響き合う季節(とき)2014

今年もルーテルむさしの教会にて行われた、和久内明先生主催による、3.11哀悼・追悼・支援集会にて演奏してきました。今回も大柴牧師による話を聞いたのですが、どんなことがあっても暖かく迎え入れてくれるコミュニティーというものの大切さについて素晴らしいお話を頂きました。単なる団体や村ではなく、想いを共有し、支え合う仲間が居る事はどれだけ素晴らしいか、改めて心を馳せることが出来、充実したひと時となりました。

11-2014

また今年も心新たにこの日を迎えました。この春が穏やかな季節となってくれることを願うばかりです。そして春には梅や
桜が咲き、華やかな季節になると共に、毎年春の音色というものを感じずにはいられません。鳥の声も街の賑わいもそうですが、明るい日差しを感じるような音
が聞こえて来るようです。この音色が毎年響いて欲しいものです。

クリスタルデュオブレイズ今回もクリスタルデュオブレイズのお二人、声楽の折田真樹先生率いるオーソドックス合唱団、尺八と筝の吉岡龍之介・景子夫妻、ギターの山口亮志君他も加わって、素敵な仲間達が集まってくれました。特にクリスタルボウルの音色はいつになく静かに教会内に響き渡っていましたね。お二人のけれん味の無いピュアな精神から紡ぎだされる音色は、会場の皆さんの心にしっかりと満ちたと思います。私にも沁み渡りました。
クリスタルデュオブレイズ http://www.happy-blaze.com/profile.html

私は昨年が樂琵琶でしたので、今年は薩摩琵琶で「風の宴」を演奏しました。和久内先生の「祈りの波」という詩と合わせ、先人の想いが現代に受け継がれ、そして次代へとまた受け継がれて行く、そんな様と想いを表現した独奏曲です。和久内先生の詩は、いつもリアルであり、且つ過去を見つめ、未来へと視線が投げかけられています。今回は特にリハーサルも無くやってみたのですが、あまりにぴったりと来たので、お互いにびっくりしてしまいました。

3年が経ち、世の中ではもうこの震災を忘れかけているような日々も見受けられます。しかしこれを忘れたら、日本はもう再生はおろか、心が荒んで行ってしまうような気がしてなりません。祈りを忘れ、先人の轍を見失い、痛みを感じなくなった時、人は人であり続けることが出来るでしょうか。地震の被害はもちろんの事、原発事故、今後の日本の舵取り等々、多くの事がこの3.11には含まれます。日本にとって、世界にとって大きな意味のある日だったのではないでしょうか。この日を忘れてはいけないのです。

marobashi2010-0s

音楽には祈りがあります。悲しいものだけでなく、楽しい曲にも。祈りというと重い感じですが、想いという風に言い方を変えれば解っていただけるでしょうか。例えば、自然界の音、お寺の鐘の音にさえ、人間は想いを持って聴くことが出来ます。その想いは時に激しい怒りの発散だったりするし、けっして膝まづいて祈っているようなものだけではないと思いますが、格好良さだけでは音楽は成り立ちません。音楽から祈りや想いが無くなった時、そうはもう、今まで私たちが言う所の音楽ではなくなるのでしょう。そういうものが出現するのも又時代の流れなのかもしれませんが、私はやはり、祈りも想いも満ち溢れた音楽をやって行きたいのです。

今年も梅や桜が咲き、華やかな春の音色が世に満ちますように。

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