彼方へ2015

先日、初台の近江楽堂にReflections New CD「The Ancient Road」CD発売記念演奏会をやってきました。

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考えてみれば樂琵琶だけの演奏会は、北鎌倉の古民家ミュージアムでやるのが毎年の恒例で、後はお寺や踊りの舞台の時ばかりでしたので、ちゃんとした演奏会場でフルに樂琵琶の演奏会を開くのはこれが初めてでした。まあ今回は樂琵琶奏者としての初お披露目の会でもありました。
やっぱり私には器楽としての琵琶楽がしっくりくるし、これからもどんどんとこの方向でやって行こうと思いました。

21stアルバムの「Oriental Eyes」では、薩摩琵琶でやりたいようにやりました。全曲インストで、ちょっとフリージャズ的で、未熟ではありながらもとても私らしい、私にしか作れない作品でした。しかし「語りをやらなくてはいけない」という呪縛は、仕事が順調に入るようになればなるほど、だんだんと自分の中で大きくなって行きました。歌をやりたくて琵琶を弾き始めた訳ではないのに、負けるわけにはいかない、というつまらない意地に囚われていたんでしょうね。まあそういう時期を経たことも、今となっては貴重な経験です。

それが樂琵琶を手にした頃から、本来自分がやりたいものがまた少しづつクリアになって来ました。変な意地でマスキングされていた心に、1stアルバムの頃の気概や矜持がまた蘇ってきたのです。
樂琵琶の第一作目「流沙の琵琶」では、まだまだ自信は持てませんでしたが、P2069448前作「風の軌跡」でかなりの手ごたえを感じて以来、樂琵琶云々というよりも、自分のやるべき音楽が明確になり、今度の「The Ancient Road」を作ってからはすっかり吹っ切れました。だから先日の演奏会は、新生塩高のお披露目でもあったのです。しかしながら、まだまだ旅の途中。哲学的な面はすっきりしてきましたが、演奏家としてはもっともっと高い技術がこれからは必要になるでしょう。作曲も今まで以上に重要になって来ると思います。課題はまだまだ多いものの、これからは薩摩・樂琵琶の区別なく、レベルが上がってくる事と思います。

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それにしてもこうして色々と変遷をしながら今に至るには、多くの方々との関わりがあったからこそだと思っています。薩摩琵琶を始めたのは作曲の石井紘美先生の助言だったし、樂琵琶を演奏するきかっけは笛の大浦典子さんのアドヴァイスでした。そしてその樂琵琶の演奏を強力に後押ししてくれたのは故H氏でした。こうした数々の出逢いが無ければ、先日の演奏会も開いていないでしょう。縁とは異なものですね。縁によって自分が作られてゆくかのようです。

囚われるものもだんだん無くなってきたし、背負うものも私には元々無いので、これからもどんどん自分の思うようにやって行こうと思っています。

人生も音楽もこれからが面白くなりそうです。

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