんか面白そうです。他には、この所少しづつ取り組んでいる、声と絃を分けた古典の語り物を形にして行きたいです。三味線音楽が声と絃に分かれ、声は声専門の人、絃は絃専門の人になって音楽として深まって行った様に、琵琶も声を極める人と、絃を極める人それぞれに発展して行ったら良いなと、琵琶を手にした頃からずっと思っていましたが、最近その想いをさらに深めています。これは洋の東西を問わず、どんなジャンルでも言えますね。
熊本公演の新聞記事
この所のツアーでは、能楽師の安田登先生、浪曲師の玉川奈々福さんと共に回ったのですが、二人とも声がとにかく素晴らしい。京都の公演では第二部が金剛流の半能「忠度」で、若宗家の謡も聴きましたが、それはそれは惚れ惚れするような素晴らしい声でした。こういう方々と御一緒していると、琵琶歌の貧弱さがどうしても気になってしまうのです。色んなやり方やスタイルがあって良いと思いますが、100年程しか歴史がない薩摩筑前の近代琵琶樂が、大正や昭和初期の頃の曲に未だ留まっているのでは、お話になりません。近世近代の邦楽の各ジャンルは今でもどんどんと新作を創っています。琵琶樂がこれから歴史を紡いで行くにも、旺盛なる創造力を持って、リスナーにしっかりと届く声で、魅力的な曲を創って行って欲しいものです。
そして琵琶の器楽の面の発展も大きな課題と考えています。せっかく魅力的な音色を持ち、打楽器的要素も含めかなり表現力の高い琵琶が、この現状では何とも切ない。だから私は琵琶を手にした最初から自分で曲を作り、活動も独自に展開して行く事にしたのです。
今、浪曲や講談では、若手がどんどんと新たなスタイルを打ち出して大変な人気を獲得しています。薩摩筑前の琵琶も、がんばって欲しいですね。

静大の小二田誠二先生、能楽師の安田登先生、俳優の佐藤蕗子さんと。後ろには何故かコルトレーン
という訳で、来年に向けて何とも頭の中がざわついて、あれやこれや考えているこの頃ですが、これが私のスタンダードな状態です。だから今、ざわざわあたふたしているという事は、とても幸せな時間の中に居るということなのかもしれません。来年も幸せの中に居たいものです。