相変わらずの世の中が続いていますね。今後の展開がまるで見えませんが、ここ杉並辺りは人通りも盛んですし、街の様子はあまり変わりません。世の中は何処へ向っているのでしょうね。せめて芸術だけは、その先の世界を見据えて、その旺盛な活動を止めることなく動き続けて行って欲しいものです。

手元に画像でもあればお見せしたいのですが、バックのスクリーンにはプラネタリュウムならではの星空や星座の絵の他、場面に合わせた幻想的な絵が映し出されて、なかなかの良い感じなんです。更にますむらひろしさんの絵も映し出され、星座の解説なども入るという事ですので、期待が広がりますね。是非8月には公演が出来るように祈りたいです。
前にも書きましたが、このギャラクシティーは私が琵琶の活動を始める前、約26、7年前に私が働いていたところです。私は東京初のIMAX常設劇場として誕生したこの施設で、映写技師として働いていました。まだ映像はフィルムで、音声はオープンリールデッキのオールアナログの時代です。あの頃は当時の最先端を行く映写機IMAXを動かしているというのが、ちょっと自慢でしたね。ここで仕事をしながら琵琶の勉強をして、ライブ活動を始め、5年ほどして、琵琶一本で生きて行く決心をして飛び出して行きました。一昨年縁を頂いて、再びこの場所に舞い戻って来たのですが、何だかニューシネマパラダイスのトトみたいな気分です。

ギャラクシティーで働いていた当時の私、日暮里にあった邦楽ジャーナル倶楽部「和音」でのライブにて
こんなお仕事をここ数年頂いているせいか、この20数年を色々と想い返すことが、最近時々あります。しかしどう考えても20年以上の時間が経ったとは実感が出来ないのです。まあ顔は随分と老けてしまいましたが、自分で年を取ったという実感もさほどなく、これまでやってきた演奏会や仕事を振り返っても、20年という時間を経たという物理的時間が感じられません。何故なんでしょう。
これ迄私は本当に良い仕事をさせてもらいました。海外公演も色々とやらせてもらったし、CDも全て私の作曲作品で通算10枚(ベスト盤2枚含む)リリースし、ネット配信で世界の方が聴いてくれるようにもなりました。国内では、今考えても、どうしてここで演奏会が出来たのか不思議な位、様々な場所で機会を頂きました。上手く行かないことも多々ありましたが、毎月主宰している琵琶樂人倶楽部ももう14年に渡り開催160回を超え、これ迄分不相応な程にやらせてもらったと思っています。しかし私は未だその旅の途上に居るのです。まだまだ区切りというものを感じません。

2009年高野山常喜院塩高和之独演会にて
私は、あのプラネタリュウムのドームシアターの中で黙々と練習していた頃から今迄の、この20数年という物理的時間と感覚的な時間が、どうにも一致しません。あっという間という事ではなく、そのまま延長している感じでしょうか。あの頃の思い出は確かにある種のノスタルジックなものを伴いますが、今、自分があの映写室やドームに居ることは、何かいつもの日常だったあの頃がそのまま続いているようで、気分はあまり変わりはないのです。
私には、まだまだ世に出したい曲がいくつもあり、もっとやりたいことが沢山あって、あの頃と気分は何も変わらず、日々がずっと続いています。やっていることも全く変わらず、毎日のように琵琶のサワリの調整をして、毎日曲についてあれこれと頭をひねり、次のライブはどのプログラムでいくか、なんて事ばかり考え、あちこちと飛び回って演奏している。変と思われるかもしれませんが、心が全く同じ、still
on the roadです。

今年2月の琵琶樂人倶楽部にて、Vnの田澤明子先生と
この旅がどこまで続いて行くのか判りませんが、気分が変わらず日々を過ごしている内は、このままなのでしょう。私はまだ当分、この旅の途上に居ようと思っています。変わろうと思っても変われないですし、もうこれが私の人生のペースになってしまっていますね。
そしてもう一つ舞台のお知らせです。

2013年から何度となく再演を繰り返している、和久内明先生脚本の戯曲「良寛」が6月26日に再演されることに決まりました。前回と同じく、能楽師の津村禮次郎先生、ダンサーの中村明日香さん、そして私の3人による舞台です。場所は中島新宿能楽堂。花園神社の近くです。
今回は能楽堂での公演という事で、雰囲気も変わり、津村先生も本領発揮の充実した内容になる事と思います。乞うご期待!!。
まだまだこの旅は続きそうです。