世はまだ混沌としていますね。過剰な消毒やマスク強制等、もう止めようにも止められない所まで来ているようにも思いますが、ここをいつ乗り越えられるか、そこに今後がかかっているように思います。

6月に演奏した、鎌倉旧村上邸能舞台にて 能楽師の安田登先生、Spacの女優 榊原有美さんと
私は、お陰様で色々と演奏会の機会を頂いております。本当にありがたいことです。月末はサロンコンサートが二つありますし、順調に行けば、来月は先月に続き神戸、そして金沢と地方公演も出来そうですし、市民講座などのレクチャーの仕事も始まります。
続けていれば、失敗とまでいかなくても上手く行かないことも多々ありますが、それでも先へ先へと続けていられるのは、何かの導きを感じますね。
こうして演奏出来るだけでも、本当にありがたいのですが、やればやる程、充実した演奏をやりたいと思う気持ちが高まります。私は成功したいとか、派手な活躍をしたいという願望はほとんどなくて、それよりも自分で納得のいく演奏会を続けていきたいという方が常に優先しますね。

ただ決して私はこじんまりコツコツと、というタイプではないので、どんどんとその活動を全国に、そして世界に広げて行きたいとも思っています。ショウビジネスとして飛び回りたい訳ではありません。そこを理解してくれない人が多いのですが、売れる・有名になるという気持ちが先に来ると、音楽がそちらにどうしても傾いて行きます。それでは私の想いは成就しないのです。あくまで自分の想う音楽を想うようにやりたいですね。
想いを成就させるには、様々な形でのパートナーシップが必要です。音楽だけでなく、生活でも仕事でも何でもパートナーシップは大事です。若い頃は一匹狼を気取っていたかもしれませんが、それでもやっぱり仲間が居たからこそやって来れたのであって、一人では何も出来なかったでしょう。年を追うごとにその大切さを想いますね。



左:京都清流亭にて、中:箱根岡田美術館にて、右:広尾東江寺にて 笛の大浦さんと
琵琶を始めた当初は笛の大浦典子さんと組んで、かなりの数の曲を作曲し、全国色々な所へ行って演奏していました。不思議なことに長年コンビを組んでいても、プライベートでは全く付き合いが無いのですが、それが良かったんでしょうね。分野限定でしっかり組んで行く方が、上手く行くというのも、こうしたコンビネーションから学びました。今でも大浦さんとは事あるごとに組んでいて、来月の品川区の講座でも一緒なのですが、最近は邦楽器よりも、洋楽器と組むことも多くなりました。特に一昨年「沙羅双樹Ⅲ」のレコーディングでVnの田澤明子先生に共演をお願いしてから、徐々に洋楽器とのデュオが増えてきました。

日本橋富沢町楽琵会にて、Vnの田澤明子先生と photo新藤義久
この所、これまで樂琵琶でしかやって来なかったシルクロード系の曲を、視点を変えてみたら薩摩琵琶でも出来そうな感じがしてきて、いろいろいじり倒していたのですが、田澤先生や、ここ数年お世話になっているフルート奏者の神谷和泉さんに、この自粛期間中に創った曲の譜面をいくつか送ったところ、素晴らしい形で曲が仕上がって来たのです。これからがまた楽しみなのですよ。私は誰かパートナーが居ると、自然と発想が浮んでくるタイプの様です。
実際作曲する時には、演奏する人の姿を思い浮かべて、その人と舞台に立っている情景まで見据えながら作曲しています。もっと言うと、どんな演奏会で、プログラムの何番目に演奏するという具体的な所もシミュレートしています。舞台全体をプロデュースするようなつもりで作曲しているので、誰と組むかは、とても重要なのです。
出来上がった曲は独り歩きしますので、後には他の人とも演奏する機会も出てくるのですが、初演は思い描いた人でないとだめですね。パートナーの存在がとても大きい。たぶん自分で気が付かないうちに、ああだこうだと色んな事を要求しているのかもしれませんね。すいません。でもパートナーが居てこそ様々な発想が出て、そして曲として姿を見せてくれるのです。

今年の1月、愛知県大府市のおおぶこもれびホールにて、安田登先生、浪曲師の玉川奈々福さんと
そして最近特に私が感じているのは、歌に関してです。私はもうほとんど歌うという発想が無くなって来まし
た。お仕事もありますので、多少の訓練はしておきますが、語り物をやるのであれば、やはり声の専門家を立てた方が良いですね。器楽としての琵琶樂が、琵琶を手にした最初から一貫した私のモットーですので、この想いも、ここへきて段々と成就しつつあるという訳です。弾き語りもやらない訳ではありませんが、やっぱり自分は歌う人ではないですね。20年以上かけてやっとその想いに至り、そして解放されました。
た。お仕事もありますので、多少の訓練はしておきますが、語り物をやるのであれば、やはり声の専門家を立てた方が良いですね。器楽としての琵琶樂が、琵琶を手にした最初から一貫した私のモットーですので、この想いも、ここへきて段々と成就しつつあるという訳です。弾き語りもやらない訳ではありませんが、やっぱり自分は歌う人ではないですね。20年以上かけてやっとその想いに至り、そして解放されました。

さて今日はこれから第153回琵琶樂人倶楽部です。朗読家の櫛部妙有さんを迎えて、国木田独歩の「たき火」を樂琵琶で合わせます。その樂琵琶の独奏やお話なども交えてやって行きます。是非お越しくださいませ。
私の想いは少しづつ成就して行く。音楽も生活も素敵な仲間に囲まれて、ゆっくりだけど一つ一つ成就して行く。その過程が一番の喜びであり、糧でもあり、そして人生でもあるのでしょうね。