風の軌跡

今年は震災も含め、色々な事が有り、演奏会も例年のように多くはないのですが、今年の後半に期待をしたくなるようなCDをただいま作っております。

        ジャケット案決定版-ss

楽琵琶と横笛によるユニット REFLECTIONSの第二弾「風の軌跡 Traces of the Wind」です。私のCDとしては通算6枚目になります。私は年々楽琵琶の演奏の方が増えてきて、今は薩摩琵琶が7割、楽琵琶3割というところでしょうか。たぶんこれから半々位になってゆくと思います。

今回も、もちろん相棒は笛の大浦典子さん。もう10年以上のコンビネーションです。特に最近は、楽琵琶の演奏の時の笛は大浦さん。薩摩琵琶の時の笛は関西の阿部慶子さん、という感じです。そして今回のジャケットに使っている絵も、毎回私のCDでは定番の澤田惠子先生の作品。二つの轍が交差し、照らし合う。まさREFLECTIONSにはぴったりです。

内容は雅楽の古典から、シルクロードを遡って、琵琶の原点に向かって行くような曲目を入れました。ただいまジャケットデザインの最中で、来月マスタリングをして、9月の25日が発売日となります。今回からデザインは若手のY岡君が担当してくれています。楽しみです。
                  京都 清流亭

こんな楽人装束でも演奏しますが、形式張った様式よりも、楽器が自ら望むように鳴らし、古の時代に作られた遺産を、現代の感性で、現代の音楽として響かせるのが私のやり方。そのために古典となるものを徹底的に勉強するのです。

近頃は古典の権威を傘にして、海外でひどい商売をしている例を耳にします。またそれに乗っかる楽器商もいるようです。こういう人達はいったい自国の文化遺産をどう思っているんだろう。権威といわれる中に存在する、こういう事実に首をかしげざるを得ません。

受け継ぐのは表面の形じゃない。その内にある精神こそ受け継ぎ、たゆむこと無く新たな創造を繰り返してゆくのが、「継承」という事ではないでしょうか。少なくとも私はそうありたいですね。

       gakubiwa8塩高SP楽琵琶!

これからは楽琵琶の演奏会を沢山やっていきたいと思っています。薩摩琵琶ももちろんやっていきますが、どちらにしろ琵琶の音色そのものをもっと聴かせていきたい。琵琶の歴史は器楽として始まり、今でも雅楽では歌の伴奏ではなく、器楽として弾かれていることを考えれば、弾き語りではなく、琵琶そのものの音色を響かせることはごくごく普通のこと。だから私はふるえるようなあの琵琶の音色を聴かせたいんです。

         月1
月下にふるえ、響き渡る琵琶の音色をぜひ聞きに来てください。

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