四年

あの震災から間もなく4年が経ちます。この4年間色々な事がありました。人それぞれに、様々な4年間だった事と思います。毎年この時期になると色々な事を思い返すのですが、時間が経つと、どこかでもう「過ぎ去った事」という意識で捉えているのではないか、そんな気持ちも自分の中に感じる事があります。東北は未だ復興のめどが立たない地域もあるでしょうし、原発事故に関しては先が見えないような状態ですが、東京ではもう節電などとは誰も言わず、震災前と何も変わっていません。これも一つの現実なのでしょう。
ただ四年前私が感じた「音楽の無力」は、少しづつ私の中で「無力ではない」という気持ちに変わりました。

津波9津波の去った後

震災以降福島には何度か呼ばれて演奏しました。ボランティアではなく、あくまで仕事で関わることで、かえって今迄ほとんど行った事のなかった東北全般が身近なものになり、視野が開けてきたような感覚を覚えました。勿論津波の後や、避難生活の実態も目の当たりにし、相馬在住の人達からも話を聞き、思う所は多々ありますが、あの震災以降、東北それも福島とは何かの縁を頂いたように感じています。

IMG_7914s音楽は腹の足しにはなりません。特に私の音楽はいわゆる癒し系でもなく、その場を楽しませるエンタテイメントでもありませんが、震災の年に福島で演奏した「平経正」は20分以上の長い曲にも拘らず、皆さん食い入るように聞いていました。あの熱気に満ちた(ちょっと異常なくらい)会場の雰囲気は未だに忘れられません。250席程の小さなホールでしたが、あまりに多くの方が詰めかけて、随分とお断りをする程、皆さんが求めてくれたというのは、何かを求めていたのではないかと思えてならないのです。腹の足しとは別の何かを・・・。まあ私の演奏を待ち望んでいてくれた訳ではなく、琵琶の演奏を聴きたかったのだろうとは思いますが、琵琶には何かの想いを乗せ伝えて行く力が、今でも充分に備わっているという事ではないかと思っています。そんなこともこの4年間で感じた事です。

今こそ我々に何かを問われているのではないでしょうか。

今年も、和久内明先生主催の集会に顔を出しています。あの震災を忘れないようにしようと、今年も何時ものメンバーが集い、ルーテルむさしの教会にて行います。

11-2015

クリスタルボウルのクリスタルデュオブレイズのお二人、尺八の吉岡龍之介君、ギターの山口亮志君、オーソドックス合唱団を率いる折田真樹先生などが音楽を届けます。18時30分開演です。

一年に一度でもこうしてあの日を振り返り、世の中を、自分を見つめ直すという事は、今後を生きる上でも必要な事ではないかと思っています。そして3月11日はそういう日として私達日本人の内に刻まれて行くべきなのではないか、とも思うのです。音楽は腹の足しにはならなくとも、心の足しには充分に成り得ます。心を分かち合うひと時です。是非お越しくださいませ。入場は無料です。

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昨年の演奏風景 於ルーテル武蔵野教会

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