平成絵巻「方丈記」於:ルーテルむさしの教会

先日、秘曲で語る平成絵巻「方丈記」を地元のルーテルむさしの教会にてやってきました。

方丈記-s

伊藤哲哉さんの語り、水野俊介さんの5弦ウッドベース、ヒグマ春夫さんの映像、そして私の樂琵琶というチームの公演も昨年の六本木ストライプハウススペースに続き2回目となりましたが、今年に入って次の公演先である、相模原南市民ホールで何度も本番さながらのリハーサルをやってきたせいか、初回よりぐっと充実した公演となりました。
公演日の26日はイースターの前日であり、また大柴牧師のこの教会での最後のイースターイベントでもありました。牧師は4月から大阪に転任ということですが、是非大阪にも一度伺って、あの染み入るいたいと思っています。

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今回は伊藤哲哉さんの語りがいつにない迫力で、聞いているお客様をぐっとつかんでいる様子がよく伝わっていました。さすがです。礼拝堂もお客様で一杯になり、本当にありがたかったのです。会場には琵琶奏者のHさん、語り部のBさん、SaxのSoon Kimさん、和久内先生などおなじみの方々から、初めて聞く人迄色々な方が来てくれたのが嬉しかったですね。

7sこうして舞台となって行くと、作品の魅力が自分でよく見えて来て、色んなアプローチが浮かんできます。ここまでやらないと見えないものが確かにありますね。やはり私は舞台そのものを作って行くことに大きな喜びを感じるようで、先日の日舞の花柳面先生、萩谷京子先生との舞台も、演奏だけ、踊りだけというのでなく、全体の構成から流れまで舞台全体が満足いったからこその充実感だったと思います。
伊藤さんとは「良寛」でも一緒なのですが、こうした舞台をシリーズでやって行けるのは舞台人として、音楽家として幸せですね。

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誰しもそうだと思いますが、私は自分の音楽に充実は感じているものの、まだ未熟な面も痛切に感じています。私はコンプレックスもそれなりに多い人間なので、色々な矛盾する部分を自分の中に抱えながら舞台に立っている訳です。しかしこうして多くの機会に恵まれることで自分の本来の姿が見えてきます。出来ることとできないことが見え、伝統やら形式にマスキングされて、上っ面だけはこなして中身が出来ていない部分も見えてきます。伝統芸能は形がある分、ここが見えないといつまで経ってもその先に行きません。

大柴牧師が説教の中でアフリカの諺を紹介していました。「速く行きたいのなら独りで歩きなさい、遠くまで行きたいのなら誰かと一緒に歩きなさい」。素晴らしい言葉だと思います。こうして色々な機会を頂いて、常に視野を広げることが出来るのは実に幸せなことと同時に、色々なジャンルの素晴らしい仲間が周りに居ることが私にとっても一番の幸せかもしれません。いつも仲間が居るからこそ、遠くまで歩いて行けるのです。
とにかく閉じこもっているのは私には似合いません。様々な分野の人とどんどん繋がって、あらゆる場面に出没するのが私らしい。だからこれからもゆっくりと遠くへ歩いて行きたいと思うのです。

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外は桜が咲き始めましたね。少し天候が不順ですが、我が家の近くでも5分咲き位になってきました。春は桜だけでなくあらゆる花が競うように咲き出すのが何といっても素晴らしいです。桃、コブシ、モクレン、カイドウ、ハナスオウ、・・ありとあらゆる花が命の饗宴を見せてくれます。桜一つとっても、早咲きから遅咲き、枝振り、色等々、多くの種類の桜がその命を外に向けて輝かせている様を見ますと、琵琶も色々なスタイルが百花繚乱のように世に響いてくるといいな、と思います。それにはまず私自身の琵琶楽が柔軟で、また豊かでなくてはその魅力を享受できません。固定概念を捨てて、琵琶が本来の響きを持って鳴り出し、ありのままの自分自身から、素直にケレン無く音楽を紡ぎ出して行きたいものです。

大柴牧師が説教の中でアフリカの諺を紹介していました。「速く行きたいのなら独りで歩きなさい、遠くまで行きたいのなら誰かと一緒に歩きなさい」

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