音楽の幸せⅣ~潮先郁男Live at Sometime

昨日、Sometimeにて、私のギターの師、潮先郁男先生のライブがありました。ここは私が20代の頃演奏したことのあるお店でしたので、とても懐かしかったです。
メンバーは、この所先生のライブではずっと一緒に組んでいるVoのさがゆきさん、Gの加藤崇之さん。私が前回聞きに行ったのが、先生の芸歴60周年記念の演奏会でしたので、もう1年半ぶりにゆっくり聞かせてもらいました。

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先生の演奏は、長い時間をかけてこなれた、正に円熟という言葉が似合いそうなスタイルで、決して派手ではないのですが、共演者をしっかりとサポートする伴奏者の鏡みたいな方なのです。今回特に印象に残ったのは、さがさんとデュオでやった「モナリザ」でした。もう体中に染み入ってしまいましたね。全く持って派手さは無いけれど、あれだけの伴奏を付けられる人は他に考えられない。正に円熟、洗練の極みです。

sometime2011-12-2これは79才の先生が50年以上使い続けているギター。先生はこの1本でずっと仕事をしてきたのです。今は皆さん色んなギターを弾き分けるので、これ1本だけで、という人は本当に少なくなりましたが、昔のギタリストは、皆トレードマークともいえる相棒を持っている人が多かったですね。

今回は先生と色々とお話しすることが出来ました。昔話に花が咲きましたが、以前私がお世話になった先輩の中には音楽の道をあきらめて、会社務めをしている人も居るそうです。
音楽活動が広がって行くと、とにかく小さなアクシデントやトラブルが出てきます。先日も私が企画した演奏会に、本番直前に出演キャンセルが出て、何ともやるせない気分になりました。邦楽の世界は、お稽古事のアマチュアとプロが混在しているので、意識の違いからトラブルになることも多々あります。
しかしそういう波騒を通り越してこそプロのミュージシャンなのです。邦楽人に一番欠けているのが、このプロとしての意識だとつくづく思います。
ギタリストを諦めていった先輩も、色々な想いを持って故郷に帰ったことと思いますが、これもまた一つの人生。先生は「上手なだけではやっていけないんだよね」と言われましたが、今私は本当にその言葉をかみしめています。

今回は私の盟友で、先生の元で共にギターを勉強したA氏と一緒に聞きに行きましたが、会社の経営者でもある彼と、「色々なアクシデントは日々あるけれど、そういったことに振り回されずモチベーションを下げることなく、進んで行くしかないね」と二人で、妙に納得し合ってしまいました。

           CD

これは今度出たこのトリオのCD。ジャケット画はGの加藤さんが書いた作品だそうです。

ライブでは、先生のギターはもちろん、3人のアンサンブルがとても自然で、お客さんも本当に楽しんでいる様子が判りました。私もA氏も20歳前後の頃の想い出が蘇って、もう青春時代浸りまくりの夜でした。

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私がジャズを聴きだしたのは高校時代。そういう多感な時期に身についたものは生涯忘れないのでしょうね。何も考えず、何も気取らず、楽しめて、幸せな気分になれる、そんな音楽が流れていました。
私の音楽から色々なケレンが取れ、本当に聞いている人が幸せを感じるようになるのは、いつ頃だろう。今はまだまだ走り込んでいかなくてはいけないけれど、先生と同世代になった頃にはせめてそんな演奏が出来るようになるといな~~。

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