秋の演奏会色々2019

まだまだ蒸し暑い日々が続いていますが、もう夏というより秋を感じつつありますね。今年の秋も、ありがたいことに色々と演奏の機会を頂いています。
photo:新藤義久

こうして演奏の場を頂くことはありがたいの一言ですが、そこに胡坐をかき、仕事に依存してしまうと、創造する心を見失ってしまいます。舞台に立つだけでなく、常に創り続けることも芸術に身を投じたものの宿命です。技術や経験だけを売るようになったら音楽家とは言えません。だからお仕事だけでなく、何よりも音楽に対して謙虚でなくてはいけないのです。そこがその人の器となって行くと、いつも肝に銘じて、やらせていただいています。まあ完璧にこなすことはできませんが、私なりにベストを尽くすしかないですね。

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琵琶樂人倶楽部の看板絵 作:鈴田郷

では、今月の公演のご紹介。先ず来週11日(水)は第141回の琵琶樂人倶楽部。もうすぐ13年目に突入するのですが、すでに来年一年の予定もほぼ決まっていまして、更に内容充実になって行ってます。
今月は朗読の櫛部妙有さんを迎えて「方丈記」を樂琵琶と共に上演します。以前俳優の伊藤哲也さんと共にやりましたが、伊藤さんとはまた違う魅力を持った櫛部さんの朗読には、とても深い魅力があります。

その後は島根県益田市に飛んで、グラントワという大きな美術館で、尺八の田中黎山君との演奏会。ここでは一昨年にも、作曲・企画の東保光さん、語り部の志人さんらと演奏したのですが、今回はデュオで、いつもの演奏会に近い形での演奏となります。

次の週は熊本県益城の阿弥陀寺さんで、能楽師の安田登先生、俳優の佐藤蕗子さんと共に公演があります。ここは安田先生がいつも様々な企画をしているお寺で、地元の方々との交流が盛んなところです。なんと宴会にはフルアコギターやベースも用意してあるとのことで、ジャズセッション大会になる予定とのこと。楽しみです。

その足で鹿児島に行って、アフリカンパーカッショングループの群青BAMAKO Sessionsと、尺八の室屋朋子さんとのライブをやることになりました。群青BAMAKO Sessionsの肥後君とは、もう20年以上に渡る長い付き合いで、一昨年鹿児島で久しぶりに再会して、小さなライブをやりました。その時に長管尺八を携えてきたのが室屋さんでして、拙作の「塔里木旋回舞曲」を樂琵琶と尺八で一緒にやっていただきました。ぶっつけ本番ながら、しっかりしたレベルで吹き切り、独奏での演奏も素晴らしかったので、今回も声をかけてみました。色々と話を聞いたところ、古典本曲をじっくり勉強しているという事でした。今回は薩摩琵琶を持ってゆくので、「まろばし」に挑戦してみたいと思います。鹿児島の方必聴ですぞ!!

帰ってすぐにはまた安田先生の「魂を鎮める芸能~能楽講座」、そして29日は前回も書きましたが、フルートの神谷和泉さんとの初共演。荻窪衎芸館にて西洋と日本をシルクロードでつなげるという面白い企画公演です。神谷さんとは音楽的な相性も良いし、楽しいサロンコンサートとなると思います。是非お越しください。

来月は東洋大学での特別講座、琵琶樂人倶楽部は尼理愛子さん、ナカムラユウコさんを迎えての開催。安田先生とは高松~京都で公演。そして日本橋富沢町楽琵会では、このところお知らせしている「四季を寿ぐ歌」の初演があります。他、横浜の鶴見文化講座では笛の大浦典子さんとの公演。更に月末にはセルリアン能楽堂にて、能の「卒塔婆小町」をもとにした創作演劇を、安田先生、玉川奈々福さん、ヲノサトルさん、奥津健太郎さん、槻宅聡さん、劇団mizhenの皆さんと上演します。
まあ目まぐるしいほどの演奏会であり、すべて内容が違うというのも私らしいです。勿論11月も更に池袋あうるすぽっとや、静岡鉄舟寺と続きますが、これはまた次の機会にお知らせします。

広尾東江寺にて、笛の大浦典子さんと

音楽家として生きるという事は、不安定な人生を生きると言い換えても良い位、綱渡りのような毎日が続くものですが、この人生を受け入れない限り、音楽家には成れません。忙しく動き回る時もあれば、ずっと何もないことも多々あります。経済的な面に於いても結構厳しい場面が多々あることでしょう。一流だろうが三流だろうが同じことです。しかしそういう不規則不安定な日々に振り回されていては何も創ることが出来ません。そして人生で安定・安息を求める方には音楽家はお勧めしません。教室経営をするのも一つのやり方ですが、「先生」の演奏程つまらないものはないのです。レッスンプロはどこまで行ってもレッスンプロ。厳しいですが、これが現実です。

まあ、私は教師としてはまるで向かないこともあり、自由に動き回っていますが、ここまでやると、この生き方以外に何が出来るか?、とも思いますね。人それぞれ身の丈に合ったやり方でやるしかないのです。

この秋も、実りのある充実した活動をしてゆきたいです。

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