先日、台湾の琵琶奏者 劉芛華さんと、二胡奏者の林正欣さんが遊びに来てくれました。

彼女たちは今年の5月にジョイントリサイタルを開いて、私の「塔里木旋回舞曲」「Sirocco」を演奏してくれたのです。劉さんは数年前のリサイタルでも「Sirocco」を演奏してくれたのですが、今回は第一部、第二部で1曲づつ取り上げてくれました。感謝!!
今回はその報告を兼ねての来日。日本のあちこちを見て周って帰るそうです。リサイタルの模様を収録したDVD・CDなど色々と持って来てくれて、話も盛り上がって、楽しい時間となりました。
早速今回のDVDを見させてもらいましたが、「塔里木旋回舞曲」のイントロが流れ出してから、もう鳥肌が立ってきましたよ。私のあの作品が、台北のコンサートホールで上演されているんですから嬉しいじゃないですか。それも随分と好評だったようです。
今迄、一貫して流派や協会という小さな枠に囚われず、邦楽という枠も飛び越えて、視線を外に外に向けて作品を創り演奏してきて、本当に良かったと思っています。
これからは日本でなければ通用しないというものでは、今の世の中では珍しい音楽以上のものにならないと思います。極東の民俗音楽でよければそれでもよいですが、世界を舞台に音楽を発信して行こうとしたら、感性や視野を変えない限り世界には伝わらない。クリック一つで世界と繋がれる現代だからこそ、世界の人に聴いてもらいたいのです。まあまだまだ小さい範囲ではありますが、ネット配信でもすでに色々な国の方が聴いてくれているようですし、今後に繋がる成果だと思いました。本当に嬉しい報告でした。

この日は皆で地元の蕎麦屋さん「道心」に行って、たっぷり呑みました。こういう酒は良いですね。二人ともこの笑顔。筆談も交え、これからの音楽活動のことや、色々な芸術・哲学、中国の歴史やホータンの玉の話まで、尽きる事無く楽しい話題が続きました。劉さんは今、台湾における音楽の歴史的変遷について論文発表を控えていて、博士号を取るべく猛勉強中だそうです。二人ともいい顔をしていますね。けれん無く、純粋に音楽に向かう姿が素晴しい!。
今、これまでやってきた事が色々な形で具体化してきているという実感があります。また自分の中でも、小さなことがどんどんと深化してきていて、今後更に洗練と熟成そして挑戦ということが起こって行くのひしひしを感じるのです。考え方や体の使い方、活動のやり方、自分のスタイルについてなど、自分を取り巻くことが、少しづつですが確実に変わってきているのです。
先ずはこの所書いているように声や歌という部分。従来の大きな声で張り上げる琵琶唄ではなく、もっと語りに近く、節に振り回されない新たなスタイルを創っていきたいと思います。これは薩摩琵琶だけでなく、以前もちょっとやった樂琵琶を弾きながら語るということも含め模索中です。スタイルそしてテキストなどなど色々考えて少しづつですが、形になりつつあります。
そして器楽としての琵琶も変わって来ています。テクニックを超えたテクニックがやはり必要だと思いますし、音楽を取り巻くもの全てを見渡し、順応し、コントロールして行く才能がなければ、せっかくの作品も響かない。
現在全レパートリーの見直しをしている所です。
見ている所を変えれば、おのずと世界が変わる。小さな所しか見ていなければ、小さな所にしか伝わらない。大きな世界を見据えた時に、新たな発想が生まれ、新たな感性が育まれる。大きければ良いというものではないですが、現代の世の中に見合う視野と視線を持てるかどうか。そこが器というもの。私がどこまでやれるかどうかは判りません。しかしやろうとするところがある以上やるつもりです。
また面白くなってきました。