心体Ⅱ

コロナの影響は相変わらずですね。地方の演奏会が中止や延期、無観客配信になる例もまだ続いています。しかし東京杉並辺りでは、もう居酒屋などもどんどん営業しているし、ほとんど日常に戻って来ている感じです。早くデンマークのような自由な状況に是非なって欲しいものです。

来週は久しぶりに舞踏の方との共演があります。この界隈に興味がある人にはご存じの方も多いと思いますが、藤條虫丸さんというベテランの方と即興によるライブをやります。声をかけてくれたのはアラブパーカッションの伊藤アツ志さん。伊藤さんとはフラメンコギターの日野道夫さんの会で何度も共演させてもらっていまして、今回は伊藤さんと私が藤條さんと対峙する形でやってみます。

9月21日(火)西横浜EL PUENTE 19時開演となっております。お近くの方是非どうぞ。
https://www.facebook.com/events/138108508489975/

琵琶樂人倶楽部にて photo 新藤義久


病は心が作り出すとはよく言われることですが、最近益々この言葉が現実味を帯びてきたように感じています。特にコロナに関してという事ではなく、ここ20年30年の日本の社会を見てきてずっと感じている事なんです。そしてこれは病気だけでなく、生活全般に言える昨今の社会状況だと思います。情報過多の社会にあって、更に加速している問題であり、かなり気を付けるべき要因ではないかと思えて仕方がないのです。

日本人の潔癖症は世界でも有名ですが、バブルの辺りから、色んな場面でそれが行き過ぎていると感じていました。トイレが清潔なのは良い事だと思いますが、洗剤や香料等それまで無かったものが急速に普及し、街にはドラッグストアが溢れるように存在しています。健康食品やアンチエイジング業界等、どう見ても行き過ぎた広告を打っているような気がしますが、皆さんはどうお感じでしょうか。

そんな宣伝・洗脳に現代人はまんまとはまって、せっせとお金をつぎ込んでいるのです。保険もあらゆるものが氾濫していますし、老後はこれ位の貯蓄が無いと生きて行けないとか、もうありとあらゆる手を使って不安を煽り立てているように私は思います。
日本人はとにかく「普通」という横並び一緒な事で安心する感性の人々ですから、お金でもライフスタイルでも、とにかく皆と同じ感じで居ることで安心する。この主体性の希薄な感覚が、不安を煽って消費を促すという詐欺的ともいえる商法を助長しているのでしょうね。

江の島


考えてみれば30年40年前は、今のような健康食品なんてものはありませんでした。除菌剤や香料たっぷりの柔軟剤等も無かったですね。急激に普及し、それがあたかも「普通だ」という世の中になってしまいました。
マスクもワクチンも、本質を確かめようとせず「何となく」という感覚の中で右往左往している。やっている人とやってない人という区別だけをしようとして、どこかに依存する事で安心しようとしてしまう。これはとても危うい感性だと思います。そして自らはまり込んでしまっている事に気が付かない。

「風の時代」「個の時代」などといわれていますが、それは言い方を変えると、付和雷同的な「みんなで一緒」という村意識から抜け出そうという事ではないでしょうか。村の中に居るから、他と自分を比較してしまうし、自分の軸が見えず、他軸をもって物事も自分も判断して、その結果不安になったり、コンプレックスを感じたりして自らを追い込んでしまう。皆が同じレイヤーの中に居る必要はないのです。学歴が無かろうが年収が低かろうが、そんなことは他人には関係ない事です。世の中には琵琶法師もいれば社長もいれば大学教授もいます。旨いそばを打つ職人もいます。皆対等に人間として付き合えば良いだけではないでしょうか。日本の社会がもう少し色々なものから解放されて、多様な人生を皆が、ごく自然に認め合って行けるようになると良いですね。

日本橋富沢町楽琵会にて 能楽師の津村禮次郎先生と

心の豊かさこそ一番の幸せです。

© 2025 Shiotaka Kazuyuki Official site – Office Orientaleyes – All Rights Reserved.