次代を担う奏者達2023

今月の琵琶樂人倶楽部は、恒例の「次代を担う奏者達」を開催します。毎回少しづつ出演者も変わり、今年は、昨年も出てくれた古田佐知子さん、鈴木晨平君の他、欣侘東生さん、中山誠也君の二人が加わり演奏します。中山君はまだ始めたばかりなので今回は祇園精舎のみですが、他の三人はオリジナル曲での挑戦です。

このシリーズは、これまでにも色んな方に出て頂いたのですが、皆さんが揃ってオリジナルというのも初めてです。
琵琶は流派に入らないと弾く事が出来ない、と思っている人も多いですが、そんなことは一切ありません。よくこのブログに登場する尼理愛子さんはヤフオクで琵琶を落札して、全くの独学で毎月オリジナル曲でライブ活動をやっていますし、かく言う私も独学のようなものです。最初に少しばかり習ってみましたが、流派の曲はどうにも好きになれなったので、未だに流派のフレーズはろくに弾けないし、今迄大ホールだろうがライブハウスだろうが海外公演だろうが、琵琶の活動を始めた最初から流派の曲を弾いたことは一度もありません。オムニバスを入れると11枚となるアルバムも全て自作曲を収録し、全てオリジナル作品を演奏する活動をもう25年ほどやってます。弾き語り曲も、壇ノ浦や敦盛等、自分が演奏する曲は歌詞も節もフレーズも全部オリジナルを弾いています。
琵琶はやっている人も少なく特殊な感じがするので、何だか流派に入らないとダメなんじゃないかという感じが強いかもしれませんが、何をどう弾いたって良いのですから好きにやればよいのです。ギターだったら遊んでいる内に、Youtubeなんか見ていて弾けるようになってしまう人の方が多んじゃないでしょうか。往年の名ジャズギタリストやロックギタリストが、誰かに習ったなんて話は聞いたことがありません。何かに所属して、流派の先生に習わないとだめという凝り固まったメンタルこそが、邦楽衰退の元凶かもしれません。

教室でお稽古した曲を、そのまま自分のレパートリーなんて言っているのでは、世の中から見れば「お稽古事」言われても仕方ありません。少なくとも作品を創り出して行くアーティストではないですね。何百年も受け継がれて来た曲~例えば「啄木」のような曲だったら、様々な時代の感性や波の中で洗練され、深い味わいと価値を持って今に伝えられていると思いますが、100年にも満たない、それも軍国主義時代の価値観の曲をわざわざ今やりたがるという事は、その演奏家がそういう思考を持っていると判断されても致し方ありません。

箱根岡田美術館 中庭の巨大な風神雷神図の前にて


もっと心を開放して自由な発想で、本当に自分の表現したい事をどんどんやって欲しいですね。平家の弾き語りをやるのだったら、何故それを自分がやるのかという根拠と哲学、独自の音楽観をしっかりと自分の内に持って、流派のコピーではなく、自分のやり方で、確固とした自覚を持ってやって欲しいものです。
「こういうものだ」「これをしちゃいけない」「きちんとしなくちゃ」なんていう旧世代が押し付ける幻想と偏狭な感覚に洗脳されるのはもう終わりにしませんか。何となく周りを見て皆と一緒で、なんていう平和ボケした村人感覚ももうそろそろ卒業しないと。今はネット配信で作品が瞬時に世界に流れて行く時代です。私の作品も海外の方が買って聴いてくれているのです。活動のやり方も、センスも基本も、もう日本という枠で考えている時代ではありません。流動するが如くに変化し続けているのです。世界を見れば、まもなくドル建ても終焉するでしょうし、G7よりもBRICSの方が経済活動が大きくなっています。そういう中で日本音楽を発信して行こうとするのだったら、頭をいい加減切り替えないと!!。
音楽は時代と共に在ってこそ音楽。せっかく琵琶という他には無い、妙なる響きのを奏でる楽器を手にしたのだから、何物にも囚われず自由に自分の音楽を、私は表現して行きたいのです。

鈴木晨平     古田佐知子     欣侘東生

4月12日(水)
場所:ビオロン(JR阿佐ヶ谷北口徒歩5分)
時間:19時00分開演
料金:1000円(コーヒー付き)
出演:塩高和之(琵琶・司会)古田佐知子 鈴木晨平 欣侘東生 中山誠也(以上琵琶)
演目:祇園精舎 旅宿の花 琵琶行 うすらい 鵺 あゆの風 他

お待ちしています。

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