旅の空~京の夏

今週は明日から1週間ほど京都に行ってます。
今回は演奏会の他に、造形芸術大学での夏期講座を3日間担当する事になりまして、朝から晩まで先生をやってきます。私がよい教師かどうかは別として、しっかりとがんばってきます!!。
その後、桃山の素敵なサロン ラ・ネージュにて笛の大浦典子さん、朗読の馬場精子さんと小さなコンサートをやって、26の日曜日は寺町の天性寺さんにて、琵琶サークル音霊杓子主催による奉納琵琶会を賑々しくやってきます。

天性寺ライブ

以前は毎月のように京都大阪に行っていたのですが、今では年に、3、4回程。今年はそれでも5月に百万遍知恩寺で演奏会をやらせていただきまして、更に10月には烏丸今出川の光明寺さんでのコンサートと続いていますので多い方です。
私はとにかく旅が好きで、琵琶をはじめた頃は毎月どこかに演奏旅行に行っていました。当時ライブのブッキングをしてくれていた人が関西の方というのもありましたが、毎月、大阪、奈良、和歌山、広島、岡山etc.関西方面に出掛けて行って、毎日が楽しかったですね。奈良なんか行くと、もうお気に入りの居酒屋さんもあって、大体2日ほどオフの日を作ってうろつくのが常です。そして日本中どこへ行くにも飛行機は使わなず、なるべく列車でゆっくりと外を眺めながら巡るのが私のスタイル。在来線の各駅停車の車窓から見える風景をのんびり眺めてゆっくり進むのは実に楽しいのです。
島根グラントワにて語り部 志人さんと
昨年は島根や鹿児島にも行きましたが、一人だけ在来線や新幹線を使ってのんびりと行き、帰りもぐるぐる色んな所を巡りながら帰って来ました。スケジュールに追われて演奏会場を飛びまわっても良い演奏は出来ませんからね。肉体的にも精神的にもリラックスという事を含め、スケジュールにはかなり余裕を持たせて組んでいるのです。
今回は大学の授業がメインですので、余りゆっくりとは出来ませんが、ラ・ネージュではお茶会も兼ねたリラックスした演奏会が出来ますし、天性寺さんでも音霊杓子の面々とワイワイできそうで、本当に楽しみなのです。
stage-1
上左からウズベキスタンThe State Conservatory of Uzbekistan, Grand Hall、ウズベキの歌姫Yulduz Turdievaさんとのリハーサル
トルクメニスタンState Music and Drama Theater named after Makhtumkuli演奏会
リブのキュラソー島にて手妻の藤山新太郎師匠とオフにのんびり観光中、
振り返ってみると、プロ活動を始めてから約20年。なんだか飛び回っていたという感じがしますね。色々な所に行かせてもらって、音楽家を生業としてよかったな、とつくづく思います。ライブハウスから始まり、寶山左衛門先生の舞台をきっかけに、いわゆる邦楽の世界に足を踏み入れて、シルクロードの国々なんかにも行くことが出来ました。その他ヨーロッパの国々やカリブ海沿岸の国々など、琵琶弾きならではの体験を本当に数多くさせて頂きました。国内でも東北、北海道は余り縁がないのですが、普段行けないようなところに随分と行かせてもらいました。
ヨーロッパではパガニーニがコンサートツアーというものを最初にやりだしたようですが、吟遊詩人、放浪の琵琶法師など音楽家という存在は基本的に旅の空の下に居るものです。色んな所に行って、色んな人に出会い、聴いていただくのが仕事です。竹山なんかは正にそうした人生を死ぬまで続けていましたね。流派やお教室に閉じこもっていては、音楽家としての醍醐味は味わえなかったでしょう。私は琵琶を手にしてから、本当に楽しい時間を頂いたと思っています。もちろん上手く行かないことも多々ありましたが、波騒は世の常。数々の失敗はしっかり反省して次につなげればよいし、失敗が私を育ててくれた部分も大変大きいと思っています。また些細な事は、すぐに忘れてしまいますので、良い思いでしか残っていませんね。

Yulduz Turdievaさんを迎えてのシルクロードコンサートツアー凱旋公演 座高円寺にて

これからの活動がどんな風になって行くのかわかりませんが、私自身はこれまで通り、旅の空の下に居たいですね。これまでは自分の思い描く活動の形というのを意識していましたが、これまでやってきて、自分も少しはがんばってきたけれど、それ以上に導かれているということを今強く感じます。人との縁であったり、運命であったり、言い方は色々あると思いますが、この導きが果てるまで、音楽家として生きて行きたいものです。活動の形も音楽そのものもどんどん変化して行くでしょう。でも若き日から様々な変遷を経てきている全てが「私」という存在。これからも誰でもない「私」でありたいですね。

世は音楽といえばショウビジネスですが、私はやはりエンタテイメントの楽しい舞台よりも、じっくりと音楽を聴いてもらえる舞台を確実にやって行きたいです。なるべくPAを使わずに生の響きをそのまま届けられるような舞台が私には合っているようです。 

旅は楽しいのです。人生旅の空でいたいですね。

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