故郷の空へ

先週からは大忙しで、静岡県の清水にある高山樗牛ゆかりの龍華寺、藤枝市にある熊谷次郎直実ゆかりの蓮生寺での演奏会、そして琵琶樂人倶楽部16周年第179回演奏会と続きました。

どうです。この星空、そして漆黒の闇。山の中なんですが、個人所有の山なので、周りにはこのコテージ以外人間の痕跡が何もなく、虫や小動物の声や音が響くという、完全に俗世間とは切り離された場所です。ネットも通じません。ここに連れて行ってくれたのは従兄弟なんですが、彼と私は子供の頃から同じような思考回路を持っているので、正に今の私にドンピシャな所に誘われました。これが市内から30~40分程度の所に存在するというのが驚きでした。是非また行ってみたい場所です。

私は18歳で東京に出てきた時、大きな期待を胸に抱き、お風呂もトイレも無い高円寺のアパートで暮らし始めました。刺激が多く楽しい日々でしたが、新宿に初めて行った時に「ここは欲望の街だ」と感じたことを未だに覚えています。その後何の因果かナイトクラブのバンドマンなどをやったおかげで、都会の夜の欲望渦巻く人間の姿を見て、そういう世界にはだんだん寄り付かないようになりました。
音楽の世界もショウビジネスは私には結構厳しいですね。私が思う琵琶樂はそういう所からはかけ離れているので、全然違う世界に身を置いているのですが、それでも自己顕示欲や名誉欲に取りつかれて凄い形相をして闊歩している人間は、年齢性別関係無くどこにでも居るものです。きっと自分自身の中にもどこかにそういうものがあるのでしょう。それを目の前に見させられるから、眼をそむけてしまうのだと理解しています。

コテージでのプライベートライブ


40代辺りまでは、まだ動き回っている自分に満足していたような所が多分にありましたが、やっと自分の表現したい世界が具現化してきて、自分の思う形で演奏活動が出来、音楽の内容で満足するようになって来ました。何事にも人の何倍もの時間がかかってしまう私らしい進み方ですが、こうして自分が思ったものを作曲・演奏を続けていられるというのは本当に幸せな事です。これからも更にこの道を歩んで行く為にも、俗欲が溢れかえっている所から離れ、じっくりと音楽に対峙できる環境に身を置きたいですね。

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