先週までは、気の抜けない演奏会が続き、ちょっと気持ちの面でもゆっくりと出来なかったのですが、今週は少しゆっくりさせてもらってます。ほんの暫しではありますが、今は休息の時間なのです。来月はまた気合を入れないといけない演奏会がいくつかあり、他新作の作曲や編曲、チラシ作りや、打ち合わせ、広報活動など演奏以外の雑用も山のようにあり、心が休む事はなかなか出来ないですね。本当の意味での休息は当分先のようです。

琵琶樂人倶楽部「敦煌琵琶譜を巡って」レクチャーコンサート」10数年ぶりに訪ねて来てくれたジャンベ奏者 肥後君と
もっと活動をしっかり管理して、オフシーズンのような時間、たとえばゆっくり本を読んだり、音楽を聴いたりするそんなまとまった時間が今後は必要ですね。読みたい本は沢山あるし、観たい映画も色々とある。周りの人からすると私はいつも酒を飲んでぶらぶらしているように見えますが、こうみえても自分ひとりの時間を作るというのがなかなか難しいのです。有り難い事に年々仕事は増えているので、今後は活動をもっとブラッシュアップする為にも自己管理が大事になると思います。

しかしまあ、それでもこのところは余裕がありますので、ジャズを聞いたりちょっと本を読んだり、色々しています。ジャズは中学生の頃からずっと聴いているので、もうどうにも染み付いていますね。心が寄り添えるという感じでしょうか。同じく古典文学もそれこそ中学生の頃から好きで、一日一首なんて、下りもしない短歌を作っていたくちですので、日本の感性というものは普通に身に染みていますが、近世近代の都節音階によるいわゆる邦楽は、あとから体験したものでしかないので、正直どうもしっくり来ないのです。
琵琶楽は樂琵琶は勿論、盲僧琵琶も平家琵琶もとにかく好きなんですけども、あの七五調の都節で、こぶしまわして大声張り上げてうたう近代の琵琶歌はどうにもなじめません。古典の風味もないし、かといってモダンな洗練も感じないのです。かえって樂琵琶の方がモダンに感じるのは私だけではないと思います。琵琶楽はもっともっと奥深い魅力があると思いますよ。決して狭いジャンルではありません。薩摩琵琶しか聴いた事ないという人も多いかと思いますが、是非樂琵琶も聴いてもらいたいですね。千年以上に渡る歴史の中には、様々なジャンルと魅力が詰まっているのです。

私は樂琵琶でも薩摩琵琶でも、その楽器に秘められたもの~魂などというと「べた」な感じですが~を現代において新たな形にするのが、私の音楽であり、役目だと思っています。
私の姿は余裕があるかな??
今、日本の社会には素敵な音楽が鳴り響いているとはとても言いがたい状況になってしまいました。人々に心のゆとりが無くなっているのでしょうね。電車の中でも歩いていてもスマホを手から離せない人、食事中でもスマホ見ながら食べている人、そんな人が溢れるというのはやはり異常です。こんな時にこそ良い音楽を聴いてもらいたいのですが、なかなかそうはいきません。世の中とともに淀んでくるのもこれまた音楽の宿命です。戦時中は琵琶で軍国の曲を散々やったくらいですからね・・・。
そういう中で今音楽家は何をすべきか。考えるべき時に来ていると思います。私はひたすら琵琶楽の多様な魅力を発信して行きたいですね。その為にも休息をしっかりと取る事と、何物にも振り回されず、固執せず、自由な精神で居ることがとにかく大事だと思います。
私は随分のんびりやりたいようにやっていると思って来ましたが、振り返ってみるとまだ自己管理が出来ていませんでした。若い頃は少し追い込むようにやっていたのですが、その頃はネットも無く、雑用というものが無かった。ひたすら音楽だけをやっていれば良かったのです。しかし今は音楽活動にまつわる色々な雑用が本当に沢山あるのです。それだけ幅が広がったという事でしょうが、今後は自分自身のスケジュールをどれだけ管理できるか。そんな器も試されていますね。
年末年始はゆっくりしたいと思っています。

しかしながらもう一がんばり!来月5日にはキッドアイラックアートホールでの灰野敬二さんとの共演ライブ、半ばには津村禮次郎先生を迎えての日本橋富沢町樂琵会などまだまだ気合が入ります。
良き休息の時間を持ちたいですね。