寒い日が続きますね。もう1月も終わりですが、1月は年の始めというだけでなく、私の誕生月でもあるので、何かとバタバタと動き回る季節です。そして年が明けてから新年の仕事を始めて、この月末で改めて今年一年の活動の方向や計画を確認するのが、毎年この1月末なんです。2月の始めには毎年恒例のReflections 演奏会があり、それに向けて準備にも追われるのですが、この演奏会を軸に新たな一年が始まるという感じですね。
2月5日、オペラシティの中にある音楽サロン近江楽堂にて、19時の開演です。是非是非よろしくお願いいたします。

昨年の演奏会では、オリジナルの樂琵琶独奏曲をいくつか演奏しまして、樂琵琶奏者としての面をアピールさせてもらいました。そのせいか昨年から樂琵琶のお仕事がかなり増えて来て、樂琵琶が「自分の楽器」となってきた一年でした。2011年頃より、樂琵琶がぐっと自分に近づいてくるのを感じていましたが、自分の手足同様になっったと感じたのは昨年2015年でした。けっしてサブではなく、薩摩琵琶同様、メイン楽器として自分の手の内に入ったのです。琵琶界の二天一流という所でしょうか??。
今年はこのコンビの原点であるシルクロードへの想いを描いた作品を並べてみます。枠に囚われない自由な精神こそ私の求める世界ですので、正に自分への原点回帰となる演奏会になりそうです。
笛の大浦典子さんとは、コンビを組んでもう10年以上になりますが、これだけの年月を経たからこそ自分達の行くべき道筋が見え、感じられます。そして10年を経て樂琵琶と笛のコンビネーションが我が身の血肉になったことを実感するのです。
グループ名のReflectionsとは、水や鏡に映った映像や影、反響、反映、乾燥、熟考、内省、黙想、回想等々の意味があります。樂琵琶はまるで鏡の
ように、私の中の深い記憶を照らし出して、薩摩琵琶では感じられない、遠いルーツへの想い、辿ってきた道、歴史を感じさせてくれます。そして樂琵琶が媒体となって、権威の塊のようで苦手だった雅楽と私とが繋がって行きました。勿論独自の視線を注いでいるので、雅楽の世界に身を置いている訳でも、雅楽そのものをやっている訳ではありませんが、雅楽に対するネガティブな感情が溶け、視野が開けたことで私の音楽が大きく変わりました。また樂琵琶は私が小さいころから興味を持って眺めていたシルクロードにも直接つながり、私の中の音楽世界が飛躍的に豊かになりました。

波騒は世の常と申しますが、世の中を生きていれば、物事すんなりとはなかなか行きませんね。難しかったり、苦手だったりするものや人は、どこか自分自身の嫌な部分を相手の姿を通して、見てしまうから苦手に感じるのかもしれません。ネガティブな反映を感じるのでしょうね。これも一つのReflectionsでしょう。しかしそんな所も何かのきっかけで、媒介となってくれるものがあるとポジティブな繋がりが出来て来ます。私にとって樂琵琶はその最たるものであり、苦手だった世界への媒体となってくれました。そしてその媒介のお蔭で、私の音楽は、流派や固定化された伝統という枠を超えて、自由に広がって行ったのです。
我々二人の紡ぎだすReflectionsの音楽がリスナーにとって、新たな音楽へと導いて行く媒体となって行けたら嬉しいです。
演奏会でお待ち申し上げます。