Artな日々~踊る妖精&北村さゆり作品展

少し演奏会が落ち着いたので、シアターXでおこなわれた「踊る妖精~六羽のソロ」と、銀座のSILKLANDギャラリーで開催中の北村さゆり作品展に行ってきました。

     シアターX
先ずはシアターXから。
チェーホフのかもめをモチーフにした6人の踊り手の作品の上演だったのですが、メンバーが凄い。

アキコカンダ   ケイタケイ    倉知外子
花柳面        竹屋啓子  折田克子

まあダンスにそんなに詳しくない私でも名前を知っている面々が揃う豪華な会でした。

個々には夫々印象があるのですが、私には2種類の表現が有ったと思えます。振り付けで比較的自身に近い感情又は言葉を現そうとした方と、喜怒哀楽のもっと先のものを表そうとした方。意外と前者の方が多かったように思います。
日本には世阿弥以降、「秘める」ということが日本独自の表現のあり方だと私は日頃思っているので、あまり直接的に言葉や感情が見えてしまう踊りには想像力が沸き起こりませんでした。

そんな中、花柳面さんの作品は一番際立っていたと思います。面さんは知り合いでもあるので、身内贔屓をする訳ではないのですが、バック音楽を務めた清水弾さんの音はどこまでも抽象に徹していて、妙に情景を表現するようなことを一切しない。そこに面さんが登場すると、その存在感がとても凝縮されるようで、静かな表現ながらもしっかりと目に焼きつきました。

面さんの振り付けは喜怒哀楽の感情の部分ではない。もっとその奥に秘めた記憶を辿るような、抽象世界を表現していました。そんな中にふと現実が甦るような部分があり、抽象と具象を行き来する、時間軸を超えたような素晴らしい作品でした。見ていて、自分の想像力・創造力が刺激され私の中の記憶を何時しか自分で辿っているように感じる場面もあり、正に日本古来の感性と技法を土台とした現代日本の芸術作品だと感じました。

その他、アフタートークでもちょっとしゃべったのですが、ダンスの方の舞台では音楽がちょっとぞんざいに扱われている事が目立ちますね。ダンスが主なのでもちろんそれでも良いのですが、この公演ではちょっとセンスを疑う使い方もあってそこが残念でした。

しかしこうした試みに常に挑戦するシアターXには拍手を送りたいですね。なんだかウズベキスタンのイルホム劇場を思い出しました。正に芸術文化の発信基地。素晴らしいと思います。

さて、次は同郷の日本画家 北村さゆりさんの作品展です。

          kitamurasayuri-koten

ちょっと画像が荒いですが、これが北村さん。北村さんは、私のファーストアルバム「Oriental eyes」をデザインしてくれた画家 山田ちさとさんの友人でもあったので、そんな所から私は彼女の作品展に通いだして、北村さんも時間があるときには演奏を聴きに来てくれるという感じで、なんだかんだと10年近く付き合いが続いています。。

今回は5日の日曜日から17日までの開催ですので、ぜひぜひ皆様行ってみてください。銀座ソニービルの少し裏手、みゆき通りと交詢社通りの間にあるSILKLANDギャラリーでやっています。

北村さんは今、日本画家としてはとっても活躍していて、以前よりTVでも特集されたり、挿絵などでも凄い作家達に絶大な信頼を寄せられている方なんです。結して派手ではないのですが、何時までも変わりなく、気さくでとっても可愛い方。しかし芸術の話になると情熱的に語りだす、魅力溢れる作家さんです。

私は北村さんの「映 たわむれる」という水面をテーマとした一連の作品がとっても好きで、個展をやる時には欠かさず見に行っています。上の画像のバックに写っているのがその作品。淡い色彩の中にも命が溢れているようで、それはそれは素晴らしいんです。なんだか作品と何時しか会話しているように感じる事もあったり、ぼんやりと自分がその中に浮かんでいるように感じるときがあったり、色々な自分が見えてくる作品です。

私の演奏は一つの世界を提示して、その場に聞き手を引き込んで、そこから何かを感じ取っていただくようなものが多いのですが、彼女の作品は何かを提示するというより、見る方が作品の前に立つだけでふわっと包み込まれてしまうような柔らかさがあります。そしてその包まれた世界でいつしか自分自身の姿が見えてくる、そんな感じです。
北村さゆりさんの作品お勧めですよ!!

シアターXでは思いがけず知り合いが受付をやっていてびっくりしたんですが、お陰で終わってから劇場のスタッフとその友人と飲みながら楽しい時間を頂きました。

芸術に触れる時間はやっぱりいいな~。色々なことを感じ想い、色々な出会いがあり、とっても豊かな気持ちになります。この柔らかで、穏やかで、刺激的で、ときめく「時」に感謝。

  

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