一昨日は毎月定例で主催している、琵琶樂人倶楽部で平家琵琶特集をやってきました。
この間の岩田君と一緒のライブの時にもちょっと弾きましたが、これから平家琵琶もどんどん弾いていこうと思ってます。上の写真は琵琶樂人倶楽部の古澤さん。左の白っぽい琵琶が古澤さん愛用の石田不識作、茶色の方は私が最近手に入れたもので、名古屋の熊澤滋夫作です。この二つの琵琶は、制作者の琵琶に対する考え方が全然違うようで、音色というのか、音の出方というのか、全く違うのです。
また古澤さんは平家琵琶でも「仙台系」という一派のスタイル、私が参考にしたのは「名古屋系」と呼ばれる今井検校さんのCD。もちろん平曲では私は古澤さんのレベルには程遠いですが、音色の違いと共に、こういう語りのスタイルの違いも聞いていただきました。
平家琵琶は琵琶といってもほとんど9.5割以上が語りで、琵琶はほとんど弾きません。したがって、○○系といっても語りの節が違う、と思っていただいて結構です。琵琶の奏法の方は残念ながらほとんど発展していなくて、聞いていると、いわゆる合いの手にベンベンという程度です。
しかし平家琵琶は日本の邦楽の基礎となった「原初の芸能」です。元は声明や講式というお経を読む時の節回しから来ているらしいですが、平家琵琶の節回しが出来て以降は、平曲が元となって、謡曲やその後の邦楽へと繋がったといわれています。私自身は平曲を演奏したいというよりは、そういう邦楽のルーツに興味があるといった方が近いでしょうか。
今回も色々と若い世代のお客様が来てくれました。最近では琵琶樂人倶楽部も若い常連さんが来るようになってきていて、地味な琵琶楽も少しづつ輪が広がっているような感じがあります。
琵琶に対して、色々な人が色々な想いを持って集ってきてくれる、そんな状況をもっともっと増やしたいですね。

これからは「琵琶はこうでなくてはいけない」なんていう考え方を押し付けても、次世代の若者はついて来ません。新しい世代は新しい感性で聞けば良いのです。
武士道の音楽などと言い張ってふんぞり返っている時代はとっくに終わりました。色々な時代の、色々な感性に晒され、捉えられてこそ、何事も豊かに熟成し、深まって行くのです。平家物語自体が、時代により色々な解釈をされてきて、愛され、日本人の感性と源となっていったのですから・・・。
新しい時代が明けてゆく。今がその時なのです。