北とぴあつつじホールでの郡司敦作品個展が終了しました。和洋楽器、ソプラノ・メゾソプラノ・テノールのソリストたち、そして合唱まで付くという大変華やかな会でした。
作曲家の郡司君とはもう7年ほどの付き合いで、彼の作品も色々と初演しました。今回は初の作品個展ということで、メゾソプラノの郡愛子さんをゲストに迎え、気合の入ったコンサートになりました。
今回の筝奏者は今年芸大を出たばかりの中島裕康君。
実に初々しい!尺八は何時もの田中黎山君。邦楽3人組でこんな感じでした。(←写真)
そして右側の写真は、やはり芸大を出たばかりで、来年院に行くテノールの松原陸君。彼は素晴らしい声質の持ち主で、かつナイスキャラ。昨年に続き2度目の共演という事もあり、オペラや声楽の話で大いに盛り上がりました。
郡司君の作品は、ノスタルジック&ロマンチック!そしてとても清涼感がある。それが彼の持ち味であり人柄でもあります。まだまだ勉強すべき事も多いかと思いますが、今回は初の作品個展ということで、郡司君を慕う「チーム郡司」の面々が集結しました。尺八の田中君はじめ、コントラバスの東保君、ピアノの西尾さん、チェロの木戸さん、ギターの西垣君など、彼は実に良い仲間たちに囲まれていますね。今回は彼の作品と共に、おまけで私の曲も2曲ほど挟んで頂きました。
これはリハーサルの写真ですが、Viのコンミス中島ゆみ子さん、チェロの木戸さんと「塔里木旋回舞曲」を演奏しました。いつも笛とやっている曲ですが、Viと実に良く合うのです。まるでジプシーヴァイオリンのようにスーパーテクニックでノリノリで弾く中島さんにはもう大拍手です。是非是非もう一度やりたいですね。
そして何と言っても、今回はあの郡愛子さんとの共演です。日本を代表するメゾソプラノの郡さんと私如きが声で掛け合いをやるなど、普通ではありえないというより、あってはならない事です。
インテンポで歌う曲と、全くの唸り声で絡む曲がありましたが、本当に大丈夫だろうか、と正直最後まで気がかりで仕方がなかったです。良かったのかどうか未だに判りませんが、友人からのアドヴァイスも受け、いつもの通りにやってしまいました。
言うまでもないですが訓練された声というのは凄いもんですね。いつもは声楽オタクとして客席から聴いている訳ですが、一緒にやってみると本当に震えるほどに凄いです。こういう機会を与えてくれた郡司君に感謝ですね。
郡司君は40代を目前にして結婚もしたばかり。今正に飛び立とうとしています。音楽でやって行くのは大変だし、特に芸術音楽の作曲家となると一段と厳しい。商業音楽の分野で日銭を稼ぐのも確かにプロかもしれませんが、そこは踏ん張って今まで頑張ってきた芸術分野で自分の世界を確立して行って欲しい。彼だけでなく、筝の中島君やテノールの陸君も、若くしてあれだけの技術があれば、色々と声もかかるでしょう。技術がある人ほど何でも出来てしまうからかえって迷うものです。また活動していれば売れたいとも思うだろうし、色々な事がこれから湧き上がってくると思いますが、本当に自分が望むものは何なのか、しっかり見据えて自分の行くべき道に進んで欲しいものです。
私も若手なんて言われながら、いつの間にかこんな年になってしまいましたが、こうして若い有能な音楽家達と共演することは、実に楽しいです。自分の姿があらめて見えてくるし、音楽の喜びが湧き上がってきます。私自身もここからまた新たな時代を歩み始める事になるでしょう。
来年が楽しみになってきました。