12月に入り年末らしくなるかと思ったら、妙な天気が続き、なにやら不穏な感じがしますね。このところの異常な気象はどうも気になりますね。来年が平穏無事であると良いのですが・・・。

昨年12月の日本橋富沢町樂琵会にて、筑前琵琶の平野多美恵さんと
今週末からどどっと演奏会が詰まっていまして、色々と観て廻るのは今しかないという訳で、先週今週は仲間のライブやらベテランの舞台、そして映画といつになく観て歩きました。日本の古い映画はあらためて観るとよく出来ていますね。お金も手間もかかっていて、役者も粒ぞろいで素晴らしいクオリティーでした。これからは日本のものも積極的に観て行こうと思います。
また同世代の仲間や若手の演奏も少し聴きに行きましたが、いずれも好感が持てるまっすぐな演奏でした。こういう仲間達が順調に活動を続けていけると良いですね。多々苦労はあると思いますが、現実に負けずがんばって欲しいものです。かと思えば一番高い値段を取っているベテランの舞台にどうにも不満が残ったりして・・・、色々と勉強をさせてもらっていました。

やはり舞台はその大小に関わらず、その人そのままが見えてしまうんだな、とあらためて思いました。レベルが上がればあがるほどクオリティーを求められるし、器も問われるというもの。演目一つ、共演者一つ、衣装一つ、演出一つ、どれをとっても、そこに明確な意思があり、必然がないと妙な作意を感じてしまうし、どこか甘さがあると、レベルの高い人ほど目立ってしまいます。
普段は自分があの舞台の側にいることを思うと、観客の視線の厳しさをひしひしと感じますし、更に身を引き締めていこうとあらためて思いました。
私は琵琶奏者として活動を始めた最初から、ダンス系(日舞~能~クラシックバレエ~モダンダンス~舞踏eytc.)と毎年公演をしていて、自分でも身体表現に関心がどんどん高くなってきました。来年も既に二つ決まっていますが、このところ演劇系の方とのお付き合いがまた一段と増えてきて、今後が楽しみです。
演劇系の方と話をして居ると、皆さん舞台全体を見ている事がよく判ります。音楽家はともすると、1曲を上手に弾こうとする意識に凝り固まって、舞台全体を考えられない人が多いのですが、それではリスナーはもう納得しないでしょう。お上手さを聞かせようとするのは所詮お稽古事でしかありません。

CD「まろろば」ジャケット
先日お亡くなりになった上原まりさんと、もう随分前に御一緒させてもらったことがありましたが、やはり上原さんは舞台全体に目が行き渡っていて、見事な舞台運びでした。私はその頃、まだ自分のレパートリーを格好良く弾くことばかりに気を取られていて、今思えば全くなっていませんでした。その時、上原さんの姿にプロというものの矜持を感じたのを、今でも覚えています。
どんな所でも舞台全体視野に入れてやって行きたいものです。
このところ色々とアイデアが出て来て、曲も出来上がってきています。これ迄作曲してあまりやってこなかった曲もあらためて手を入れて、いい感じになりましたので、来年からの舞台のプログラムもより充実してくる事と思います。



さて、明日はお世話になっている神田音楽学校のクリスマスパーティー&発表会。明後日は古澤月心さんとの年末恒例「蕎麦道心」での年越しライブ、日本橋富沢町樂琵会、琵琶樂人倶楽部の他、フラメンコギターの日野道夫先生とのジョイントライブなど、連日の演奏会で今年最後の大忙しとなります。いずれも大きな演奏会ではありませんが、日本橋富沢町樂琵会では能楽師の津村禮次郎先生をお迎えして、拙作「凍れる月」で津村先生に舞っていただきます。新しいアレンジでの久々の再演となりますので、気合を入れて充実した内容にしたいと思っています。
今年もいい感じでお仕事させてもらいましたが、最後の締めもばっちり決めたいですね。舞台全体を入れた大きな視野と器を持って来年も挑みたいと思います。是非是非御贔屓に。