6月は毎年、とにかく忙しく飛び回っている事が多いのですが、今年も例年通り色々な所に出かけて演奏して行きました。
そして今月は、様々な場所で色々な「風」を感じた月でもありました。その土地ならではの風、その場でしか味わえない風はどれも心地よいものばかり。いい仕事させてもらってます。感謝!

写真はそのサロンでの演奏の様子です。いい感じでしょ?。こういう所でのんびりと食事やお酒を楽しんだり、芸術談議したりして、気の合う仲間達と過ごしたいですね。都会とは違う、新鮮で生命感を感じる風と、古の息吹に身をゆだね、良い時間を頂きました。ぜひまた伺いたい場所です。
やまぼうし:https://www.facebook.com/yamaboushi
次は静岡。先日ブログにも書きましたが、やはり故郷の風は自然となじみます。静岡駅に降り立つだけで、何かが違う。和歌山なんかもそうですが、静岡は海も山もあり、そこからの多くの恵みにも溢れた土地なので、風もおおらかで穏やかで、人ものんびりとしいているのです。駿河湾の凪いだ海から吹き来る風には色々な想い出が甦りますね。
静岡に行く時には時間さえあれば、各駅停車でのんびりと行く事にしていますが、旧車両の向かい合わせの座席に座って、車窓からただただ海や富士山を眺めているのが、私にとって何よりの贅沢なのです。本も何も要りませんね。いつかこの陽光と風の中に帰って行きたい。近頃はそんな想いが強くなりました。
続いて、21日にはJICA横浜で演奏したのですが、此方の風はまた一味違う。場所は赤レンガ倉庫のすぐ隣だったのですが、あの辺はちょっと異国情緒もあり、お客様も様々な国の方々でしたので、いつもの演奏会とは全然雰囲気が違いました。お客様からも「琵琶は日本の音楽というより、どこかエキゾチックですね」という感想を頂きましたが、きっとそんな感じで皆さんに聞こえたのではないでしょうか。何とも開放感があって違う国に居るみたいな感じもしました。
レオ君
またここでは今年の筝曲全国コンクールで優勝した、若干16歳の今野玲央君と共に演奏したのですが、彼は人柄といい音色といい、実にさわやかで、演奏もなかなかのものでした。フレッシュな感覚というのは聞いていて気持ち良いものですね。昨年和歌山で共演した筝の中島裕康君も、昨年全国コンクールを制覇して、まだ20代の半ば。最近は若手の男性筝奏者が活躍していて頼もしい限りです。エキゾチックな風を楽しみました。

そして今月は江の島にも行きました。1年ぶり程でしたが、湿気もあまり無くて、心を浄化してくれるような海の風をたっぷりと身に受けてきました。心を深化させてくれるような山の風も素晴らしいですが、海の風もまた、私を包み、広大な太平洋を前にして体が空に舞いあがるような、そんな気持ちにしてくれました。静岡に育ったせいか、私には海と山の両方が必要なようで、何とも贅沢な体質なようです。
江の島は三大弁財天の一つであり、山田検校等の碑もある、音楽に縁の深い場所。いつかここで演奏する機会も持てたら嬉しいですね。海の幸をたっぷりと頂いて、沈みゆく夕日を見ながら、広大で、凪いだ海の上を渡る風を満喫してきました。
おまけは先週の、嵐のような豪雨の直前に吹きすさぶ風。印象的でしたね。嵐の前のイントロのような風は自分の感覚のどこかを刺激するようで、ゾクゾクとして来ました。
今月はこれらの他に、先日ブログにも書いたインターナショナルスクールでの子供たちの授業や、光が丘美術館の演奏会。琵琶樂人倶楽部の「次代を担う若者達」、そして社会人向けの「えびす大学」という講座など、色々と仕事をさせて頂きました。そしてほとんどの会で私の作曲した「風の宴」を演奏しました。この曲は先人からの息吹を「風」と捉え、その風を我が身に受けて、更にその風を次世代へと吹き渡らせて行こう、という私の想いを曲にしたものです。
私が演奏した「風の宴」は、私の想いを音楽に乗せ、「愛を語り、届ける」風となって吹き渡っただろうか??。まあそんな風に思うのも、ただの我欲かも知れません。
水無月の風は、どれも、こんな小さき者を優しく包み、行くべき所、あるべき姿へと誘ってくれました。
生かされて、今ここにある我が身を感じますね。
さて、今日は一年の折り返し地点。またこれからどんな風に出逢うのやら・・。
「Think of nothing things, think of wind」 トルーマン カポーティ