夏恒例 SPレコードコンサート2024

今年もSPレコードコンサートの真夏の夜がやって来ました。琵琶樂人倶楽部も今回でなんと198回目。我ながら凄いな~~と思ってます。さて今回のSPコンサートは、昨年に続き永田錦心、水藤錦穰、田中旭嶺の演奏を聴いて頂きます。色んな演奏家のSPがあるのですが、やはり永田錦心、水藤錦穰は外せませね。毎回レコード選びはヴィオロンのマスターとゆっくりコーヒーを飲みながらやるんですが、特にここ数年はどうしても永田・水藤辺りに落ち着いてしまいます。やはり次のLP時代の鶴田錦史へと続く最重要アーティストとして欠かせませんね。
永田と水藤は師弟であり、水藤と田中は親しい友人で、二人して腕を磨き合ったという間柄。この頃は素晴らしい伝承があったんだなと思います。単に技や曲ではなく、あくまでのその志を継ぐという伝承の基本が守られたのがこの時代でした。いつの時代も肩書を並べて優等生ぶりをアピールする輩は多いですが、そういう人達は基本的に音楽家ではありません。そんな音楽家・芸術家の感性を持っていない人ばかりになったらもう何も生みだす事は出来なくなってしまいます。伝承とは創造であり、そして前衛であるのです。そこがしっかりと在ったのがこの時代だったと、SPを聴きながらいつも感じ入ります。
是非永田錦心の志を受け継いで、永田が願ったように新しい時代の琵琶樂を創る人が出てきて欲しいですね。私も微力ながらその永田錦心の志を胸にこれからもやって行こうと思います。

いつも思いますが、SPレコードはやり直しの効かない一発録音。だからその技術は現代では考えられないようなハイレベルだったのだと思います。また演奏の気迫も、今の何でも加工できる時代の演奏とは全く違います。この機会に是非聴いてみてください。

SPコンサートにて photo 新藤義久

今年も後半はSPでジャズを聴いて頂きます。同時代に発展したジャズは、やはり70年代にはだんだんと形骸化の道を辿りました。ジャズはそれでも形を変えながら80年代半ば位迄は、その勢いもまだまだ健在でした。しかしショウビジネスの発展と共に育ったジャズは、時代の中で次第に需要が無くなり、60年代を牽引していたジョン・コルトレーンやオーネット・コールマン、ジャズの歴史をそのまま生きたルイ・アームストロング、そしてジャズの代名詞とも言えるマイルス・デイビスの死去を境に多様に変化して、ポップス、ロックなどに溶け込むような形でその姿は消えつつあります。
現在ではジャズを教える音楽学校も多々ありますが、技術や知識は受け継がれているものの、その志は琵琶同様あまり見えて来ません。音楽は常に社会と共に在るので、社会の変化に対応できなければ消えて行きます。ジャズも琵琶樂も激動する社会には着いて行けなかった音楽という事なのかもしれません。
ただこれだけの遺産が残されている訳ですから、その何かを受け継ぎ、また新たな音楽として世に打ち出すような人物がきっと出現するのではないかと、私は期待しています。是非先人の遺した遺産を今一度聴いてみてください。そこには多くの発見と感動が溢れている事と思います。

8月18日(日)
場所:名曲喫茶ヴィオロン(JR阿佐ヶ谷駅北口徒歩5分)
時間:17時30分開場 18時00分開演
料金:1000円(コーヒー付き)
出演:塩高和之(司会・レクチャー) 
演目:上記フライヤー参照ください

追伸

琵琶樂人倶楽部も10月の会で開催200回を迎え、11月で18年目へと突入します。100回目の時は別の場所を借りて演奏会をやりましたが、今年は開催200回記念をいつものようにヴィオロンで、Msの保多由子先生、Vnの田澤明子先生、尺八の藤田晄聖君を迎えて、私の作曲作品を演奏します。改めてお知らせしますが、こちらは10月9日です。是非是非よろしくお願いいたします。

お待ちしています。

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