今年は年明け早々に大変な事態となり、おめでたい言葉もなかなか口から出て来ません。毎年使っている「新年快楽」も今年はとても使えそうにないです。

大変な年明けではありますが、自分も日本社会も世界も、良き方向に向かって行く事を願ってやみません。私の今年の目標は10枚目(オムニバスを入れて12枚目)となるアルバムのリリースです。本当は昨年リリースしたいと思っていたのですが、作曲の方が間に合いませんでした。今年は何としても形にしたいと思っています。
琵琶樂人倶楽部も今年で開催200回を迎えます。その他の演奏会も有難い事に良い機会を色々と頂いていまして、作曲も演奏活動も更なる充実をしていきたいと思っています。
箱根「やまぼうし」にて アマトさんと
今月は10日から教育プログラムで与那国島に行くことになりました。7 arts cafe ,JCPMでお世話になっているジョセフ・アマトさんと学校公演を中心にやって来ます。これ迄学校公演はやって来なかったのですが、ここ数年、教育プログラムでの演奏も時々先輩方々からお声がかかるようになり、やるようになりました。琵琶を教えるという事も今後、重要な仕事になって行くようにも思っています。まあ私が教育者に向くかどうかは別として、今自分が持っているものを伝授するというのはしても良い頃かと思っています。作曲に関しては、ネット配信によって世界に届ける事が出来るようになって来たこともあって、琵琶の作品を遺すというのは、確かに私の仕事かなと思えて来ました。
曲は様々な演奏者によって演奏され、解釈され育って行く行くものです。社会が変われば聴く人々の感性も変わるので、そんな時代の感性の流れに耐えうるだけの魅力あるものだけが残って行きます。私の曲が残るかどうかは判りませんが、やっと少しづつ色んな方が演奏してくれるようになって来て、曲の持っている命が漲ってきたように思います。今後私の曲を演奏してもらえるかどうかは判りませんが、少なくとも私の仕事としては、もっと琵琶の楽曲を創って遺して、次世代へと渡したいですね。
音楽は自由な解釈やスタイルで、時にアレンジもして、その時代に合うように演奏すれば良いと思っています。形に拘っていたら演奏する人は減って行くばかりです。薩摩琵琶でも昔素晴らしいと言われた、やたらとコブシを回す歌い方等、今聴くと余計な装飾としか思えず、ただの声自慢としか聴こません。そこから何を表現したいのかまるで聴こえて来ない。我々の仕事は技術の先の世界を表現し聴かせるのが使命です。けっして技芸ではありません。表現する世界が明確に自分の中に無ければ、ただのお稽古事の披露に過ぎません。しきたりや形に固執する事を伝統だと思い込んでいるようでは次世代が続かないのは世の中を見ても明らかです。遺すべきは形ではなく精神や心。企業でも老舗のお店でも、どんどんと新たなものを創って行く創造の姿勢こそが、そのまま伝統を守る事になるのです。永田錦心、水藤錦穰、鶴田錦史。皆、常に最先端を走り、作品も演奏スタイルも創り続けたではないですか。創造の心を失った時、どんなものでも滅びて行くのは世の習いです。和服などももっと自由に着て楽しむ方が出てきて欲しいですね。

昨年末から、色んなものを整理しています。服や靴等身に着けるものは元より、PC関係や本等、余計なものを整理し、仕事面でも私生活面でも自分らしい形に近づくようにしています。以前からそうなのですが、余計なものは要らないというのが私の基本姿勢です。自分が自分で在る事を最優先して、人生を生きて行きたいですね。
今年もよろしくお願い申し上げます。