行ってきましたよ。オーネット・コールマントリビュート「TOWER OF FUNK Japan Tour」 !!

モノホンです!!正にモノホン!!!!凄まじいリズム感と、スリリングな展開、圧倒的なパワー、全てに桁が違います。その音場で我らがSoon Kim兄が縦横無尽に吹きまくるという構図。勿論ただ吹きまくるだけではありません。そこには歌があるのです。叫びが、想いが・・・様々な起伏が表現されています。いわゆるフリーキーな格好をまとった、なんちゃってフリージャズとは全然違うのです。
Soon Kim兄
キムさんは20代前半からNYに渡り、オーネットの元で内弟子のような形でくっ付いていたので、体全体にジャズの風情というものがあるのです。そこを身に付けているというのがとにかく素晴らしいですね。今回はDsにカルヴィン・ウエストン、Bはアル・マクドウェル、Gがヴァーノン・リードという超の付く世界の一流ミュージシャンとの共演でした。キムさんも他3人の方々も皆さん勿論凄いレベルなのですが、上手いとかどうとかということでなく、姿がそのままジャズなんです。曲調はジャズというよりロックだったり、ファンクだったり自由なのですが、姿も音もそのままがジャズなのです。そこには何の無理もない。いつも話していることをそのまま話しているだけ。そしてそのレベルが桁外れに高いだけなのです。
メンバーはこんな感じ

キムさん以外は3人共黒人ミュージシャンですが、旧知の仲間とはいえ東洋人のキムさんが何の違和感も無く一緒に演奏しているのがいいですね。ジャズは本当にグローバルな音楽だということを実感します。そして同時にグローバルになってもジャズの風情はずっと受け継がれているというのが、素晴らしいじゃないですか。形はどんどん変化していますが、その風情は何も薄まっていない。邦楽器でポップスバンドやっている人達に聴かせたいですね。
私がどれだけ言葉を尽くしてもしょうがないのですが、とにかくこのサウンドを一度聞いて頂けたら嬉しいです。
http://www.toms-cabin.com/TOF2015/index.html
これから大阪名古屋を回るようです。お近くの方是非行ってみて下さい。一聴の価値ありですよ。

実は最近、私の周りの仲間と、この「風情」ということがよく話題になっているのです。それは特に邦楽についてなのですが、近頃の邦楽は邦楽ではない、という意見を多く聞きます。それは私自身も常に思っている事なのですが、歌を聞いても、明治生まれの名人の歌と昭和生まれの先生方の歌はまるで違うのです。「ふるえ」とも「ゆれ」とも言って良いと思うのですが、、そういう「色」が昭和生まれの方には無いのです。確かに音程も良いし、琵琶も上手だし、声も出ているし、文句はないのですが、とにかく明治の名人達の歌とは違う。今、あの邦楽の風情を感じるのは山下晴楓先生くらいでしょうか・・・・。残念ですが、なかなかあの風情を感じる人が居ないのです。
アディロンダックカフェにてキムさんとデュオ
生活習慣も食べ物も戦前の日本人と今の日本人では全く違うから、変わって当たり前とも思えます。しかしあの邦楽の「風情」が無くなって良いのでしょうか。それで邦楽は邦楽足りえるのか??。かつてアストラ・ピアソラがタンゴをモダンスタイルに改革し、世界へと発信して行きましたが、タンゴの風情は失わなかった。それどころか、クラシックやジャズのトップミュージシャンを魅了したのです。フラメンコのパコ・デ・ルシアもそうだった。グローバル化=薄まるということは幻想です。モノホンはその風情を失わない。失うとしたらそれだけのものだったということです。どんな場にあっても、本物ならその風情は確実に伝わる。だからこそ世界が魅力を感じるのではないか、と私は思います。
私は異ジャンルをずっとやってきたので、いわゆる邦楽人とは違うと思いますが、あの邦楽の風情はぜひとも持っていたいと思います。それが最大の私の課題のように思っています。
キムさんの演奏を聞きながら、音楽の底力を感じました。