最近の私はプライベートな会に演奏することはあっても、いわゆる演奏会は少なくて、春に続き夏休み状態ですが、先日昼間、とあるパーティーがあり、いつものようにしこたま飲んでいると、隣にジャズ好きのG味先輩がおられ、「最近はあまり演奏会も入っていないようだし、暇しているんならジャズを聴きに行かないか」とお誘いを受けまして、行ってまいりました。Body&soul http://www.bodyandsoul.co.jp/
いや~~ジャズクラブはやっぱり大人の遊び場です。久しぶりに脳内がはじけました。
出演は山本剛トリオ。山本さんのP・大隅寿男さんのDs・香川裕史さんのB。これが最高に粋なんです。大ベテランならではの遊び心がたっぷりあって、演奏している表情を観ているだけでも面白い。大人のエンタテイメントです。それにレベルがすこぶる高い。
私はジャズが好きなくせに、演奏家としてはこういう粋なエンタテイメント性をあまり持ち合わせておらず、いつもしかめっ面して演奏しているので、琵琶に転向して正解だったと思っていますが、こういうステージが出来る人は、凄いものですね。
ジャズクラブでのライブ盤には名作が多いんです。特に60年代には多いですね。ウェスモンゴメリーの「Full House」、ケニーバレルの「A Night at the Vanguard」、ジムホールの「Live!」etc.皆私の好きなアルバムなんですが、ぜひこんな演奏をしてみたかったです。実に格好良いです。願望(妄想?)だけは未だ失せませんね。
それにしてもこういうジャズのお店はなんて素敵なんでしょう。最近はブログにも書いているように、コンサートに映画、展示会とせわしなく駆け回り、空いている日は美術館巡りにいそしみ、昼夜別なくパーティーに、飲み会に出没するという放蕩オヤジ全開状態なんですが、ジャズの快楽だけは格別ですな。
この日はお客様も沢山来ていました。御年配のファンの方から、20代30代の方、女性も結構多かったです。何故ジャズはこんなに人を惹きつけるのでしょうか。それはどんな風に聞いても楽しめる幅というか、弾力のようなものを持っているからではないかと思います。
山本剛
演奏がとにかく「いかしている」のです。Pの山本さんは「The shadow of your smile」を弾きながら五木の子守唄にいつの間にか移って、アドリブでまた元曲に戻って行ったり、何かのバラードを弾いているなと思ったら「君が代」をジャズアレンジで弾いて「オリンピックですし」なんて粋な事を添える。とにかく自由自在。あれだけの技術があればこその余裕ですね。音楽家として多くの経験をし、あらゆる音楽を聴いている、それら色々な素養が自然に音楽に現れている感じがしました。残念ながら邦楽は、まだまだああいう高いレベルの「いかした」人が出てこないですね。お稽古で習った曲をそのままライブでもやっているようでは・・・。
日本人はとかく真面目にきちんとやりたがります。その逆になるといきなりぶっちゃけてしまう。ちょうど良い中間点の遊びの部分があまりないですね。邦楽の凛とした姿も勿論素晴らしいですが、そこにこの、質の高い遊びや弾力が欲しいものです。
専門以外は何にも知らない、出来ないというのではオタクと同じです。色々なものに対応出来、しかも専門はずば抜けて素晴らしい、これがプロの正しい姿だと思います。
自由自在なアドリブはジャズに限ったことではなく、人生そのものに通用すると思うのは私だけでしょうか。
ジャズクラブに遊びに行きたくなったでしょ?