先日横浜の7arts cafeにてライブをやってきました。今回は3回目となるのですが、いつもとはまたお客様が変わって、面白い方々が集まりました。
オーナーのジョセフ・アマトさんとは、かれこれ20年近く前からのお付き合いで、最初は2003年に彼が立ち上げた福岡現代邦楽フェスティバルでした。3人の作曲家が、琵琶の入った合奏曲を書いて、私はそれらの曲を初演するという面白い企画で、眼龍義治氏、高橋久美子氏、内山有希夫氏の新作合奏曲を、筝の深海さとみ、クリストファー遥盟、栗林秀明、望月太左衛の各先生方と一緒に弾きました。その他アマトさんの筝独奏の新作も発表され、華やかで楽しい会でした。その後アマトさんとは横浜インターナショナルスクールでのワークショップ等、色々と声を掛けて頂ききました。

今回来てくれたお客様は、皆さんアメリカ在住歴のある方々が集まってくれたこともあって、凄いシンクロが起きました。フルートの久保順さんとアマトさんは同じ大学の出身ですし、お客様やスタッフが皆アメリカで何かしらの縁を持っていたとこが判明。聴きに来てくれた私の生徒H君の友人に筝を教えていたのなんとアマトさんだったりして、もうあちこちで制御できない程のシンクロ空間が出現し、店中盛り上がって、アメリカンイングリッシュで溢れてました。ここは普段から英語ベースで営業している事もあり、スタッフもアマトさんも英語の方が俄然饒舌になるので、今回はかなりの熱気に包まれたライブとなりました。7 arts cafeではこれ迄もこうした事が良くありましたが、今回は凄かった!!。

私のライブではこういうシンクロは時々起こるのですが、こうして私のライブで色んな縁がつながって行くというのは実に嬉しいんです。私は琵琶で活動を始めた時、多くの方に助けてもらいましたので、活動とは縁を繋ぐ事だとつくづく思っています。駆け出しの私に声を掛けて助けてもらった記憶がしっかりと残っています。40代はじめの頃、邦楽ジャーナルのインタビュー記事にもそんな事を言いました。
演奏会で音楽を聴いてもらうという事は、その場に人が集うという事ですし、一人でCDを聴いているのとは違い、同じ空間で聴いたもの、感じたものを人と共有するのが、演奏会というものと思っているので、私は教室で習ったものを上手にやるような事は絶対しません。作曲家が創った曲でも、あくまで私が解釈した形で演奏し、常にアーティストとして自分の世界を聴いてもらうようにしています。勿論解釈する以上は、その背景となるものをしっかりと勉強する事もアーティストとして必須な事だと思っています。目の前のお上手を披露したり、根拠の無い表層の思い付き、思い入れで演奏したりするような感性では、エネルギーが低すぎてリスナーに共感も感動も湧き上がりません。

私は琵琶を手にしてから多くの縁に恵まれ、育まれてきました。琵琶を手にする前と後では、では比べる事が出来ない程に多くの人と出逢い、様々な機会を与えられ、そしてやっと自分想い描く世界に手をかける所まで辿り着く事が出来ました。琵琶がもたらし繋ぐ縁に生かされてここまでやって来たという想いは、常に私の中に溢れています。これ迄こうしてやって来れたのも、多くの縁に包まれているからなのです。
縁は円でもあると私は思っています。琵琶を教える時には、技よりも先ず呼吸を円運動として感じてもらう事から始めるのですが、それは自分の中だけでなく、共演者ともリスナーとも同じ円で同期し、つながって行く事でもあり
ます。円でつながり、そこから縁が広がって行くのは嬉しいし楽しいものです。これからもそんな円でつながり、縁の広がる演奏会をやって行きたいですね。