自らの道 進むべき道 

先日、「田原順子弾き・語り・琵琶」の公演に行ってきました。毎年シリーズでやっているこの公演も今回が23回目。そして会場の門天ホールが今年で閉鎖することもあって、今回は一応の最終回とのことでした。

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演奏を聴いていて、ベテランの余裕を感じました。一人だけで弾き語りを3曲。低目の声でしっとり淡々と語り、MCも笑顔も所作も含め、その姿には長年独自の活動を展開してきた、自信と落ち着きがありました。

実は私は、田原先生にはひそかに以前よりシンパシーを感じているのです。それは先生の活動の仕方が自分とよく似ているからなのです。流派に寄りかからず、自分で道を切り開いてゆく所や、オリジナル曲で勝負する所。更には楽器を改造して、スペシャル仕様にする所など、今私がやっている事をずっと前から田原先生は実践しているのです。
琵琶の方で、①楽器の改造、②オリジナル曲、③流派によらない独自の演奏活動。この3点を最初にしたのは水藤錦穣先生です。その次は田原先生でしょう。先生のその姿勢が私は好きなのです。

     和音「三種の琵琶楽」表和音「三種の琵琶楽」裏

以前日暮里に和音という邦楽のライブハウスがありました。私はまだ駆け出しの頃で、先輩二人にくっついて、今私の代表曲になっている「まろばし」を演奏しました。(写真も若い!しかもまだ鶴田流となっている)そのライブの時に田原先生が聴きに来てくれていて、「あなたなかなか面白いわね」と声をかけてくれたのが、先生との出会いの最初でした。

邦楽はジャズのような音楽とは基本的な所が違って、どうしても流派の曲をやるというのが前提にあるので、永田錦心のように、曲から何から自分の芸術的世界を作り上げる人が出てきにくい。そういう中にあって、田原先生のようにオリジナルのスタイルで勝負してきた方は貴重な存在です。既に多くのファンも付いておられるし、メジャーからもアルバムも出している。ショウビジネスにおもねることなく、己の道を確実に歩んでいる琵琶人は他には居ないですね。私もどんな状況であれ、流派の曲ではなく、曲もスタイルも技も何も、自分の世界を表現して行きたいのです。

自分のやり方で、確実に成果を上げ、それを認めさせてきた先人が居るという事は何とも頼もしいのです。音楽的な方向は違いますが、叶うのであれば何時か一緒に舞台をやってみたいですね。
良い勉強をさせていただきました。

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