今年も早、街にはクリスマスソングが流れ出しましたね。
年内はもう大きな演奏会はないのですが、日本橋富沢町樂琵会にて毎年年末恒例になっている、能楽師の津村禮次郎先生との共演が何といっても今年最後の大仕事です。

今年は拙作「凍れる月」で津村先生に舞ってもらうのですが、今回はいつもの相方 大浦典子さんの龍笛ではなく、あえてフルートの久保順さんに声をかけて、樂琵琶とフルートで演奏します。久保さんとは日本書紀歌謡の会でずっと御一緒していたのですが、今年の6月に東洋大学にて「方丈記」の公演があり、私の楽曲を久保さんと私が組んで演奏し、そこに津村先生の舞が乗るという舞台をやらせていただきました。これがなかなかいい感じで出来ましたので、自分の中の視点を変えるという意味も含めまして、今回はフルートと樂琵琶でやってみる事にしました。

今年は年明けにリリースしたCDで、Viの田澤明子さんに演奏してもらってから、ヴァイオリニストやフルーティストなど、洋楽器との組み合わせをかなりやりました。樂琵琶とヴァイオリンは、以前にも中島ゆみ子さんと組んでとても気持ちよかったのですが、本当に音色といい、バランスといい、実にしっくり来るのです。もうSiroccoや塔里木旋回舞曲などは、Viと組んで演奏する機会の方が多くなりました。来月の神田音楽学校の年末パーティーでは、フルートの神谷和泉さん(初共演)と組んで演奏します。
洋楽器と邦楽器・雅楽器では確かにその音楽は違うし、文化も違うのですが、実は核の部分では共通するものを抱えているように感じます。シルクロードを西に行くか、東に行くかで分かれて行ったと考えれば、やはりルーツは一つともいえますね。少なくとも私の作品を演奏する時に楽器の違和感を感じたことが無いのです。
これからはもっと積極的に、色んな楽器と組んでゆきたいし、そういう作品も創ってゆきたいと思います。
実は来月、津村先生に舞っていただく「凍れる月」はネット配信で海外、特に米国においてかなりダウンロードされている曲でもあります。ちょっと幻想的な雰囲気の曲なのですが、日本ではどうしても樂琵琶=雅楽というイメージが強いのか、「Sirocco」や「塔里木旋回舞曲」などの派手なアップテンポの曲以外は、なかなか認知されないのです。相方を洋楽器にすることで大分雰囲気も変わり、曲の魅力もアピールできそうですので、これからは邦楽器だけでなく、今迄の作品も洋楽器と組んでやってみようと思っています。
2019年日本橋富沢町樂琵会スケジュール
第18回 2月21日(木)「邦楽・洋楽の垣根を越えて」
ゲスト 田澤明子(Vi) 久保順(フルート・龍笛)
第19回 4月18日(木)「和の真髄を現代に」
ゲスト 矢野司空(尺八)
第20回 6月20日(木)「薩摩琵琶 古典から現代へ」
ゲスト 石田克佳(琵琶製作家 正派薩摩琵琶)
第21回 10月17日(木)「四季を寿ぐ歌」
ゲスト 大浦典子(笛)原田香織(中世文学研究者)
第22回 12月19日(木)「邦楽の未来へ」
ゲスト 津村禮次郎(能舞)

日野先生手書きのかわいいチラシ
そして年内は日本橋富沢町樂琵会の他、久しぶりにフラメンコギターの日野道夫先生とのライブもあります。こちらは狛江のインド料理店プルワリでの気軽なライブです。21月14日18時30分開演です。是非!!

戯曲公園「良寛」の楽屋にて、津村先生と
ピアノやギター、そして歌には国境はありません。どんなジャンルにでも合うし、ギターは古賀メロディーなどでもや欠かせないものにもなっています。本来楽器は、自由にどこまでも羽ばたいて行くものなのです、だから琵琶はシルクロードを伝わって日本に辿り着いたのです。しかし日本の琵琶は何時まで経っても、一つの世界に留まろうとする。これだけ多様な魅力と、幅広い対応が出来る構造を持っているのに・・・?。私は琵琶の魅力をもっと多様な世界に広めたいし、自分自身も普段から様々なジャンルの方々とお付き合いしているので、それらのアーティストとどんどん一緒に舞台を創ってゆきたいと思っています。そして日本から世界に向けて、古典から最先端まで琵琶音楽を発信したいのです。
年を追うごとに色々な機会を頂く機会が増えて本当に嬉しいです。もっともっと色々とやってみたいですね。来年も楽しくなりそうです。乞うご期待!!