琵琶樂人倶楽部「薩摩琵琶三流派 敦盛 対決」

昨日、毎月開催している琵琶樂人倶楽部で「薩摩琵琶三流派 敦盛 対決」をやってきました。お客様はちょっと少な目でしたが、若い世代の方が何人も来てくれました。琵琶の会はどうしても先輩格の方々が多いので、若い世代にもっと聞いて欲しいですね。

ヴィオロンお客1ヴィオロンお客2

こちらは今回のお客様。携帯カメラなので、あまりはっきり写っていません、あしからず・・。他のお客様も撮ったのですが、残念ながらぶれてしまっていました。

今回は私の琵琶を作ってくれている石田克佳さんを演奏家として迎え、薩摩正派の「小敦盛」を演奏していただきました。

            石田ヴィオロン2

私の琵琶は塩高スペシャル仕様になっていて、ボディーサイズからちょっとした構造まで全てが私専用に作られています。石田さんが時々私の演奏を聴きに来てくれて、私の求める音や弾き方などしっかりとデータを取って作ってくれるという訳です。楽器の制作者と演奏家がコミュニケーションを取って音楽を作ってゆくというのは、理想的な形だと思います。こういうパートナーシップがないと良い音楽は生まれませんね。これからもよろしく!!

ちなみに私の大型スペシャルはエディーヴァンヘイレンのうねる低音を琵琶で出すべく作ってもらいました。

白雲13
こちらは中型スペシャル

琵琶は確かに題材のほとんどが古典だし、曲は長いので、現代のエンタテイメント音楽とは程遠い所にあると思います。しかしそこにはとっても味わい深い魅力もあるのですよ。ショウビジネスとしては難しいかもしれませんが、演奏する側も、どうやって聞かせるべきか、しっかり考えないといけません。先ずは面白がってでもいいから体験してもらうことから始めようと思って、こんな企画をやっています。聞くのはもちろん、手にとってみるのはとても良い体験だと思いますよ!。
私は演奏の終わった後は必ずお客様に琵琶を触ってもらいます。実際に手で触り、膝上に抱えてみるとその印象は、聞いただけよりもずっと豊かになって、コミュニケーションも弾むんです。この体験からお付き合いが始まった方も数多くいます。

新しい曲を初演する時には、作曲家の方には私の家に来てもらって、実際に自分で音を出してもらってから曲を作るように常にお願いしています。本だけ読んで、実体験も無く琵琶の曲を作ろうとする作曲家がいかに多いか・・・。これでは琵琶の音色は響きません。作曲家と演奏かもよきパートナーシップが大切です。余談ですが、有名な先生が書いた和楽器について書いた本があるのですが、残念ながら琵琶の所はそのチューニングからして???。全然勘違いなのです。残念ですね。

私は常日頃、洋楽の色眼鏡で邦楽を見るな!!と何時も叫んでいるのですが、皆さん自分のテリトリーは微塵も崩そうとせず、しっかりと保ったまま、邦楽を分析しようとする。先ず洋楽の知識や理論をはずして、作曲家とか先生とかいう肩書きも下ろして、自分の身を投げ出して、まっさらな感性になってレッスンを受けて、体験して、作曲して欲しい。ドレミで琵琶唄を書き取ったりしているようでは何時まで経っても聞こえてきません。まずは体験し、それから、自分の学んだものを、ドレミで現代の人に判りやすく記譜してゆくのは良いと思います。五線譜の方が色々な情報が書き込めるのは確かですから。しかし音楽を文化として捉え、洋楽の亜流ではなく、日本の最先端を行くようなつもりで取り組んで欲しいものです。

琵琶樂人倶楽部の会場として使わせてもらっている阿佐ヶ谷の名曲喫茶ヴィオロン
また演奏する方も、演目やプログラムなど、得意曲をただ並べるのではなく、舞台全体を見据えた視野を持たなくてはいけません。作曲もどんどんしてゆくべきだと思います。古典を継承するには創造が必要です。現代という時間の中で、古典が持つ意味を常に確認する為にも創造という感性が無くてはやっていけません。
継承すべきは形式なのか、書かれた音符や歌詞なのか、それとも形ではなく精神なのか。そして何を創造してゆくべきなのか。琵琶人はもっともっと考えてゆかなければなりません。

やる事はいっぱいだ!!

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