
10月日本橋富沢町樂琵会にて
世の中は年が押し詰まると共に盛り上がってきますね。私も毎年早めに仕事納めになるので、忘年会に日々いそしんでおります。
今は、ゆっくりとこの一年を反芻しているのですが、器楽としての琵琶楽という点は、今までになく充実してきた感がありますね。牛歩の如くではありますが、少しづつ薩摩琵琶における現代曲のレパートリーも増えてきて嬉しい限りです。また今後は樂琵琶においても、現代曲をどんどんとやって行こうと思っています。
実は先日の日本橋富沢町樂琵会では、
樂琵琶で一番最初にリリースしたCD「流沙の琵琶」に入っている拙作「凍れる月」を演奏し、津村禮次郎先生に舞ってもらったのですが、この「凍れる月」は私の樂琵琶の作品でも唯一といえる現代作品なのです。

先日は津村先生の絶妙な舞いが入った事によって、今迄この曲に抱いていたイメージが更に明確になって、樂琵琶に新たな一つの道筋を感じました。雅楽~シルクロードという部分ではなく、樂琵琶の現代曲という分野に踏み出したい、と言う気持ちが湧いてきたのです。考えてみれば薩摩琵琶ではどんどんやっているのですから、楽器が変わろうと、自分の行くべき道は同じはず。この「凍れる月」は樂琵琶を手にした最初の頃のとても素直な私の感性が創り出したもの。今こそもう一度その原点に戻り、もっと自由に樂琵琶に於いても現代という視点で関わってゆきたいのです。雅楽~シルクロードというのは勿論私の一貫した一つのテーマなのですが、これからは樂琵琶に於いてまた新たな分野も切り開こうと思っています。樂琵琶の音色と存在感でなければ成し得ない、独自の世界を創り上げたいですね。
年を追うごとに、音楽以外のところから学ぶ事が多くなりました。他の芸術ジャンルはもちろん、武道からも、ビジネスマンの話からも深く感じ入るものは多々ありますね。つまり世の中にある事柄は、皆つながっているということです。日々色んな人に逢い、様々な話を聴くにつけ、そう思えて仕方が無いのです。自分の周りには無数のヒントがあり、音楽を創り出すチャンスが常に存在している。そんなことを感じた一年でもありました。
来年の後半にはまたアルバムを創りたいと思っています。まあ資金やら何やら実現まで漕ぎ着けるかどうかわかりませんが、じっくり進めてゆきます。ヴァリエーション豊かなものにしたいですね。現代における琵琶楽の姿を表現したいと思います。そして次回からはCDというものは作らず、アルバムとしてネット配信のみの形になると思います。これも時代ですね。

津村禮次郎先生と日本橋富沢町樂琵会にて
今年のまとめはまた改めて書きますが、とにもかくにも次に歩むべき道が見え、具体的な構想が既にあるというのは実に良い状態です。課題は山のようにありますが、まだまだ先に進んで行ける。そんな実感を持っています。また来年が楽しみになってきました。