昨日、渋谷松涛のタカギクラヴィアサロンにて、中村仁樹君のミニリサイタルがありました。中村君の曲二曲と私の「まろばし」「塔里木旋回舞曲」を演奏してきました。
今回はサブタイトルが凄い!「二十一世紀のスタンダードがこの日から始まるのです」かなり気合の入った感じですね。尺八・ピアノ・琵琶という今までにない組み合わせのトリオで、主催の久保木氏曰く、洋楽器の王様がピアノ。和楽器の王様が琵琶。その二人に囲まれて尺八の王子様(つまり中村君)が演奏するというイメージとおっしゃってました。まあ中村君の王子様は誰が見ても納得なのですが、私はどう見ても王様には見えないですな。
左がピアノの菊池智恵子さん。右が中村君。二人とも若い!
若者はとにかく勢いが良い。加えてこの二人は技術も志も高い。実にさわやかで良い感じです。
琵琶と尺八は今までにもやってきましたが、ピアノとはずっと共演を避けてきました。それはやはりチューニングの問題。固定された音との相性は抜群に悪いのは言うまでもありませんが、ジャズ出身の私としましては、妙に和音やスケールが聞こえてきてしまい、琵琶の音楽性との隔たりを感じてしまうからです。
かつて鶴田錦史先生がピアノのキースジャレットとデュオをやりましたが、やはりキースジャレットは弾いていられなくて、パーカッションを持ち出して鶴田先生の周りで踊りだしてしまいました。あの名手二人にしてそうなのですから、今回はどうなる事やらと思っていました。しかしフレッシュな二人は何事にも柔軟で、やってみたら何の違和感も無くアンサンブルが出来るのです。
中村君の曲も良く出来ていて、実にメロディアスで雰囲気があるので、琵琶の音色がバッチリとはまります。もちろんこれからもっと曲作りを練りこんでいかなくてはいけませんが、今回の演奏会は音楽的に手ごたえのようなものを感じました。
主催の久保木氏と中村トリオの記念写真。
来年の2月26日にも第2弾の演奏会があります。中村君も気合充分で臨むとのことですので、ぜひお越しくださいませ。
こちらは今回のスタッフとお客様。中村君との共演のきっかけとなった日本橋劇場「和の煌き」を主催した響和堂さんもお越し頂きました。
感謝。
音楽家はある程度活動して、技術も出来上がるとどうしても自分の世界にひきこもってしまう人が多いのです。そういうミクロの視野も大切なのですが、同時にマクロの視野も持っていないと豊かな音楽は生まれてきません。かく言う私もまだまだではあると思いますが、こういう出会いが私をまた新しい世界へと導いて視野を広げてくれます。
いつもの仲間との演奏は息もぴったりで確かにクオリティーの高い音楽が出来ますが、その安住の場所にいたら何時まで経っても世界は広がらない。むしろ萎んでいく。
中村君、菊池さんそしてプロデュースの久保木氏という出会いは、これから私にとって、このトリオにとって豊かな新しい音楽と時代を、きっと生みだして行く事と思います。
乞うご期待!!